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寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第五章一節 それぞれのイマージュ  ララと妖狐
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第五章10 ガシャ髑髏

ララ視点になります。


 翌朝、私とヴィニコルは呪いの大元と思われる毒沼、モエレ沼へ向かい出発した。

 途中の村にも立ち寄りながら、情報収集をする。




 そしてある村で興味深い話を聞く。



 数年前、その村に疫病が蔓延し、多くの者が亡くなった。

 どんな薬も効かず、万策尽き、村は全滅を待つしかなかった。


 しかしそこに領主と妲己が視察に来た。

 妲己は村人がアダテ湖から引いている水の使用を禁止し、モエレ沼の水を使うように指示をしたらしい。


 『毒沼の水を……?』


 皆、疑問には思ったが村人は藁にも縋る状況だった。

 言われた通りに沼の水を使い、飲み水も沼の水を濾過して飲んだらしい。

 すると、みるみる村人は回復し、疫病は無くなったという……


 それ以来村では湖の水は禁止、ずっと沼の水を使っているらしい。

 他の村では妲己宰相は悪政の権化と言われているが、この村では救世主の如く語られている。




「ヴィニコルどう思う?」


「モエレ沼を調べるしか無いですね…… 正直、全領民とヴォルタさん達が呪われた今の現状では、モエレ沼は呪いの元凶だと思うほうが自然です」


「だよね…… 他の領民を信じさせるために、一度は故意にこの村の呪いを回復させたか? だよね」




 その時、式神に反応が来る――!


 私は式神に意識を向ける!

 式神を通して見られる視界に、ガシャ髑髏がゆっくり動き出す光景がみえる。



「ヴィニコル大変です! ヴォルタさん達ガシャ髑髏を起こしちゃったみたい!」


「ッ————えっ!」


「ごめんヴィニコル、私どうしても毒沼を調べたいの! 私が行くまでヴォルタさん達を手伝ってガシャ髑髏押さえ込んでくれる?」


「了解です!!!」




 私はヴィニコルと別れ、村人の言うモエレ沼に向かった。

 領民全てにこの沼から引いた水を使うように妲己宰相は御触れを出している。


 本当にこの沼の水が全領民に呪いを与えているのか?

 それとも———



 沼から流れる川を辿る。

 正直この水を飲めと言われても、水は濁り『嘘でしょ?』と言う酷い色をしている。


 だがララは違和感に気づく、その濁っている水に、瘴気の類は感じられない。

 悪臭というよりは、漢方系の毒素を出すための異臭を感じる。


 そしてララは源泉の沼にたどり着く。

 そこは鬱蒼とした森の中に、確かに毒の沼のような雰囲気を漂わせていた。


 しかしララは目を見張る!

 その禍々しく見える沼は、見た目とは逆に溢れるマナの力を内包していた。



「ッ―――—なっ!  ここはなに?」


 ⦅やっぱり………⦆



 その沼は、アダテ領民にしか入れないように丁寧に結界が貼られ、誰も手出しできないよう大切に守られているのが分かる。

 さらにこのマナに満ちたこの森にはドライアドの存在も感じる。



 私はこの沼を調べるために、通信用の『言霊』魔術具を使いディケムと連絡を取る。


 『ディケム!聞こえる?』

 『あぁどうしたララ』


 『今、沼の調査をしているのだけれど、私の座標分かる?』

 『あぁ、沼の座標も把握した』


 『ここの沼調べられる?』

 『了解、ドライアドを使って調べてみるよ! 一刻ほど時間をもらえるかい?』


 『ありがとう、連絡待ってます』





 私が沼を調べていると、ヴィニコルから緊急連絡が入る。



 『ララ!緊急事態発生です。 ガシャ髑髏抑え込めませんでした! 湖に巨大なスケルトンが出て来ちゃいました!』


 『うっは! ガシャ髑髏でて来ちゃいましたか! 住民の避難は?』


 『今、領主憲兵隊の兵士達が先導して行っています。 今のところ妲己宰相の邪魔は入っていません!』


 『ヴィニコルはヴォルタさん達と合流して、市民の避難誘導を優先して!』


 『ハイ! それからララ! ガシャ髑髏がスケルトンを一〇〇体ほど引き連れています!』


 『ッ——な! でもやることは変わりません! 戦線を維持して市民の避難を優先で!』


 『了解しました、おねがい早く来て―――!』




 私は早急に街に戻る事にする、沼の調査は、あとはディケムがやってくれるはず。

 私は馬型のクリスタルゴーレムを作り出し、それに乗り街へ急ぐ。


 ⦅馬型のクリスタルゴーレムって、結構カッコいいんだよな~⦆


 なんて思いながら……


 正直クリスタルゴーレムでの移動はそれ程早くない、やはり移動は風属性が良い。

 だけれども、普通の馬くらいの速さはあるし、耐久度はピカイチ!

 どんな悪路でも大丈夫、あとはやっぱり見た目かな。


 クリスタルの馬とか……  素敵すぎる~♪




 だんだんと街に近づいてくると、ガシャ髑髏のその異様な大きさが分かる。

 一〇メートルは超えるだろうか…… よほど誰かへの恨みが大きいのだろう。



 街にたどり着くと、野次馬は沢山いるが、安全な場所で見物しているのが分かる。

 避難誘導は完了しているようだ。


 私はヴィニコル、ヴォルタ達と合流して討伐隊に参加する。


 領主憲兵隊はとても訓練され、一糸乱れぬ隊列でスケルトンと戦っている。

 だけれども、残念ながら武器には聖属性が付与されていない、何度スケルトンを倒しても直ぐに復活している、長期戦になればジリ貧だ。





「ガシャ髑髏でっか!」


「すまないララさん、ガシャ髑髏起こしちまった」


「起きてしまった事は仕方ありません! 暫くガシャ髑髏は足止めしますので、一〇〇体のスケルトンを片付けましょう! 領民に被害は出したくありませんから」


「簡単に足止めするというが…… 何か策はあるのか?」




 私は乗っている馬型クリスタルゴーレムを解除して、今私が作り出せる限界のゴーレム、クリスタルドラゴンゴーレムを一体作り出す。


 出来上がった巨大なクリスタルドラゴンゴーレムを見て、ヴォルタさん達、アダテ領主憲兵隊、野次馬の領民達が目を見張り、唖然とする。



「さあドラゴンゴーレム、ガシャ髑髏を足止めして!」



 このドラゴンゴーレムは素材のクリスタルにルナの加護を付与している。

 悪霊系のガシャ髑髏は組み合うだけで浄化のダメージを受ける筈だ。




 さて、今のうちに一〇〇体のスケルトンの対策だ!




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