表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第四章 地底都市ウォーレシアと封印されし暗黒龍
145/553

第四章33 精霊の召喚宝珠

マディラ視点になります。


 カミュゼ達の準決勝が終わり、回復などの為、決勝までしばらく時間が空く。



 カミュゼもコルヴァス先輩も、大会の回復魔法師による治療が行われている。

 そこには、決勝を戦い抜いた戦士学校の生徒達が集まっている。

 ポートもその中に混ざっているのはお愛嬌。



 戦い前は、戦士学校の皆様は仲が悪いのかと思うほど、会話が無かったのですが……

 終わってみれば、結構仲が良いのですね。


 カミュゼも皆に『よくやった! 凄いぞ!』などと背中をバンバン叩かれています。





 十分な休息を取り、決勝戦が始まろうとしている。



 大歓声の中、コルヴァスのパーティーとララのパーティーが武舞台にあがる。

 正直…… 会場の観客予想はみな、ララ達の勝利を確信している。


 どちらが勝つではなく、ララ達がどのようにコルヴァス達を倒すのか―――

 それだけを予想し合っている。



 そんな、圧倒的な観客達の期待の中、ララ達の試合が開始された!!!





 開始直後、ララが一気に勝負をつけに行く!


 タンクのコルヴァス相手に、長期戦は不味いと判断したのだろう。

 ララが『クリスタルアロー』を二十本一気に作り発射する――!



 クリスタルアローは『必中ヴィニコル』戦で、すでに威力は確認済み!

 二十本のクリスタルの矢は例え威力が抑えられていると言っても、試合を決定づけるには十分すぎる本数だ!


 ララの本気度が伺える!



 観客は、ララの開始直後の強気の速攻戦略に大喜び!

 その容赦のない強烈な速攻攻撃が、コルヴァスパーティーを襲う!



 ズガ――ッン!  ズガガガガガガガガッ―――!!



 クリスタルの矢が、全弾コルヴァスチームに命中!

 凄まじい轟音と衝撃が会場に響き渡る!!


「ウォォォォ―――!!」

「ワァァァ―――ッ!」


「………………」


 期待通りの開始直後の激しい攻撃!

 観客は大いに盛り上がったが―――


 直撃したその威力を見て………


 『お、おい…… これ死んでないか?』

 と唖然とし、その容赦のないララの攻撃に会場は言葉を無くし静まり返る。




 誰しもが、この武舞台の惨状に試合は既に終わったものだと確信していた。

 いや…… 唯一ディケムだけは、なぜか不敵な笑みを浮かべて武舞台を見ていた。



 爆発で巻き起こる爆煙が晴れていく―――

 ララ達、観客はそこに戦闘不能になったコルヴァス達を想像していた……

 しかし、現れたのは想像もしなかった姿!!!



 煙が晴れると、そこには何故かクリスタルの壁が出来ている………

 そしてその後ろには、無傷のコルヴァス達が立っている!



「ッ―――なっ!  えっ!?  ウソ!!」


 ララは目を見張り驚き、何が起きているのか理解が追いつかない。



 コルヴァスは自分の盾を媒体として、クリスタルの壁を作り、自分のパーティー全員を守っている。

 そして、そのコルヴァスの肩には精霊ルナが座っている――!



 ララが驚きのあまり叫ぶ!


「チョッ! こ、これはなに? ディケム――!!」




 コルヴァスの肩に乗るルナを見て、ララはディケムが何かしたのだと確信する―――

 だが、いくらディケムの名を叫んでも…… この場で教えてくれるはずもない。



 『悩んでいる暇など無い!』

 ララはすぐに思考を切り替え加速させ、次の行動に思案を巡らす。



 しかし………

 今度はコルヴァスのヒーラー、先の試合でファインプレーを見せた『ティナ』が水晶オーブを取り出す!

 そしてオーブに魔力を込め叫ぶ―――!


「ウンディーネ様! お力をお貸しください!」


 すると、オーブは一度大きく光りウンディーネが姿を現す。




「ッ――なっ! ウ、ウンディーネ様まで!?」



 皆が目を見張り、予想だにしなかったその光景に混乱する!

