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寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第四章 地底都市ウォーレシアと封印されし暗黒龍
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第四章21 導き手


 俺たち二チームは、十四階層への階段がある、ヒュドラが居たフロアボスの洞窟に向かう。

 洞窟入り口には、リザードマンの兵士たちが、洞窟から出てくる下級悪魔を迎え撃っている。


 すぐに、ララがルナの加護を全員にかける。

 対悪魔もルナの聖なる加護が有効だ。


 リザードマン兵達の戦いに俺たちも参戦し、二チームでゴリ押しして進む。

 すぐにボス部屋まで来たが、ヒュドラは復活していない。

 『なぜ?』とは思ったが…… 今はそちらの方が、都合がいい。 

 すぐに十四階層への階段を降り、そのまま二チームで連携して進む。


 しばらく下級悪魔を倒しながら進むと、大きな広場に出た。

 ここには、かなり多くの下級悪魔が居たが、二チームで挑めばすぐに制圧することが出来た。


 ここで各チーム事に分かれる。

 ラス将軍チームは、十三階層に戻り、リザードマン兵達と合流し出てくる悪魔の駆除。

 ディケムチームは、このままフロアボス攻略に挑む。


 俺のチームは、ラトゥールが前に出て、雑魚を一掃したがったが、俺はラトゥールを止めた。

 タンクのコルヴァスと中衛剣士のカミュゼに経験を積ませたかったのだ。

 俺もタンクなのだが、出来るだけコルバスに任せ、俺は補佐に回る。

 少し時間がかかるが、コルヴァスとカミュゼの連携はかなりいい。


「ラトゥール、なかなか良いパーティーだと思わないか?」


「はい、バランス良いと思いますが―― ディケム様がタンクなのが……、 ディケム様は一番後ろで、指示をしていただければ良いのです!」


「皆が育ってきたら、そうさせてもらうよ!」

 俺は笑いながら答える。


 ララは、白魔術師だが、精霊ルナが使える事により、唯一無二のヒーラー兼サポーターになっている。

 ララが居るだけで、コルヴァスとカミュゼが安定した仕事が出来ている。

 正直、今この三人しか仕事をしていない。



 コルヴァスには十階層以降の難しさ、コルヴァスの今のパーティーでは無理な事を学校でアドバイスしたが、彼はこのアドバイス生かすことが出来なかった。


 管理局がダンジョンマップを生徒たちに公開しない理由――

 『学生は自分を冷静に評価して自制する事が難しい……』

 コルヴァスほどの天才ですら、この罠に陥った。


 しかし、今コルヴァスは体験し、経験しているだろう。

 自分たちに何が足りなかったかを。


「やはり、天才といえども、導き手が居る居ない(・・・・・)は大きなことなのだな……」

 おれが呟くと。


「多くの才能を持った若者が、開花せずに死んでしまいます…… かと言って、手取り足取り教えればいいというものでもありません…… 教育とは難しいものですね。 全ての者を救い上げることは出来ません。 ディケム様は手の届く者だけでも救い上げれば良いと思います」


「ラトゥールはいつも俺の欲しい言葉をくれるな」


 『フフ~ン♪』 とラトゥールが満足そうな顔をする。

 そんな余計な事を考えられるくらい、コルヴァス、カミュゼ、ララの組み合わせはうまく機能しパーティーに余裕があった。


 ギーズも参加したそうだが…… コルヴァス、カミュゼの経験を積ませるために、待機してもらっている。

 フロアボスの固有スキルを三種、『毒合成』『腐蝕の邪眼』『地獄の業火』をラーニングし、風の精霊シルフィードと繋がってしまった今のギーズは強すぎるのだ。


 これでもしパズズの『アバドン』を覚えてしまったら……、もう魔王なのではないだろうか?



 ちなみに、パズズの固有スキル『アバドン』は、熱風とイナゴと疫病の三種の合わせ技攻撃だ。

 疫病は、毒合成で疫病毒を作って十二階層のファイヤーウルフを全滅させた。

 この時疫病がどれほど強力なスキルかが実証されたが――

 毒合成で作った疫病は、敵に感染させるのに四人で協力しなければならず、色々手間がかかった。

 さらに伝染するのに一~二時間、時間もかかった。


 だが、パズズのアバドンは熱風とイナゴで攻撃しながら迅速に感染を広げられる。

 戦略的にこれはもうかなりヤバイスキルだ。

 しかも、シルフィードと繋がったギーズは、熱風をさらに強化できるだろう。

 シルフィードの『飛行』で空も飛べるだろうから、上空からイナゴと疫病をまき散らす…… ナニソレコワイ


 ギーズ…… もう魔王決定で良いだろう。


 あとはディックが、どう覚醒してくれるかだが――

 これだけは、焦っても仕方がない。

 焦らずゆっくりで良い、ディック!



 そんな事をいろ色考える余裕すらあり、俺たちは危なげなくフロアボス部屋の扉の前にたどり着いた。



 ボス部屋突入する前に、事前に打ち合わせたことを再確認する。

 ララと俺が、ギーズ以外のメンバーに、精霊の加護各種をかけまくる。


「ギーズ以外は加護で、かなりの安全マージンが有る筈だ、全員でギーズのサポートに回る! 行くぞ!」


「はい!」


 俺は大きな鉄の扉を開き中に入る。

 この部屋には、いつもの様に召喚魔法陣でボスが召喚されるのではなく、既にパズズが玉座のような椅子に座って待っていた。


 十三階層フロアボスのヒュドラが復活していなかった事も有り、少しおかしいと思っていたが……

 やはり、悪魔に寝食され、ダンジョンコアも正常に機能していないのかもしれない。

 ヒュドラも悪魔が放ったと聞いていた事だし……


 さぁ! 気合を入れて魔王『パズズ』に挑む―――!




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