表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第五章三節 それぞれのイマージュ  ギーズと西方の勇者
211/553

第五章3-17 土の巨人

ギーズ視点になります。


 

 ギーズはソーテルヌ総隊に命令を下す。


「カミュゼ、ポート、マディラ! お前たちは町に出て住民の避難と、それに伴う巨人族の撃退! あくまで住民避難が主だ! それ以外では戦うな!」


「「「はっ!」」」


「メリダは、カミュゼ達のサポートと戦場の情報収集だ! 神話級巨人を特定したらマーキングしてくれ! 少なくとも三体は居るはずだ! 特に城壁を壊す土属性の巨人を最初に探し出せ!」


「はっ!」


「ジャスティノはパメラさんとルーミエ陛下の護衛だ! 窮地の際はソーテルヌ閣下から渡された、魔術具を使え!」


「はっ!」


「私も町に出る。 みな『言霊』で随時報告を忘れるな!」 


「「「「はッ!」」」」



 ギーズが指示を出した後、ルーミエが前に出る。


「皆、先代の王が逃げ出した時点で、このジョルジュ王国は、皆に助けてもらう価値など無いのかもしれない。 だがお願いしたい! 一人でも多くの民を助けてほしい。 城も町もジョルジュ王国と言う名も器でしかない。 国とは一人一人の民の事なのだから、民さえ生きてさえいてくれれば、ジョルジュ王国は滅びない!」



「ルーミエ陛下、全力を尽くします! ではみな散開!!!」


「「「「「はっ!」」」」





 カミュゼ達が退出した後、ギーズもルーミエ王に深々と頭を下げて退出する。

 そして王城の屋上へと出ていく。


 ギーズが『精霊の召喚宝珠』を取り出す。

 そしてウンディーネを顕現させる。


「ウンディーネ様、よろしくお願いします」

「あぁ、マナの補充と管理は心配するな」

「お願いします」



 そしてギーズは肩に乗る小さな幼竜に話しかける。


「蒼竜、お前は元の力は無いにしても、前の体が消滅した時点で、ある程度の力は引き継いだのだろう?」


「あぁ、その通りだ」


「巨人族はお前が敵として来た悪霊、怨念ではないが、力を貸してくれるか?」


「当り前であろう? お前が消滅するまではワレはお前の守護竜となる事を約束したのだ。 お前が敵と定めたものは、例えそれが人族であったとしても、問題無い」


「ありがとう。 では行くぞ!」



 蒼竜が一度大きく光ると、ギーズから膨大なマナが引き出され、幼竜へと流れていく。

 ギーズがウンディーネを顕現していなければ、マナが枯渇して死んでいただろう。

 しかしギーズもララと同じ、ウンディーネを介して、マナを補充することが出来る。

 ディケムとマナのラインが繋がっている彼らだけの特権だ。


 幼竜の体へ膨大なマナが集まる――

 そして、幼竜は巨大な『蒼竜』へと変わる。


「失ったマナを、これだけ早く補充できるとは…… 流石はウンディーネと言ったところだな」


「フン、普通ならばこのような手助けなどせぬのじゃが…… ギーズは妾の主に欠かせぬ友じゃ、感謝するがいいぞ!」


「…………。 まぁよかろう。 この恩はお前の主の友、ワレの主ギーズに返すとしよう」



 ギーズは蒼竜の背に乗り、王都上空を飛ぶ。


 光の加減で翡翠色にも輝く蒼碧色の竜に乗り、青のバード服を纏い、蒼竜刀を持つ。

 その姿はまさに『青の王』と例えるに相応しい姿だった。



 ギーズへメリダから連絡が入る。

 『ギーズ様! 土の巨人を南東の監視塔付近にて補足しました、マーキングします!』


 『よくやったメリダ、すぐ行く! メリダは私が行くまで戦闘を避け、住民の避難を頼む!』


 『はっ!』



 ギーズは上空から戦場を見渡す。

 東にはカミュゼが居る。

 南ではマディラとポートが合流して市民の救助を行なっている。

 ルナとフェンリルで炎の巨人から市民を守っているようだ。


 水の巨人はまだ町に入ってきていない。



『皆、市民の避難はどうだ?』

『被災した南地区市民の、隣区域への避難は八割方終わりました! ですが……隣の地区に人が溢れています!』


 上空から見ると、城壁の上にも人が溢れかえっている。

 御多分に漏れず、金持ちは安全な場所に避難して、貧民ほど行き場もなく、危険な城壁で戦況を見守っているようだ。


『これでまた城壁を壊されれば、甚大な犠牲者は避けられない! 皆! 土の巨人の殲滅を最優先に行う! 位置はメリダがマーキングしてくれている、わかるな!」


「「「はっ!」」」




 土の巨人の前に、マディラとポートがたどり着く。

 すでにカミュゼとメリダは待機している。


「マディラ! 一緒に連れているのは?」


「カミュゼ、彼が『西方の勇者』コーダとフリウリです!」


 その時、上空から巨大な蒼竜が降り立つ!


「ちょっ! ギ、ギーズ!? その蒼竜は!?」


「マディラ、蒼竜には即戦力になってもらうために、マナを補充した。 ディケムのようには完璧には出来ないが、七~八割方の力は出せるはずだ!」


「えっ………。 あのカワイイ幼竜は?」

「えっ………。 だ、大丈夫だと思う…… ファフニール様も小さくなれたから」


 マディラの『心配事はそこ?』と突っ込みたくなったが、止めておいた。




「では皆、時間を無駄にした分被害が広がってしまう、一気に行くぞ!」

「「「「はっ!」」」」


「ポート! トドメはお前の【木霊】だ、準備しておけ!」

「はい!」



 コーダとフリウリを下がらせ、ギーズ達は土の巨人へと挑む!

 ギーズが司令塔として、状況に応じて『言霊』を使い指示を出す。

 あとは訓練で何度も繰り返し培った連携を生かすだけだ。


 マディラが【月の精霊ルナ】のクリスタルの槍を生成し、『土の巨人』へ射出する。

 カミュゼの【イフリート】、ポートの【フェンリル】が『土の巨人』へ襲い掛かる。

 メリダの【シルフィード】がカマイタチを発生させる。



 たとえカミュゼ達が使う精霊が、【精霊の召喚宝珠】を使っての顕現だったとしても、

 神話級巨人とて、四属性もの上位精霊からの攻撃に大ダメージは免れない!



 そしてポートが【木霊】を出し、そっと土の巨人に送り出す。

 木霊はフワフワと飛んでいき、大ダメージを受け、動けない土の巨人に触れるとそのまま吸収されていった。


 木霊が吸収されると、土の巨人はピクリとも動かなくなる。

 そして………

 土の巨人を土壌として、一気に木の芽が芽吹き、見る見る成長し、土の巨人を取り込んだ大木へと成長した。

 成長した大木の大きさを見れば、巨人が神獣を食らい、どれほどのマナを得ていたのか想像できる。



 大木に吸収され、土の巨人のマナが消えるのを、みな確認する。


「討滅完了です!」




読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