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寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第五章一節 それぞれのイマージュ  ララと妖狐
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第五章3 カワイイ新装備

ララ視点になります。


 ディケムに呼ばれてヴィニコルと執務室に行く。

 いつもは、任務の打ち合わせはラトゥール様と行うだけなのに……



 執務室に行くと、ディケムから新しい装備をもらう。


 なにこれカワイイ! 真っ白いフードが付いたローブ。

 いま時のおしゃれローブに仕上がっているけど、その内包されているマナが凄まじい。



 これ、年配魔法使い殺しかもしれない……



 年配の魔法使いは私たちの服を見て、『いまどきの若い物は格好ばかりだ!』といつもグチグチ言っている。

 しかしこのローブは防御力も伝説のアダマンタイト級とか…… 嘘でしょ?

 この可愛さで最強装備とか、いつもディケムには驚かされる。




 ヴィニコルもミスリルの新装備をもらっていた。

 防御力はオリハルコン級だとか。


 赤が基調で貴族騎士の服っぽくてカッコいい。

 ミスリルの装備でもラトゥール様が欲しがっていたから……

 その価値がうかがえる。



「ヴィニコルの服、すごく似合っててカッコいいね!」


「ララ…… 私を一緒に連れまわしてくれてありがとう!  こんな規格外な装備をもらえるとは…… 感無量よ!」



 公の場ではヴィニコルは私を『様付け』してくる。

 年上の先輩に『様付け』されるのは歯痒くて仕方ないけど……

 軍とはそう言う所、と割り切るしか無い。


 平常に戻った時は、気軽にララと呼んでくれる。

 さすが年上の先輩、そこらへんのメリハリはしっかりしている。





 私たちは新しく貰った装備に心を弾ませ、昼食をとるために食堂に行く。


「ララお疲れ様。 何そのローブ可愛くない?」


「ルルありがとう、ディケムに褒美として貰ったの! ヴィニコルの服もそうよ」



 『ディケムから貰った』の言葉を聞いて、食堂の騎士たちが皆集まってくる。



「ちょっと、ララ! そのローブよく見せてくれないか?」



 コルヴァスとカミュゼが…… 遠慮も無しにすぐに食いついてくる。

 さすが男の子は目新しい装備に目が無い。

 それがレア装備になった時には…… 怖いくらい私の着ているローブを凝視している。

 女の子が着ていようが、新しい装備を見る為なら容赦ない。


 まぁ…… ここは王国の騎士団が切磋琢磨する最前線。

 生き残るために、性別で遠慮などしていられない。



「すごいでしょ! オリハルコンの糸で編み上げた特別製!  防御力は伝説のアダマンタイト級で七属性の耐性込みだって!」


 皆が感嘆の声を上げる。


「ヴィニコルの服も、ミスリルだけどオリハルコン級の防御力と属性付き! 良いでしょ?」


 皆が目を見張る!


 そしてまた……

 コルヴァスとカミュゼが、遠慮も無しにヴィニコルが着ている服を凝視している。

 流石のヴィニコルも嫌そうだ。



 しかし………

 ヴィニコルの装備に食いついたのは、コルヴァス達だけでは無かった。


 ラローズ先生、ティナ先輩、トプハネ先輩の実践部隊が特にヴィニコルの装備に食いついている。

 エミリア先輩やリグーリアはまだ戦闘経験が無いので実感がわかないようだ。


 ポートはいつも通りポーッとしている……



「ララの装備は―― ちょっと私達には分不相応で欲しいなんて言えないけど……  ヴィニコルの装備は、本当に欲しいわね」


 ラローズ先生が食い入るように見ている。


「先生はミスリル装備お持ちですよね?」


「ええ。 ラスと同じフル装備では持っていないけれど、幾つかは持っているわ。 それに一応、ラスが元英雄、勇者扱いだったから、何度か陛下よりオリハルコン装備をお借りしたことがあるの。 だけど…… ヴィニコルのこの装備は、属性が付与されているから、オリハルコンを超えているわね。 ホント…… ディケム君はいつもとんでも無い物を作り出すわね」


「先生…… ララの装備どころか、ヴィニコルの装備がすでに分不相応ではないでしょうか?」


 皆が『はぁ……』とため息を吐き頷く。





「ちょっとラス! この服見てよ!」


 ちょうど食堂に入って来たラス・カーズ将軍をラローズ先生が呼び止める。


「ん? とても似合っているじゃないか……… ん? な、なんだこの服は!」


「あのぅ…… ラス・カーズ様、あまり引っ張られると痛いです!」



 …………。 ラスさんも、コルヴァスとカミュゼ同じだ。

 男の子はいくつになってもレア装備に目が無いらしい。

 女の子が着ていようが、新しい装備を見る為なら容赦ない………



「ヴィニコル! この服はなんだ! とてつもないマナの内包量を感じるぞ!」


「ディケム様に頂いたのです!」


「ラス、この服ミスリルを糸にして編まれた服らしいのだけれど、オリハルコン級の防御力と七属性の耐性を持っているそうなのよ!」


 ラス将軍が目を見開く


「なっ! もう国で管理するレベルの装備じゃないか!」


「金属を糸にして編むという発想も凄いけど、それが出来てしまう事も驚きよね。 しかも、その工程により金属の質を一段階以上上げることに成功している。 ほんと…… このディケム君の研究施設は、私達の概念を壊すビックリ箱のようね」



「ヴィ、ヴィニコルそれを俺に――」


「ダ、ダメです! これはディケム様が私にって――!」


 皆の『譲ってくれ!』の圧にヴィニコルは泣きそうになっている。





 するとディケムとラトゥール様が食堂に入ってくる。


「ディケム様助けてください!」


 ヴィニコルがディケムに向かって走っていく。


「どうしたんだ、ヴィニコル?」


「皆が装備を譲ってくれと凄いんです!」



「…………。  ラスさん、ラローズ先生…… どうしたんですか?」


「いや…… ディケム様! 申し訳ない。 ヴィニコルの装備があまりに素晴らしかったので、欲が出てしまいました」



 『その気持ちはわかります』 ラトゥール様まで賛同している……



「これはララとヴィニコルがこの頃任務を頑張っているから褒美を兼ねて――、そして次のSクラス任務の準備ですよ」


「Sクラス任務ですか?!」


「相手は神獣らしいのですよ」



 『し、神獣……』 皆が息をのむ。



「今のララとヴィニコルなら大丈夫だ。 ラス将軍もラローズも頑張らないと、どんどん下の世代が育っているぞ。」



 ラトゥール様が念を押すと、二人とも青い顔になっている。






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