第一章11 鑑定の儀2
長々とラス・カーズ将軍と話してしまったが、ここまで話を聞いておいて、鑑定してみたら実は俺には才能が無かったとかだったら痛すぎる。
ドキドキしながら再度鑑定のテントに戻る。
なぜか鑑定師がこちらを見て緊張している、緊張するのは普通鑑定される方だろう?
「で、では…… 鑑定をさせて頂きます」
俺は鑑定師の指示通りに水晶に手をかざす。
すると水晶に色が浮かび上がった。
鑑定師がその色と模様を見て悩んでいる。
「魔法使い系の才能なのは分かるのですが……… どの系統の才能なのかよく分かりません。 全ての色が混ざっているような………」
俺の能力は鑑定師泣かせの、混ざり合った能力らしい。
鑑定師が説明してくれる。
「我々鑑定師は鑑定受ける人の水晶に浮かびあがるマナの色を、過去の情報と照らし合わせて能力を判定します。 ですが人に個性があるように、マナの色も全員が白黒はっきりとしているわけではないのです。
普通ですと、黒の中に少し白が混ざっているとか、さらに青が入っているとかです。ですが基本色が黒なので、黒の能力と判断します」
鑑定師は、少し悩んでさらに説明を続ける。
「ですがディケム君の場合は……… もっと色々な色が混ざっているというか、別の物のような………」
「精霊使いによくある色じゃ。あまり多い才能ではないからオヌシは見たこと無いのであろう」
「せ、精霊様! お話し出来て光栄であります!!」
鑑定師はなるほどと考えた後
「少々お待ちいただけますでしょうか? 今の不確定な内容ですと、王国住民登録への能力表記が曖昧になってしまいます。 鑑定の儀の会場では複数人の魔術師による通話魔法を常設して、非常時の場合のみ本国と魔法で繋ぐことが了承されています。 これを使い王都の資料と照らし合わせる時間を下さい」
非常時の場合のみに許される通話魔法を俺の鑑定ごときで使っていいのだろうか?
そんな事を考えているとウンディーネから念話が来た。
(ディケムよ、先ほども言ったが、精霊使いは魔法系の能力がすべて混ざった色をしている)
(はい)
(じゃが、オヌシはマナの本流と繋がっておる。精霊使いよりももっと濃い色をしていて、厳密に言えばマナの色も違うのじゃ)
(はい)
(オヌシも気づいていると思うが魔法とはただ人間が系統立てて白だの黒だの区別しているだけに過ぎず、その現象は全てマナを使って具現化しているのじゃ。 マナに繋がっているオヌシは簡単に言うと何でもできる。 もちろん今のままでは無理じゃが、コトワリを理解したらの話じゃ)
(はい、一人で火炎球練習した時に何となく感じました。 マナの操作で作り出すので呪文の演唱すら必要ないかと………)
(その通りじゃ。 そしてマナと繋がった者は二千年以上現れていない。 じゃからオヌシのマナの色は王国では判別するのは不可能じゃ。 だがしかし、下級精霊を扱う精霊使いは少数だが存在する。王国にもその資料が有るであろうから、今回は精霊使いとしての能力登録となるであろう。 決して要らぬことは言うでないぞ!)
⦅わかりました、ありがとうございます。 ウンディーネ様はホント優しいですね⦆
(ディケムよ、契約した精霊に『様』はいらぬ。 オヌシが妾の主にあたるのだから、ウンディーネと呼びなさい)
(えっ…… でも………)
(オヌシが死ねば妾も死ぬのじゃ。 まぁ、死ぬと言うよりマナに帰ると言った方が正しいのじゃが……… 今の妾としての個が無くなる時点で、妾としては死も同然じゃ)
やはり、契約したときのウンディーネが俺のマナの中に取り込まれた感じは、間違いじゃ無かったのか。
(逆にオヌシが生きていれば、妾は何度でも甦ることが出来る! 様など付けていたら火急のときミスが起きるからのう。 精霊が契約をするということとは宿り主に全てを捧げると言う事じゃ。 妾は何が有ってもオヌシを守り通す)
(うん、ありがとう。 ウンディーネ)
「お待たせいたしました。 本国に照会したところディケム君は『精霊使い』で間違いないとの事でした」
鑑定師は『そりゃ精霊様が肩に乗っているのですから当たり前ですよね! ハハ』と笑っていた。
俺はウンディーネの言う通りに事が進み少しホッとしていた。
「とてもレアな能力です! 本国でも数人しかい登録が無いとても貴重な力ですから、これからの成長を楽しみにしています」
こうして俺の鑑定の儀は色々あり、やっと終わった。
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