プロローグ
「魔神……ラ…ィット将…討ち取ったり―――!!」
勝鬨の声が聞こえる。
自分の腹部に熱い感覚を覚えた……。
先ほど聞こえた歓声は己が討たれた事で発せられたのだと理解する。
口から熱い鮮血がこぼれ落ち、さらに複数の刃に貫かれる―――
致命傷を負ったとき、脳は痛みをシャットアウトするのだろう。
熱さは感じるが、不思議と痛みは感じない。
最後に……
俺の人生に終止符を打った者の顔を見た所で俺の意識は暗転した。
俺は、力こそすべてである魔神族の国の将軍の一人として、さらに次期王の候補としてそれなりの人生を歩んできた。
しかし………。
侵略対象の人族領への大攻勢、その前線で味方の裏切りにあい、最期を遂げた‥‥‥。
輪廻の理どおり、俺は自分が今まで追い詰めていた、滅亡の一途をたどる人族として転生することとなるのだろう………。
光の中で目を覚ました。
無数の白い光の粒が揺蕩っている世界だ。
静かな、しかし大いなる力を感じる。
俺は神であろう存在のそばにいるのだろう。
ここが死後の世界という場所なのだろうか。
死と言う失敗を繰り返さぬよう、ここで少し魂を鍛え、希望の能力を一つ手に入れて生まれ変われるのだという。
俺は魔神軍で、武の将軍としてひたすら剣技に磨きをかけてきた。
生まれ変われば今の記憶は無いにしても、今まで鍛えてきた魂でそれなりの強い武人にはなれるだろう――!
……いや、来世では前世では足りなかった魔法の才を願うとしよう。
この狂った世界で生き抜くために。
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