 ショー的な意味では、予想を裏切る展開で観客は大盛り上がり。


 しかし! 当事者のララ達は喜んでいられない……

 



 最初はその光景を愕然と見ていたララだが………

 すぐに気持ちを切り替え、少しでも多くの情報を集めようと試合に集中する。



 警戒を最大限に高めたララが、ウンディーネに尋ねる!



「なぜですか!?  ウンディーネ様!?」



 そのララの悲痛な叫びを聞いた多くの者は……

 彼女の心が負けそうになっていると勘違いしたかもしれない。


 しかしララは、ダンジョンでの経験を通して成長している。

 戦いの最中の思考の停止、戦意喪失は負けを意味する。

 ララの問いかけは、悲痛な叫びに聞こえたかもしれないが、それは諦めた者の叫びでは無かった。


 ララは勝機を見つける為、今、何が起きているのか、必死に情報を集める。




 ララの問いにウンディーネが答える。


「フン! ディケムが水晶オーブを使って精霊の召喚宝珠を作りおったのじゃ!  宝珠に込めたディケムのマナを触媒として、術者のマナで我ら精霊は呼び出される。 もちろん、ディケムのマナが触媒じゃから、ディケムが良しとしないものには、我ら精霊は力を貸しはしないが………  良しとした者には、オーブを触媒とし術者に力を貸す…… と言う事じゃ」




 ソーテルヌ総隊の皆も驚愕する………


 ⦅ちょっ! なっ……、なんって物ディケム様は作ってるのですか!!!⦆

 ⦅しかも、それを敵側のコルバス先輩に渡すなんて!!⦆




 ウンディーネが説明した後、それに続けてコルヴァスがララ達に叫ぶ!


「俺たちもこの決勝戦、精霊様の力を存分に使わせてもらう! しかし、お前達は精霊様を具現化してはいけないと自分に枷をしている! だからこの勝負は俺たちが貰う! お前らが日ごろどれだけディケム様の恩恵に預かっているか、この機会に噛み締めるが良い!」



 そう言うと同時にコルヴァスがクリスタルの槍を十本ほど作り出し射出する!



「ちょ!! まっ…… きゃ――!」


 ララの叫びも届かず、クリスタルの槍はララ達を襲う!



 ドゴ――ッン!  ズガガガガッ―――!!



 ララは、あまりの驚きと絶望に、思考停止しそうな頭を無理矢理奮い立たせ、辛うじてクリスタルの壁を作りだした、そしてクリスタルの槍を防ぐ!



 会場中に轟音が響き渡る!

 予想に反した、コルヴァスパーティーの精霊魔法攻撃に、観客は盛り上る!!



 この流れは不味いと、ディックが仕切り直すために、横合いからファイヤーボールを撃ち出す!

 しかし今度はティナが水の壁でファイヤーボールを防ぐ。



 ディックの攻撃は防がれたが、この攻撃でララとギーズは冷静さを取り戻した。


 冷静を取り戻したララとギーズが精霊魔法を使い激しい攻防を繰り返す。

 それに対してコルヴァスとティナも精霊魔法を使い攻防する。


 両パーティー互角の激しい精霊魔法戦いが続く。





 両陣営の精霊魔法による幾度かの攻防で、観客には両パーティーの力は互角、均衡しているかに見えた………

 しかしその均衡はすぐに崩される。



 コルヴァスの精霊ルナと、ティナの精霊ウンディーネが実体として戦闘に参戦したからだ!


 四対三の攻防が六対三になる!

 しかも増えた二名が精霊となれば、戦力は六対三以上のアドヴァンテージとなる。



「ちょっ! うそ――!」

 


 ララ達の懸念は、覆せない実現となりララ達を襲う!

 コルヴァスパーティーの一方的な蹂躙劇が始まろうとしている――


 そして、その攻撃にララ達は防戦一方に陥いる。



 ゴゴゴゴォッ――!   ズガガガガガガガガッ―――!!



「きゃ――! うそ! ちょ、もう無理! 死んじゃうから!」



 会場に、爆音とララの悲鳴だけが響き渡る…………




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