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寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第五章二節 それぞれのイマージュ  ラトゥールの想い
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第五章2-9 雷嵐竜シュガール

ラトゥール視点になります。


 ラトゥールは巧みな槍捌きでバアルにダメージを蓄積させていく。

 しかしその度にバアルに稲妻が落ち、バアルの体力は回復する。



 そしてラトゥールの戦技も卓越している。

 いくらバアルが雷撃で攻撃しようと、先を読みその攻撃を全て紙一重で交わす!


 しかし―――

 ラトゥールは全てのバアルの攻撃『雷撃』を交わしているのだが………

 雷とは一本の線ではない!

 木の枝のように雷撃は枝分かれし、その細い雷の枝がラトゥールを霞める。

 微量の雷が徐々にラトゥールを帯電させていく!



 そして…… 永遠に続くかと思われた紙一重の攻防の均衡が崩れる。

 遂にラトゥールの帯電が稲妻を引き寄せる―――!


 バアルのはなった雷撃を、パターン化したようにラトゥールは難なく紙一重で避ける!


 しかし雷撃が曲がる!!

 雷撃はラトゥールに引き寄せられ、紙一重の見切りで避けたはずのラトゥールに直撃する。



「ぐわぁっ!」



 さらにバアルが雷撃を放つ!

 ラトゥールは、また紙一重で避けるが………

 また雷撃はラトゥールに引き寄せられ直撃する。



「ぐわぁっ! ………っく!」



「よぅ頑張ったのぅ。 じゃがもうお前はワシの術中の中じゃ、命までは取らぬ……… 負けを諦めよ!」


「フン、この程度で傲るなど笑止!」


「ならば、心折れるまで我が雷撃を食らうがいい!」



 その瞬間バアルが雷撃を放つ―――

 ラトゥールは避けるが………

 やはり雷撃はラトゥールに引き寄せられ曲がりラトゥールへ直撃する。



「ぐはっ! ………………。」



 攻撃しても直ぐに再生される。

 バアルの雷撃を避けても―― 帯電したラトゥールの体は、雷撃を引き寄せてしまう。


 このラトゥールのもう詰んだ状況に……… バアルは慢心し油断する。




 ラトゥールはその隙を突く―――!


「我の命に従い神罰の棘をもって全ての敵を刺し穿て―――!」

「ゲイ――! ボルグ――――――!!!」



 すぐに回復できると慢心するバアルは、ラトゥールの奥義、ゲイボルグを避けもせず直撃する。

 いや……、警戒していたとしてもバアルにはラトゥールの奥義を避けることは出来ない。



 ゲイボルグの直撃を受け、胸に風穴があいたバアルは、すぐに回復をするために、自分に雷撃を落とす………



 しかし―――!!!



  ≪――――Εμπόδιο(エンポディオ)(遮断)――――≫



 ラトゥールがバアルと自分を覆う結界を張り、雷撃を遮断する!!!



 ラトゥールの構築する結界は、ディケムが構築する遮断結界に比べれば、お粗末な代物だ。

 しかし……… 今はそれで十分!



 ダメージを回復できると慢心するバアルは目を見張る!



「ッ――っな!  バ、バカな!!!」



 そしてラトゥールはこの自ら作ったチャンスを逃す程、愚かではない。



「刺し穿て――――――! ゲイ・ボルグ――――――!!!」


 さらにラトゥールは奥義で、バアルに大ダメージを与える。




「小癪なっ――――――ッ!」



 バアルが吠え、最大級の雷撃を遮断結界に落とす―――!

 だが…… 結界は壊れない。



「ッ――っな………!」



 怯んだバアルへ、ラトゥールはさらに奥義ゲイボルグを追撃し、大ダメージを与える。



「グッハ!   お、おのれ―――!!  この魔神風情が――!!!」


 瀕死のバアルが、呻くように吠える!

 そしてこの追い込まれた状況に、バアルは最後の手段に出る。




「いでよ! このバアルの守護竜、【シュガール】よ―――!!!」



 ズドォォォォンッ!!  バリバリバリバリ――――――!!!!

 ズッ——ガガガガガガッ———!!



 一斉に数百の雷が遮断結界に落ちた後、一際大きな稲妻の柱が立つ!

 そしてその稲妻の柱の中から―――

 巨大な雷を纏い、帯電したように青白く光る竜が出現する!!!




 その体は、すべての稲妻を集めたように青白く光り!

 目は見た者の魂を喰らい尽くすような金色!

 翼は雷で形作られたように常に形を変え、稲妻のように早く飛び、触れた者を消滅させる。

 そして竜の爪と牙は一際青白く発光し、切り裂くと同時に超電圧で敵を消滅させる。





 バアルがいくら雷撃を落としてもビクともしなかった遮断結界を、雷嵐竜シュガールはいとも容易くその爪で切り裂く。


 遮断結界より解放された瀕死のバアルは、雷をその身に落とし、完全復活する。




「魔神! 危なかったぞ! このワシが消滅寸前まで追い込まれた!  シュガールまで召喚した今、もうお前を滅せねばならぬ!!!」



 バアルの宣言を聞き――― ラトゥールはニヤリと笑う。


 ラトゥールはこの時を待っていた。

 そして腕に付けた腕輪にマナを注ぎ込み何かを呟く………



 すると―――


 バアルとラトゥールの間に突然魔法陣が出現する!

 魔法陣は強く光り出し―――

 徐々に何かが転送されてくるのがわかる……


 そして、魔法陣より一人の人族が現れる。



「お待たせしましたディケム様」

「あぁ…… ご苦労様ラトゥール」


「あれが雷と破壊の精霊バアルと雷嵐竜シュガールか」


「はい。 私がシュガールを引きつけます。 ご存分にバアルと戦いください」

「ありがとうラトゥール」




「ではバアル。 お前との契約は力比べで勝てば良いのだったな?」




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