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寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第四章 地底都市ウォーレシアと封印されし暗黒龍
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第四章27 グラディアトル開幕

マディラ視点になります。


 私はマディラ・ボアル。


 ボアル准男爵の娘として生まれ、現在ソーテルヌ総隊の側近の一人として、ディケム・ソーテルヌ侯爵にお仕えしています。




 私がディケム様にお会いしたのは、たった一年半前、その時は伯爵様でした。

 それからたった一年半で侯爵にまでなられました。

 その一年半が怒涛の大活躍だったのですけれど。



 私、いや私たちがディケム様とお会いしたのは、魔法学校入学前。

 教会での白魔法講習会、そこでララと出会ったのが切っ掛けでした。


 それからは、ディケム様のお屋敷での訓練に参加させてもらい。

 毎日お屋敷に行くようになりました。

 ポートが精霊部隊に入ったりしたけれど、私とトウニーは側近に取りたててもらいました。

 いま貴族で一番話題の、ソーテルヌ侯爵の側近に選ばれたことを、家族は大変喜んでくれました。





 そして、今日は戦士学校の剣闘大会『グラディアトル』が開催される日です。

 今、ディケム様は交流留学で戦士学校へ通っておられます。

 もちろんこの競技会が終わればまた魔術学院へ戻っていらっしゃいます。


 当初の予定は留学した四人でチームを組み大会に出場する事が目的でしたけれど……

 またディケム様、戦士学校でも色々やらかしたらしく、ディケム様はあまりにも学生の枠に収めるのは難しい――

 ようは強すぎて試合にならないから、ディケム様以外の三人だけでの出場となったそうです。



 『グラディアトル』は四人一組が規則らしいですが、負傷者が出た場合は三人で出ることもあるらしいのです。


 ですが……

 ララ、ディック、ギーズは基本魔法使い、大丈夫でしょうか……? とても心配です。



 『グラディアトル』には、他にもうちの部隊から、カミュゼが出場します。

 そんな事も有り、うちの総隊の皆で応援に行く予定でしたが――

 ララ達が戦士学校と魔法学校の交流の為に出場する名目なのと、もともと『グラディアトル』は国の一大イベントという事も有り、魔法学校総出で応援&交流に行くことになりました。





 『グラディアトル』の会場は、王都の中心にある、円形闘技場コロッセウムで行われます。


 私たちはコロッセウムに到着して、応援席に着き会場を見渡すと――

 学生イベントとは言え、さすが国の一大イベントです。

 見物席の王族席に、シャンポール王が来られ、さらに今年は魔法学校も総出で応援に来ているので、留学しに来ている各国の王族も、シャンポール王の回りに座っています。


 ちなみに我らが主、ディケム様もその末席に座られています。

 王族と席を共に出来る貴族は、ほんの数人しかいません。

 さすがですディケム様!


