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第91章 アーセルの街

 パーティが終わるとアリシナは村長に呼ばれていた。


「アリシナよこれでお前の使命は終わりじゃ、もう自由に生きなさい」


「おじいちゃん……」


「お前はこれから何をしたいのじゃ?」


「私は、エレナさんに付いていきたい」


「うむ、ワシはここでお前の事を見守っておるよ元気に行ってきなさい」


「ありがとうおじいちゃん!」




 朝起きるとエレナ達は村長の家にいた。


『では行きますね』


「アリシナの事よろしく頼みますじゃ」


『はい、村長さんもお元気で』


「おじいちゃん行ってくるね」


 村長は愛する孫娘と離れる寂しさか少し表情を暗くしていたが奥へ何かを取りに行くと綺麗な刺繍が入った布袋を持ってきた。


「アリシナ、これはワシらラーガスタ一族が代々受け継いできたものじゃ持って行きなさい」


 アリシナは袋を受け取ると中身を出した。


 それはロッドだった。エレナはそれを見て首を傾げた。


(あれ? どこかで見たような気がするな……)


「それは!」


 サラは自分のロッドを出すとアリシナのロッドと共に共鳴する様に淡く光っていた。


 村長はサラを見ると少し微笑んだ。


「なるほどな、お主にはワシらと近しいものを感じていた……昔この地を離れた一族の末裔か」


「私のお祖父様から聞いていました。ラテアナ大陸から渡ってきたと」


「うむ、1000年前の戦いの後ラーガスタ一族の生き残りである族長とその弟は話し合い族長はこの地に留まり弟は別の道を選んだのだ」


『何故ふたりは別の道を選んだのですか?』


 エレナは疑問に思い村長に聞いてみた。


「ワシもお祖父様からそれを聞いた時同じ質問をしたんじゃ、だが帰ってきた答えは本人のみぞ知るじゃ」


「そう……私もお祖父様に同じ事を言われたの」


 サラも知りたかった事だけに残念な表情をしている。


「だがこうしてまた巡り会えたんじゃこんなに嬉しいことはないのう」


「そうですね、私達ラーガ一族は魔物によって滅びてしまいましたが受け継いだ力で魔物と戦っていくつもりです」


「そうか……エレナ殿と共に魔物の脅威から救ってくれる事を祈っとるよ」


 サラは力強く頷いた。


 こうして村を出たエレナ達は王子達の希望で大陸の中央にある街に向かった。


「すぐに帰りたい所をこちらの希望を聞いてもらいありがとうございます」


 カイジスはエレナにお礼を言った。


『いえ、王子様達は将来の希望ですので無事に帰ってもらいたいのです』


 エレナはこの旅で王子達がこの大陸をいい方向に導いてくれると確信していた。


 決して戦争などしない平和な大陸になると。


「何という嬉しい言葉! 光栄です」


 ハラントは嬉しい言葉に満面の笑みを浮かべている。


 やがて馬車は2日をかけ街に到着した。


「ここはアーセルの街と言って各国の真ん中に位置するだけあってかなり栄えているんです」


 ロイズは街に入るとエレナ達にそう説明した。


「それにここには大陸中の食材が集まっていますからエレナさんにはかなり嬉しいんじゃないですか?」


 それを聞いたエレナの目が輝く。


『本当ですか‼︎ これは行かなきゃ!」


 皆エレナのはしゃぎように笑っていた。

 

「相変わらず食材には目がないのね」


「でもまた違う美味しい料理が食べれるから嬉しいわ」


『うん、任せてよ!』


「俺達は迎えを呼ぶように手配して来ます。使っている馬車はどうぞそのまま使って下さい」


『ありがとうございます』


 王子達は一足先に街に入って行った。


 それを見送った後エレナは皆に話しかけた。


『これからどうする?』


「エレナは市場に行きたいんでしょ? 私は服を見に行きたいわ」


「私もこの大陸の服に興味があるわ」


(セリアとマイナは服か、相変わらず好きだな〜)


「私はユギルとこの街を見て回ろうかしら」


(サラさんは別行動ね、まあユギルとデートしたいよね、これまで俺の事で必死になって探してくれたんだし)


『アリシナは行きたい所はある?』


「私はエレナさんと一緒にいたいです」


(お! 嬉しい事言ってくれるね〜アリシナはいつも俺のそばにいて話をしたり料理も覚えようとしてる)


『じゃあセリアとマイナも一緒に行こうか』


 エレナがそう提案するとふたりは頷いた。


「俺は冒険者ギルドに行ってくる」


 アルトはスタスタと街に歩いて行ってしまった。


 サラはそんなアルトを見て微笑む。


「あの子ユギルにそっくりね」


「あ、私もそう思ったわ!」


「ふふ、そうね」


「俺はあの年の頃ひたすら強さを求めていた……あいつもそんな顔をしている」


『皆んなアルトも連れて行きたいんだけどいいかな?』


「あの子洞窟でボロボロになりながらもエレナを助けに行こうとしていた……私はいいよ」


「うん、私も」


「私もいいわ」


「わ、私もエレナさんがそう言うなら」


「俺が鍛えてやるさ、同じ伝説の剣持ちとしてふさわしい男にな」


 エレナは皆がアルトを受け入れてくれるか正直心配だった。


 普段自分から話さないし何を考えているのかもわからないところがあるが皆はその中でもいい所を見ていてくれたのがエレナは嬉しかった。


『皆んなありがとう』



 エレナ達は分かれて行動を開始した。


 エレナ達はまず市場に行くとやはり周りの目は皆エレナ達に向かっていた。


 ざわざわ……


「あの女の子達見てよ!」


「おお! 皆んな可愛いな」


「あれ?あの真ん中にいる子、勇者様じゃない⁉︎」


「え‼︎ あのグランタルの武闘大会で優勝して更に魔物を一人で倒したあの勇者エレナ様⁉︎」


「そうだよ‼︎ 俺実際に見たことあるぜ! あんな可愛い顔忘れるわけない‼︎」


「勇者様がとびっきりの美人だけど周りの女の子も相当美人だぞ」



 エレナ達は視線を気にしないで買い物をしていた。


 もう面倒なのでここにある食材をひたすら買っては指輪に入れていくと場所を変えて服を見に行った。


 楽しみだったのかセリアとマイナは嬉しそうに街を歩いている。


「あそこなんていいんじゃない?」


 セリアはマイナに声をかけた。


「いいわね! 行きましょう」


 ふたりは仲良く店に入って行った。


 エレナは前より更に仲良くなっていたふたりを見てふふっと笑みが溢れていた。


 アリシナと店に入ると早速セリアとマイナは服を持ってきてはエレナとアリシナまで巻き込み服を楽しそうに着せていた。


 2時間後エレナとアリシナは疲れた表情をして店から出てきていた。


 何着買ったかもわからないほど服を買うとセリアとマイナは満足した顔で後から出てくる。


「ああ楽しかった!」


「そうね! やっぱりこの大陸独自の服があって面白かったわ!」


 ふたりとも楽しそうに話をしている。



 そのままアルトやサラ達と合流すると宿に入って一晩を明かした。





次の日の朝、街の入り口で王子達にエレナ達は見送られていた。


「また来て下さいね」


「これまで一緒に旅をした事は人生の糧として精進して行きます」


「寂しいですが次に会う事を楽しみにしております」


『色々とありがとうございました!お元気で!』


「アルト‼︎ エレナさんをちゃんと守れよ‼︎」


「ああ‼︎」


 こうして馬車はコーデリーの港町に向かって走り出したのだった。






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