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第86章 ドラゴス平原

 ドラゴス平原へとやって来たエレナ達は馬車を降りた。


 目の前には広大な草原が奥には山々が連なっている。


 エレナはあまりの広さに何処に行けばいいのか考えていると地図を手にカイジスが声を掛けた。


「エレナ殿、この地図ではドラゴス平原の奥は山で囲まれていて湖がある場所が描いてあります。そこへ行ってはどうでしょうか?」


 地図を見ると確かに左奥に湖が描いてあった。


『そうですね、そこを拠点にして周辺を探索しましょうか』


「じゃあ今日の目的地はその湖だな」


「ここからは魔物が多いから倒しながら進むぞ」


「これはいい訓練にになりそうだね!」


 エレナ達は魔物を倒しながら奥へと進んで行った。





 ドラゴス平原の奥にある辺境の村の一室には5人の男が集まっていた。


「村長、最近封印の洞窟が騒がしいと村人の間で噂が流れています」


「洞窟から魔物の唸り声や地響きを聞いたと皆不安がっています」


 中年の男は年配の男にそう報告した。


「……まさか言い伝え通りの事が起こるのか」


 村長と呼ばれた年配の男がそう言うと周りはザワザワと不安の声が飛び交う。


「それが本当なら洞窟にあるという門の封印を強固なものにしなければ大量の魔物がこの大陸に流れ込んでしまう」


「しかしこの村は衰退している、使命を捨てこれまで何人の者が出て行ったか……」


「アリシナ様をあの場所まで連れて行ける者などいるのか?」


「静まれ」


 村長と呼ばれた男は場を静めると下を向いていた顔を皆の方に向けた。


「ワシらの使命を忘れるな……と言っても強制はしないつもりじゃ今夜村人を集めて集会を開く」


 そう言って村長は部屋を出て行った。


 ガチャ


 村長は家に帰ると孫娘の所に向かった。


「おじいちゃんおかえりなさい」


 村長は孫娘を見ると微笑みかけた。


「ただいまアリシナ、少し話があるんじゃがいいか?」


「うん」


 村長は孫娘の前に座ると話を始めた。


「アリシナよ、お前に自分で決めて欲しい事がある」


 アリシナはいつになく真剣な顔になった祖父を見てこれは只事ではないと気付きキチンと座って顔を見た。


「お前に使命がある事は知っているな?」


「うん……」


「近頃封印の洞窟で不穏な兆候が見られ始めておる、もしかしたらその時が来たのかもしれん」


「……」


 アリシナは死を悟ったような顔をしていた。


 その顔を見た村長に体を引き裂かれる様な痛みが襲うが何とか鎮めると話を続けた。


「しかしもう村は衰退しお前をあの洞窟の門まで連れていく事は出来ないだろう」


「だからワシは使命を忘れていいと思っておる」


「おじいちゃん何を言ってるの⁉︎」


「お前は15歳、まだまだだ若いお前にワシは村を出てこの世界を見てほしいんじゃ」


「おじいちゃんはどうするの?」


「なに、残った者で最後に力を出し切ってあの洞窟を破壊するつもりじゃ」


「最後だなんて嫌よ! 私もここに残るわ! 私の肉親はおじいちゃんだけなのよ……」


「アリシナ……」


 村長はすがりついて泣いているアリシナを見てまた心がズキンと痛んでいた。






 村から少し離れた場所に大きな洞窟があり中ではローブを着た男が1人佇んでいた。


「2日後までに門の封印を解かんとな……全くあいつら人なんぞにやられるなど情けない」


 数日前に先発隊が向かっていたはずだったが気配が消えていた。


(先に行って火の海にしておいてやると息巻いていたがこのザマか……)


 男は魔物達をこの大陸に送る為門を開けに来たのだった。


(報告では門を守っているという奴らがいるらしいな)


「さて、邪魔者を排除せねばな」


 男は洞窟の外に歩いていくと背後には魔物が群れをなしていた。





 エレナ達が湖に着いたのは日が暮れた頃だった。


 料理の後お風呂に入ると皆で焚き火を囲っていた。


「いや〜今日も疲れた〜」


 ハラントは椅子に座りぐったりとしていた。


「でも美味しい料理にお風呂でかなり疲れが取れました。エレナさんありがとうございます!」


「ああ、まさか旅でこんな贅沢ができるとはなエレナ殿には感謝している」


『明日からは探索で忙しくなりますからね今日は早めに寝ましょうか』



 エレナ達は湖周辺を探索し徐々にその範囲を広げていったが手掛かりはなかった。


 魔物と戦いながら進んでいくしかなくその夜は皆言葉少なく疲れが顔に出ていた。


 そしてその夜中の事だった。


 ドォーン‼︎


 夜の静かな部屋に突然大きな音が鳴り響くと皆が飛び起きる。


「何だ⁉︎ 魔物か⁉︎」


「こんな大きな音今までしていなかった……」


『とにかく様子を見に行きましょう!』


 エレナは急いで支度をしてコテージを出ると先に出ていた皆がある方向を見ていた。


「エレナさん! あそこみたいです! 煙が上がっている場所が見えます!」


 ロイズが指を差した場所には確かに煙が幾つも上がっていた。


『早く行きましょう‼︎』


 馬車に乗り込むと煙の上がっている場所を目指して走らせた。




 村では魔物が襲ってきた事で大混乱に陥っていた。


「何故ここに魔物が‼︎ 結界はどうした‼︎」


「絶対に村長の家には行かせるな‼︎」


「ラーガスタ族の力を見せてやる!」


 村人は皆手にロッドを持ちマナで魔物に立ち向かっていく。


「村長! 魔物の群れが村に押し寄せています‼︎」


「何だと‼︎ まさかここが知られたのか……」


「皆が魔物と戦っています! 今のうちに早く逃げて下さい!」


「分かった、アリシナだけでも何としても逃さねば」


 村長はアリシナの元へ行くとアリシナは既に準備をしていた。


「おじいちゃん!」


「アリシナ! ここは危険じゃ! さ、来るんじゃ‼︎」


 村長はアリシナを連れて村を出ようと入り口まで来るとそこにはローブを着た男が立っていた。


 その男から出る異様なオーラが人でないと村長は確信した。


「あやつが首謀者か……」


「アリシナ……ワシがあやつを食い止める間に逃げてくれ」


「そんな……私も戦う‼︎」


「あやつ、かなりの強者。お前をここで失うわけにはいかんのじゃ」


「ふん、俺から逃げられると思うなよ」


 ローブを剥ぎ取った魔物はふたりに襲いかかる。


 ザシュ‼︎


「クッ‼︎」


「おじいちゃん‼︎」


 魔物は村長を長い爪で腕を斬ると薄ら笑いを浮かべた。


「老いぼれめ……トドメだ‼︎」


 ガッ‼︎


「グガァ‼︎」


 男は何者かに吹っ飛ばされると森の方へ消えていった。


 アリシナはそこに立つ人物を見た時女神様が助けに来てくれたと思った。


 それほど神々しく美しい女性を声も出ずにただ見つめていた。






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