第六章 閑話 指輪
フュエ王女視点になります。
とうとう…… とうとう! やりました―――!!!
わたくし! ディケム様から指輪を頂きました!!!!!
『ブルー・ダイヤモンドの指輪!!!』
私は喜び勇み、側使いの『エメリー』に指輪を見せると、
エメリーが宝石の意味について教えてくれる。
「これは! 宝石界の中で最も稀少性の高い宝石で『極上の青』とも表現されるブルー・ダイヤモンド! その美しさは宝石の中でも群を抜いていると言って良いでしょう! これほどの大きさと質の『ブルー・ダイヤ』私は王室でも見た事が有りません!!!」
まぁ! ディケム様はそのような素晴らしい宝石を私に送ってくださったのですね。
「そして…… この『ブルー・ダイヤモンド』の石言葉は―― 【永遠の愛】!!!」
⦅キャ~ 【永遠の愛】ですって!!!⦆
「おめでとうございます、フュエ殿下! これほどの宝石、そして『ブルー・ダイヤモンドの指輪』を送られたと言う事は、フュエ殿下がソーテルヌ公爵様の特別だと言う事で間違いないでしょう!!!」
⦅キャ~ 特別ですって!!!⦆
その他にも『ブルー・ダイヤモンド』には『幸運値』や『意思力』が上がるとかエメリーが教えてくれましたが…… まぁそれは良いでしょう。
あぁ…… これでやっと私はディケム様のモノ。
私は誰はばかることなく、婚約者として振舞う事が出来るのですね!!!
『っあ!』 あそこにいらっしゃるのはララ様!
この事はライバルでもあるララ様にも話しておかなければなりませんね!
「ララ様。 おはようございます! わたくし、とうとうディケム様から――……」
⦅ッん――なっ!!! えっ!? ラ……ララ様の指にも輝く指輪が!?⦆
「おはようございます。 フュエ殿下」
「お、おはようございます……」
「ん? どうかされましたか? 殿下?」
「い、いえ。 なんでもありません。 ご機嫌よ~ おほほほほ」
⦅ま、まぁ…… ララ様はディケム様公認の彼女⦆
⦅それはそうですわよね、指輪貰っていますわよね⦆
あら…… あちらからいらっしゃるのはラトゥール様!
ラトゥール様にも報告するのが礼儀ですわよね。
「ラトゥール様。 おはようございます。 わたくしディケム様から―――……」
⦅へ!? ラトゥール様も指輪持ってますわね。 も、もちろん知ってました⦆
⦅わたくし、こんな事では挫けません!⦆
⦅後塵を拝している私が、ララ様、ラトゥール様と並べただけでも凄い事なのですから!⦆
あら、あちらからいらっしゃるのはディック様。
「フュエ殿下、おはようございます。 この頃ディケムと毎日魔法の訓練しているようですね。 大変でしょうが頑張ってください、応援しています!」
「おはようございます。 ディックさま! っん?!」
⦅ッ―――!!! な……なぜディック様までも指輪を!?⦆
⦅ま、まさかディケム様! そっちの気もおありなのでしょうか?⦆
「フュエ殿下、おはようございます! ラトゥール様おはようございます。 ディックとララもおはよう」
「ギーズ様。 おはようございます――……」
⦅…………。 はい! 知っていましたよ! ギーズ様も指輪してますわよね!⦆
「あら、フュエ殿下。 ディケムからその指輪貰ったのですね」
「はい。 あの……ララ様。 この指輪…… 宝石は違いますが、皆様も同じデザインの指輪を付けていらっしゃいますけど、どのような意味なのですか?」
「その指輪は、ディケムが大切な人だけに送る指輪ですよ。 よかったですね。 その宝石には精霊様が宿っているそうです。 付けている者が万が一の場合に、ディケムに知らせてピンチを救ってくれるそうですよ」
「そうそう。 精霊結晶使ってるから……価値としては国宝級。 ただの『ブルー・ダイヤモンド』なんかよりよっぽど希少ですよ」
なるほど、少し勘違いをしてしまいましたが……
ディケム様が『大切な方へ送る指輪』と言う事は間違いないようです。
『私だけを……』とはいきませんでしたが、私もディケム様が大切に思う方々の仲間入りが出来たようです。
この指輪は私の一生の宝物です。
本編とは関係ない短めの閑話でしたので、昨日に引き続き連続投稿しました。
お一人でも『くすっ』としてくれたら嬉しいです。




