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寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第三章 アールヴヘイムの六賢者
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第三章26 精鋭部隊ソーテルヌ侯爵総隊の任命


 ラトゥールはそのままうちに住むことになった。

 大使の事務仕事は、ほぼラトゥールの魔神族側近『マルティーニ』と言う女性が行うらしい。

 たまに内容をチェックして、ハンコ押すだけらしい。


 それを見て、俺も早く側近決めようと心に決めた。



 ラトゥールの朝は早い、ランニングに始まり一通り体を動かしてから、我々と一緒に朝食を取る。

 俺達はそれから学校に行くのだが…… ラトゥールは仕事をしているようだ。


 ラトゥールのこの頃のお気に入りは、庭のテラスでお茶をしながら仕事をする事らしい。

 さすが魔神族五将の一人、マナが見えるだけに精霊も見える。

 だから精霊の邪魔をしないように気が使えるから、テラスにラトゥールが居ても精霊達は怒らない。


 もちろんテラスは俺が管理しているので、ラトゥールは俺に許可を貰いに来る。

 精霊達もラトゥールの事を気に入ったようなので、ラトゥールには禁止したとき以外は自由に使っても良い事にした。


 ララ達は羨ましがっていたが、ララ、ディック、ギーズにはまだ精霊からも許しが出ない。

 ララは月の精霊ルナと繋がったので、少しはマシになったが…… まだ駄目らしい。

 テラスの許可を貰う事が、彼らの目標になっているようだ。




 朝、ラトゥールがテラスでお茶をしていると……

 王国騎士団第一部隊の騎士達が訓練に集まってくる。

 その訓練風景をラトゥールは暇つぶしに見ていたらしいのだが……

 世にその名を轟かせている、魔神族五将のラトゥールが見ているとなると、騎士達も緊張する。

 それをラトゥールが面白がって彼らに稽古をつける。

 いつの間にかそれが彼らの日課になっていた。



「ディケム様~、なんですかこの固有結界の訓練場って! 反則じゃないですか~! もう天才ですか? ディケム様~」


「ディケム様~、なんですかこのポーション、効き目が凄いんですけど!  もう天才ですか? ディケム様~」


「ディケム様~、なんですかこのお家に神木が植わってるって!  自宅に神木持ってくるとか! もう天才ですか? ディケム様~」



 ⦅ちょっとうるさいが……⦆

 ラトゥールもウチのいろいろな施設を使って気に入ってくれたようでなによりだ。

 