 その横には、魔神族大使ラトゥール将軍閣下もいらっしゃいます。

 同盟国の大使なので、本当はシャンポール王の隣に座るのが定石でしょうが――

 ディケム様の隣に居たかったのでしょうね……

 席順を決める宰相の困った顔が浮かびます。


 私たちも護衛兼側近として王族席に参りたかったのですが……

 王族席は警備の観点から、シャンポール王の王国騎士団第一部隊に限るそうです。

 確かに、皆が勝手に護衛を連れて行くと、怪しい者が紛れ込んでも分からないですものね。


 ディケム様も、開会式が終われば、王族席を離れララ達の傍に行くとおっしゃっていました。


 そしてこの大会のときだけ、各地で所領を守っている王国騎士団全十二部隊の隊長、もしくは副隊長が一堂に会します。

 もちろん、国の防衛が疎かになってはいけません、大会に来られるのは隊長もしくは副官のどちらかだけになります。


 この大会は、各部隊が自分の部隊に欲しい人材を探す場になり、学生も最大のアピールの場になるそうです。





 『グラディアトル』は、闘技場に作られた、武舞台の上で行われます。

 闘技場には治癒魔法と防御魔法を組み合わせた魔法陣が組み込まれています。


 その為、ダメージは軽減され、致命傷は瞬時に治るようにできているらしいのです。


 ですので…… 武器の種類はなんでも可、たとえ伝説の武器を持ち込んだとしても使用可能だそうです。

 さらには魔法も道具も何を使っても良いそうです。


 その為、戦闘が激しくなり、過激になり見応えがあるので、国民の娯楽としてとても人気が高いそうです。

 噂の範疇ですが、奥儀や魔法、火薬などが派手に見えるような、エフェクト魔法陣も組み込まれているという噂も有るほどです。



 『グラディアトル』の勝利条件は、チーム全員の行動不能、武舞台からの場外。

 反則事項は、唯一明らかに相手を死に至らしめる攻撃との事でした。


 このような過激な大会に、お友達のララが出場すると思うと心配でしょうが有りません。

 ララ達の出場名目は、学校同士の交流と、魔法が戦闘にいかに有効かを戦士学校に見せるとの事でした。

 このような俗しい大会で、そのような高尚な目的が理解いただけるか疑問です。




 『グラディアトル』の予選は、参加グループ全員を四組のグループに分け。

 武舞台の上で、グループ事全員で戦い合うバトルロワイヤル、生き残り戦になるそうです。

 生き残った上位二チームが本戦出場になります。


 本線は、トーナメント方式。

 勝ち抜き戦で、勝者同士で対戦を繰り返しながら、最後の勝者チームを決めます。




 こんな野蛮な大会に、あのララが出場しても大丈夫かしら!

 確かに会場を見ると、女性も半数近くいますが……

 ほとんどの女性が鋼のような肉体をしてましてよ!


 ですが、さすがはディケム様の近衛隊三人です!

 参加選手にミスリル装備をしているのはララ達三人とカミュゼ、コルヴァスだけです。


 王を守っているラス・カーズ将軍ですらフル装備を持っていないのに……

 この五人はフル装備!

 会場内で明らかにこの五人だけ装備が輝いています!


 そしてさらに、ララの武器は――!

 『オリハルコンの弓』

 会場内の誰しもが目を奪われています!



 戦士学校のダンジョンから戻られたディケム様達が『オリハルコンの弓』を手に入れたことは、戦士学校だけのニュースにとどまらず、王国全土のニュースになりました。


 人族各国にオリハルコンの装備は、数えられるくらいしか現存していません。

 そして各国の国宝として国が管理し、事が起きたときだけ国がその国に所属する勇者に貸し出します。

 シャンポール王国にも国が管理するオリハルコン装備が二つ程あると聞き及んでいます。

 オリハルコン装備は、国の切り札、対外的にどのような装備が有るのかは秘匿とされているようです。



 ですので、このたび手に入れた『オリハルコンの弓』、通常でしたら国が管理する国宝と指定する装備になりますが――

 ですが、そんなこと知らないディケム様はララに『これ上げる』となり……

 国も、ディケム様が手に入れてきた装備を国によこせとは言えず……


 ララは人族で唯一個人的にオリハルコン装備を持っている少女になりました。

 正直、国は強大過ぎる力を持つディケム様に物言えない立場にあるようです。

 オリハルコンの装備を手に入れて、ディケム様を失ってしまったら、損失のほうが甚大ですからね。




 ですが―― この暗雲とした世の中、希望のニュースは瞬く間に広がります。

 ミスリルのフル装備にオリハルコンの弓を装備する美少女の絵姿。

 背後には、ゴーレムマスターをイメージさせるクリスタルの女神像も描かれます。

 国中の新聞にララの絵姿が描かれ、瞬く間に広がりました。


 オリハルコンが勇者しか装備できないという人々の刷り込みも有ったのでしょう。

 ララが希望の勇者として国中に知れ渡るのに、時間はかかりませんでした――



 あの子大丈夫かしら、いきなり有名になってしまって……

 ディケム様のお屋敷では、ポワポワしていて、勇者というよりパン屋の娘感が凄いのですけれど……



 そんなパン屋の娘、勇者ララ率いる、ソーテルヌ総隊近衛隊三人を一目見ようと、今年の『グラディアトル大会』は例年にも増して、観客が押し寄せました。

 魔法学校の参加も観客の興味を集めたのでしょう。




 ララ達が大勢の観客の注目の的になった『グラディアトル』が始まります。




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