第一章21 制約と契約1
ラローズさんは、命を懸けて精霊との契約に挑むことを決心した。
ラローズさんの決意は揺らがず、一切の躊躇はなかった。
――だけど、ラスさんはきっと止めたかったのだろう、その見送る姿は悲痛で見ていられない。
ウンディーネは皆に告げる。
「契約は森のマナの強い場所で行う! ラローズと妾とディケム以外は立ち入ることを禁ずる! もし集中を乱すものが居たならば…… 契約は失敗に終わると思え」
ラローズさんが、皆と最後の挨拶を交わしたあと、俺とウンディーネと一緒に森の中へ行く。
一時間ほど奥地へ歩いていくと、うっそうとした森の中に、何故かそこだけ開けた場所があった。
「ココじゃ! ここはマナの通り道を確保する為に、森の木々がワザと場所を開けているのじゃ。 この場所はマナを集めやすい」
「さてラローズよ…… 精霊との契約の前に、秘密を守るためのギアス(制約)をかけさせてもらう! 今から言うことに同意し口外しないことを制約魔術で縛るが良いか?」
「――はい!」
「まずは……」
【この場所は口外ご法度じゃ】
――はい!
「次に……、この儀式は、例外でディケムの補助を使い行う」
【今日おこなった事、聞いた事、見た事は誰にも言ってはいけない】
――はい!
【今後、ディケムに敵対することを禁止する】
――はい!
ディケムが魔術に使う羊皮紙にウンディーネの言う制約事項を書き込んで誓約書を完成させる。
それにラローズさんがサインと血判を押す。
俺は制約の呪文を唱え、契約書を上へ投げると!
≪―――Περιορισμοί(制約)―――≫
契約書は燃え上がり、ラローズさんと俺が一瞬光に包まれる。
ッ――これは!? ラローズさんが制約に縛られたのだろうか……?
「制約は成立した、これを破れば命は無いと思え!」
「――はい!」
「ではこれより、契約の義を行う!」
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