 正直、ラトゥールの稽古は本当に助かる。

 俺はいろいろ環境を整えることは出来るが、人に教えることが出来ない。


 流石ラトゥールは大国の将軍だけある、その環境を使って兵士に教えるのがとてもうまい。

 剣術以外にも魔法も教えられる。

 とくに助かったのが、なかなか進まない精霊使いの訓練に、マナのとらえ方、感じ方を教えてくれている。


 そんな訳で、いつの間にかラトゥールは大人気の先生役になって行った。

 ラスさんまで剣術を習っている。


 一番意外だったのが、あの気難しいルルが懐いていることだ。

 新作のパンが出来たら、まず最初にラトゥールに味見してもらっている。



 皆の訓練をラトゥールが受け持ってくれている事で、俺も自分の事に集中できる。





 俺はと言うと、ウンディーネ曰く、とても良い好循環が出来ているらしい。


 精霊たちは個では無いので俺の中にもいるし、自由にどこへでも行くのだけれど……

 やはり神木が居心地良いらしい、みな神木に集まって寛いでいることが多い。

 そして精霊が集まれば、さらにマナも活性化する、神木もさらに成長していく。

 ディケムのマナで育った眷属の神木が成長すれば、マナで繋がったディケムも力を増す。

 ディケムの力を増せば、精霊も力を増す。

 力を増した精霊が集まれば、マナが活性化して神木が育つ。

 この好循環が出来ているらしい、ウンディーネがとても嬉しそうだ。


 ウンディーネ曰く、良い循環を作ってやれば、無理をしなくても強くなっていく。

 むしろ人は焦って無理をするからこの好循環が壊れ、逆に効率が悪くなる。


 一人が無理やり訓練して十強くなるよりも、皆で五ほど強くなれば、それは五十にも百にも強くなれる。

 頑なに一つにこだわって訓練するより、大きな視野を持って事を運べとの事だ。


 俺の場合はマナラインで繋がった者達も、すべて俺の力になり、逆に彼らの力にもなる。 マナは力の循環なのだ。


 と言う事で、おれの次の目標は、引き続き他の精霊との契約だ。

 オーゾンヌに言われた四大元素精霊はあと土の精霊ノームが残っている。


 それとマナで繋がっている、ララ、ディック、ギーズの強化だろう。

 ララ一人でも上位精霊一柱を使えたらあれ程の戦力になったのだ。

 ララのさらなる強化もだが、ディックとギーズが精霊を使えるようになるのが急務だな。




 今後の活動のためにきちんと部隊編成をする事にした。

 まだメンバーは少ないが、今後の活動のためにも骨組みとなる組織編成を行いたい。

 マール宰相にうるさく言われているからでもある。


 俺は部隊の骨組みとなる、主だった知り合いを執務室に呼び、ソーテルヌ総隊としての配属を任命する事にした。



「みな、突然集まってもらい申し訳ない、まだ少数で部隊と呼べるものではないが、今後の為にしっかりと部隊編成と、枠組みを決めたく思い集まってもらいました」


 みな頷く。



「まずは精霊使いの六名! ラローズ、ラモット、ポート、エミリア、マルケ、リグーリア」

 『はっ!』六人は敬礼をして集まる。


「これからは、私の直轄部隊となっていただきます。 これは初めから、ラローズ、ラモットにも言っておいたことです。 王国騎士団第一部隊を抜け私の直轄部隊として配属させていただきます。 もちろん、陛下、宰相、ラス将軍の許可は取っています」


 『はっ!』 とラローズさん、ラモットさんも承諾してくれた。


「精霊部隊の隊長はラローズ 副隊長はラモット、今後部隊をまとめてください」


 今はたった六人の部隊だが、皆が精霊と契約した時その威力は計り知れない。


「この前のエルフ戦で、みなさん精霊使いの重要性はご納得いただけたと思います。 この六人は人族の最後の砦だと自覚し、訓練に励んでください」


 俺はついでに、精霊情報をつけ足しておく。


「あとそれから、エルフ戦のおり、私は氷の上位精霊フェンリルと風の上位精霊のシルフィードと契約しました。 皆さんの契約の幅も広がったと思います」


 『おぉ~』とみな期待感に声が出る。





「それでは次! カミュゼ、マディラ、トウニー!」


 『はっ!』と三名が出てくる。


「3人には私の側近として、部隊の運営と宰相とのやり取りをお願いしたい」


 『はっ! 謹んでお受けします』カミュゼとマディラが了承してくれる。


 しかしトウニーは答える。

「あ、あの…… 私はただの平民で…… 侯爵様の側近には相応しく無いかと思います」


「トウニー。 俺は元平民だ! 俺の部隊に貴族の上下は考慮しない、実力がある者を取り立てる。 俺はお前の実力を認めている」


 トウニーは震えながら頷き

 『力不足だと思いますが、そのお役目受けさせていただきます』と受けてくれた。


「ま~ただ、平民が貴族の中で仕事をしていくことの難しさを、俺も十分知っている。 カミュゼ、マディラ、しっかりサポートをよろしくな」


 『はい』と二人は了承した。





「次はフィノ、お前はうちの総隊の薬師だ、いいな!」


 『はっ! もちろんお受けいたします』


「皆も知っておいてくれ、フィノは精霊使いではないが、妖精ティンカーベルといい関係を築いている。 そしてティンカーベルの固有スキル『クリエイト』を習得した!」


 『おぉ!』と皆が驚きの声を上げる。


「皆も体験していると思うが、これにより我が軍のポーションの効果は飛躍的に上がっている。 精霊使いの能力が無くても、このような能力の上げ方がある事も知ってほしい!」


 『はっ!』皆が頷く。





「次はメリダ、ザクセン、シノニム。 お前たちはうちの諜報部に改めて任命する。 隊長にメリダ、補佐をザクセンとシノニムだ。 ロッゾ以下一〇人の部下を使い諜報活動を頼む!」


 『はっ! 承りました』





「次はディック、ギーズ、ララ」


 『はっ!』と三人が応える。

 この三人には悪いが、この場は軍の規律に乗っ取り、答えてくれるように事前に打ち合わせている。

 三人とも当り前のように了承してくれたが、俺はこの三人とは上下関係を作りたくないのが本心だ。


「この三人は私のパーティーだ。 そして俺とマナで繋がっている。 先日のエルフ戦でララが示した通り。 おれの契約している上位精霊が使えるのはとても強力だ、今後の為にディック、ギーズが俺の上位精霊と繋がる事を最優先で考えていく。 軍としては『近衛隊』として行動してもらう」


 『はっ!』と三人は受けてくれる。





「そして、ラトゥール!」


 『はっ!』嬉しそうにラトゥールが出てくる

 『……ツマデスカ ……ツマデスヨネ……?』 などとブツブツ聞こえる…… 無視しよう。


「ラトゥールは我が人族ではない―――」


 ラトゥールが悲しそうな顔をする……


「だが! あえて頼みたい。 このソーテルヌ総隊の総帥、全部隊のまとめ役を!」


 『はっ!』とラトゥールが躊躇なく答える。


「拝命いたしました! ディケム様のお力になるのでしたら、私をいかようにもお使いください!」


「ありがとう、ラトゥール。 これからもよろしくな」


 魔神族のラトゥールを総隊総帥に任命した事は、多少の波紋を呼ぶかと思ったが、皆はすんなり受け入れた。

 毎日皆に指導し、一緒に訓練しているから、人柄が知れ人気が高いみたいだ。

 これが人徳なのだろうな。




 まだほんの少数の部隊だが、精鋭部隊としての骨組みはこれで良いだろう。

 これで俺も少しは形式立てた動きが出来る様になるだろ。


 まだ制服とかは作れないが、皆がおれのソーテルヌ総隊所属と分かるように、『徽章(きしょう)』を渡した。

 所属が分かるように付けるバッチなのだが、俺の紋章を元に作られている。


 徽章には『中央の盾を4分割に水・火・風・土が描かれていて、その盾をドラゴンが両脇を支えている』


 俺の徽章は紋章と同じ盾の上に王冠だけ

 総隊員の紋章は盾の上に★が描かれて、★の数が多いほど位が高い。

 ★の上に王冠が付いていると同じ★の数でも立場は上になる。


(徽章★の目安)

 総帥:★六  近衛隊:★五  大隊長:★四  中(副)隊長:★三

 小隊長:★二  分隊長:★一  隊員:★無し



 ソーテルヌ総隊

 元帥:ディケム(王冠)

 総帥:ラトゥール(★六王冠)


<近衛隊>(★五王冠)

 ディック、ギーズ、ララ


<側近>(★三)

 カミュゼ、マディラ、トウニー


<精霊隊>

 隊長:ラローズ(★四王冠)

 副隊長:ラモット(★三王冠)


 隊員

 ポート(★三王冠)

 エミリア、マルケ、リグーリア(★二王冠)


<諜報隊>

 隊長:メリダ(★三)

 補佐:ザクセン(★二)、シノニム(★一)

 ロッゾ、他9名(★無し)


<薬師>

 責任者:フィノ(★三)

 ティンカーベル


<外国部隊>

 マルケ・アドリア(★三)

 プーリア・ネグロ(★三)


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