第55章 猛特訓
ガキン‼︎
「まだまだ剣の振り方にスキがあるぞ‼︎」
『く‼︎』
エレナはユギルと街から離れた草原で戦っていた。
その迫力に周りの動物も驚いて逃げていく。
お互いに鉄の剣を使いエレナはマナを纏って身体強化しているが生身のユギルはそれでも圧倒していた。
「色々動いて相手に考える時間を与えるな‼︎」
ユギルは遠距離攻撃をしたり様々な方向から攻撃をしてきた。
エレナは攻撃を捌けず吹っ飛ばされてしまう。
『はあはあ!』
エレナは両手を地面につき息を整えていた。
(身体強化してこれだからしてなかったら重傷だよ……)
「立て! 俺に一打でも当ててみろ‼︎」
(ユギルさん厳しいよぉ〜)
エレナは何とか一矢報いようと剣を構えるとマナを剣に流した。
そして剣を振り衝撃波をユギルに3回放ちエレナはユギルに突撃して行った。
ユギルは衝撃波を避け後からくるエレナに攻撃をしようとしたが上からマナによる岩が落ちてきた。
「ふっ、小賢しい!」
ユギルは勢いを増すとエレナに突っ込み剣を振った。
その時今度はエレナの足元から岩がトゲのように突き出してくる。
「何‼︎」
『もらった‼︎』
エレナはユギルに剣を振り下ろした。
しかし剣は空を切り後ろに回り込まれ蹴られて吹っ飛ばされてしまった。
『ぐあ!』
草原の草がクッションになって衝撃は和らいだがもう服は草と土で汚れていた。
『くっそう!』
「まあいい作戦だったがまだまだだな」
ユギルは剣を肩に乗せカンカンと鳴らしながらほくそ笑む。
その後もエレナは頑張ったが結局一撃も与える事は無かった。
外からアステシアとユーリアはその模様を釘付けになって見ていた。
「ユギルのおっさん本気だな」
「うん、私達だったら何回も死んでるよ」
「そういやエレナはいつの間に剣士になったんだ?」
「最近って言ってたよ?」
「それであれかよ凄すぎんだろ!」
「ユギルさんが付きっきりで指導してるらしいからね」
「なるほどなあ……よく耐えられるなぁ」
途中休憩しているとユギルは疲れて倒れているエレナの方に来て話しかける。
「聖剣はちゃんと手入れをしているか?」
『バッチリやってるよ、言われた通り素振りの時も聖剣でやってるし』
「そうか、俺の剣もそうだが伝説と言われる武器は意志を持っている。それを忘れるな、お互いを認め合えば最高の力を発揮できる」
『仲良くなれってこと?』
「まあそうだな」
『分かったよ』
その頃セリアとマイナはサラにマナについて指導を受けていた。
「マナは上手くコントロール出来ればまだまだ引き出せるの。体の奥に秘められたマナの力があなた達にはあるわそれを引き出せるようにしましょう」
「そんな力があるなんて」
「この世界でそんな事聞いたことがないわ」
マナを多少学んでいたマイナはサラの言葉に心が震えた、まだ自分の中にマナの可能性が残っていることに。
「これは私達ラーガ一族の祖先が長い時間をかけて分かったことなのよ」
「なるほど、ただでさえマナを使える人が少ないこの世界で分かるのは時間がかかりそうね」
「じゃあはじめましょう、結構きついわよ」
「エレナの為だもの頑張るわ!」
「そうね!」
やる気になるセリアとマイナだがサラはマイナを見てある提案をした。
「あと、マイナにはラーガ秘伝の攻撃系マナを覚えて欲しいの」
「私に?」
「エレナが剣に専念しているからあなたには代わりに攻撃系のマナを使えるようになれば良いと思ったの」
マイナは迷彩の洞窟で攻撃手段がなく歯痒い思いをした事を思い出すと頷いた。
「元からマイナは治癒系のマナは凄いものを持っているから少し教えれば問題ないわ」
「そうね、分かったわ」
「私も元は治癒系のマナが得意だったけどお父さんから引き継いだ力で攻撃系のマナも上手く扱えるわ」
「じゃあお願いします」
「うん! でもまずはセリアと全身のマナを引き出せるようになったらね」
「頑張るわ!」
エレナはユギルとの訓練が終わると今度はサラとマナの訓練を始めた。
「あなたには私達家族の力を上手く引き出してもらわないとね」
サラはエレナに隠された力の事を教える。
「私達を解放した時あなたの体には力が流れているの。簡単に言うとあなたの体の中に虹色の結晶石が4つあると思えば分かりやすいかしら」
『知らなかった……この体にそんなものがあったなんて』
「それを私の結晶石に流したように体にある4つあるマナの力が宿る場所を見つけてマナを流すのよ、そうすればあなたのマナは何倍にもなるわ」
『頑張ります!』
「よし!じゃあはじめましょう」
エレナにその力を知って貰おうとサラは自分の場所を教える。
「ちなみに私の力はあなたの右手に宿したわ」
エレナは目を閉じて右手を意識すると何やら少し暖かい部分を感じる。
「目を閉じて右手にある私のマナを感じてそこにマナを流すのよ」
エレナは暖かい部分にマナを流した。
ブワァ!
エレナの体を大量のマナが溢れ出した。
(少しマナを流しただけなのに何て量だ‼︎)
「流石ね」
『これが……』
「後3つね焦らず見つけていきましょ」
『はい!』
少し休憩をしているとサラがエレナに声をかける。
「ねえエレナ」
『何ですか?』
「今日は夜にお祭りだよね?」
『そうですね、楽しみです』
サラはエレナにある頼みがあった。
「ラーガの里でもお祭りがあってね。そこでいつも私が最後にやる事があるの」
『やる事?』
「うん、見てて」
そう言うとサラは手を前に出してマナを使うと虹色の玉を出した。
それを空に向けて打ち出した。
パァァ!!
打ち出した玉は空で花火のように割れ綺麗な色を放ち消えいていった。
『綺麗ですね……』
「今はお昼で分かりにくいけど夜にやったら凄く綺麗よ」
エレナは花火を思い出していた。
「でね、これを今日の夜にエレナにやって欲しいの」
『僕がですか?』
「ええ、ユギルと外から見たいなって」
『分かりました。じゃあ教えて下さい』
「うん! 簡単だからすぐに出来るわ!」
サラは物凄く嬉しそうな顔をするのは里でこれをやっていた時ユギルとふたりきりで見てみたいと思っていた。
しかし叶う事はないと諦めていたのだがそれが今叶う時が来たのであった。
エレナは早速サラにマナでやる花火を教えてもらっていた。
コツコツ
この世界を遥か上から見る男に近づく足音がする。
「無事に力を復活させたようねあの子」
「そうですね、これから魔物との生存を賭けた戦いが始まる……」
「あの子なら大丈夫よ、その為にあの体とあの仲間を集めたんだもの」
「そういえば彼は女の子になった事を嘆いていましたよ?」
「あら、私はてっきりそうだと思ったから」
「直してあげたらどうです?」
「うーん、でもせっかく作った最高傑作なのに……」




