エピローグ
ニンフは毎日毎日、湖で世界を見ている。
ウンディーネ様からは、近くに住む『蒼竜様』を気に掛けるように言われている。
精霊とはそこにあるモノ、宿っているモノ……
それ以上の感情など無い、有ってはいけない。
先日、村の男女の変死が見つかったらしい……
私にはその死に悪魔が絡んでいる事は分かっていたが…… 私が何をする事も無い。
ふと気づくと毎日毎日湖に来て一人で遊んでいる男の子を見つける。
ニンフは只そこにあるモノとして、その男の子を見守る。
その男の子は独りぼっちで湖に話しかけている。
「ねぇ水の精霊さん。 お父さんとお母さんは僕を置いて遠くに行っちゃった。 ぼくはもう独りぼっちだ…… このままこの湖で死んだら誰か悲しんでくれるのかな? ぼくは誰からも愛されていないのかな? 誰でもいい…… 誰か僕を見つけてよ……」
⦅この子共は…… ヴージュ村の加護を願う儀式で、私が遊び半分に水をザワつかせた
子供だ。 私の何気ない遊びが、一人の子供の人生を狂わせてしまったようだ⦆
⦅人の一生など一瞬、この子と少し関わるくらい良いだろう⦆
人に関わるなど、精霊にとっては一時の戯言。
「ねぇ君は、一つだけ欲しい物が手に入るとしたら、何が欲しい?」
「一つだけなら、絶対! ず―――っと一緒に居てくれる家族がほいし!」
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フリウリだったニンフは、今もず―っと湖を見守っている。
そこにあるモノ、宿っているモノとして………
ただたまに……
無性に家族を欲しがった子供の顔を思い出す。
いつもお読みいただき有難うございます。
これで【第五章三節 それぞれのイマージュ ギーズと西方の勇者】は完結です。
この後、もう少し幕間が続きますが、お付き合いいただければ幸いです。
これまで、ほぼ毎日の更新をしてきましたが、
わたくしごとの生活環境の変化もあり、今まで通りの更新が難しくなりそうです。
この章の完結まではと頑張ってきましたが……
無理して書き上げた作品は、むしろ読んで頂ける読者様に失礼だと思い、
毎日更新は諦める事に致しました。
私の作品を気に入って頂けた読者の皆様には大変感謝しております。
個人的な楽しみとして書いている小説でしたが、
やはり数ある小説の中から見つけて頂き、
ブックマークを頂けたことは執筆の励みになりました。
ブックマークの一つ一つが私の宝物です。
この後も【寂滅のニルバーナ】は続きますが、引き続きご愛顧いただけたら幸いです。
Shirasu




