第10章 冒険者
「エレナお姉ちゃんおはよう!」
『うーんもう朝かぁ、ステラおはよう』
昨日帰りにパン屋を見つけて買っておいたパンを食べた後ステラに話しかけた。
『ステラ、今日は冒険者ギルドに行ってから食材を色々見て周りたいんだけどいいかな?』
「分かった!」
出かける前にアクセサリー屋で買ったネックレスのチェーンを取り出しマナの結晶石を付けた。
(虹色に輝く石だ。これを身に付けておけば何時でも使えそうだ)
ネックレスをかけ少しマナを流してみると結晶石からマナが体に流れてくる。
(おお! 凄い量のマナだ! でも何だろう人の意思のようなものを感じる……)
エレナは結晶石から流れるマナに何かを感じていたがステラに声をかけられると『まあいいか』と呟いて部屋を出て行った。
(今日も周りの視線が凄いが気にしない気にしない!)
周りの視線をかいくぐりギルドに着くと昨日の受付嬢が空いていたのでそこに向かい話しかけた。
『昨日はお世話になりました』
「いえ、今日は登録ですか?」
『はい、後できれば色々説明して頂けると助かります』
「分かりました、聞きましたよ別の大陸から来られたそうですね」
『はい、なので世間知らずでして』
「では登録の手続きをしますね」
そう言われると金属のカードを渡された。
「と言っても簡単な手続きだけです、その冒険者証に名前を書くだけであなたの物と認識されます」
(それだけなのか……助かるよ色々情報を書くものと思っていたから安心した)
「やりたい依頼をあちらの掲示板から探して貰って冒険者証と一緒に受付に持ってくれば大丈夫です」
(手続きも簡単そうだ)
「一応ランク付けもしていますけど依頼の達成数などで上がるので特にそこまで重要視はさせていませんね」
『分かりました。ありがとうございます』
(今日は受けないけど依頼がどんなものか見てみるか)
ステラと掲示板の方へ歩いて行く。
掲示板には沢山の紙が貼り付けられているのをエレナはひとつずつ心の中で読んでいった。
(なになに動物だか魔物だか分からないけど討伐の依頼に護衛の依頼と採取系の依頼もあるな、あ、お店の手伝いの依頼もある、まさにここは何でも屋だな)
エレナが掲示板を食いつくように見ていると2組の女性から声を掛けられた。
「こんにちは、あたいはアステシアだよろしく」
「わ、わたしはユーリアですぅ初めまして!」
『エレナです初めまして』
「あんた冒険者になったんだね、どう? うちのPTに入らないかい?」
アステシアと名乗る可愛い顔に似合わないたくましい体つきをしている女性が本題に入った。
(勧誘かな? どうしようかな、まだやる事多いしなぁ)
『すいませんまだ活動を始めるのは先でして、この子の両親を探すのを優先してるんです』
「そう、じゃあどこのPTにも入らないんだな?」
『そうですね』
「ならいい、もう皆んなあんたを狙ってるから先手を打ったってわけ」
『え、どう言う事ですか?』
「ふふ、分かるだろ? あんたの様な綺麗な子ほっとける訳ないじゃん! 特に男共は見た目で狙っている人が殆どだけど」
アステシアは周りの男冒険者達を見て言った。
エレナは男とパーティーを組む気になれなかった。
(分かっていたけどゲンナリするな……常にイヤらしい目で見られたりするんだろうな、気持ち悪い……中身が男だから尚更だ)
「でもあたい達は違う! 昨日ギルド長室に入って行ったところを見るとあんた只者ではないね」
アステシアはエレナにそう言うと後ろのユーリアもうんうんと頷いた。
「こう見えてもあたい達ランクも実力も結構上なんだぜ?」
エレナはアステシアとユーリアの装備が今言った事が嘘では無いと納得するくらいの強そうな物に見えた。
(確かに強そうな装備とか持ってるし頼りになりそうだけど)
「もしもその子の親が見つかったら考えてなPTの事」
(まあ男とPT組むよりこの2人の方がいい気もするけど、しかも2人とも可愛い顔してるし)
『分かりました、ではこれで』
「時間取らせて悪かったな」
アステシア達と別れギルドを出るとエレナの気分が上がってくる。
(いよいよ待ちに待った食材を見に行けるぞ!)
エレナのはしゃぐ気持ちが手を繋いで歩いているステラにも伝わったのか笑顔で話しかけてくる。
「エレナお姉ちゃん嬉しそうだね!」
『そうなんだよねー』
エレナは嬉しそうな顔をしながら市場がある場所に向かった。
(まずは色々な食材の味をみたいな、次に調味料と小麦粉、大豆に動物の乳が欲しいな……この世界に米なんてあるのかな)
『いやーいっぱい買ってしまった』
エレナは気になった食材を買い漁ると満面の笑みで市場を出て行った。
(やっぱり楽しいな〜夢中になりすぎて時間を忘れて買い物をしてしまった! ステラにはまた付き合わせちゃったな)
帰りに本でも買ってあげようというわけで本屋にやって来るとステラには子供向けの絵本を何冊か選び、エレナも料理の本があったので買う。
宿屋に帰る途中で教会と思われる建物を見つけると建物の前では子供達が元気に遊んでいる姿がエレナの目に入った。
(ギルド長が言っていた孤児達かな)
子供達と一緒に遊びたそうに羨ましそうな顔で見ているステラに声をかける。
『ステラちょっと教会に寄っていいかな』
「お祈りするの?」
『そうだねステラがお父さんお母さんに会えるようにね』
「私もお祈りしたい」
『じゃあ行こうか』
教会の扉を開けて中に入ると白いローブに身を包んだシスターらしき人がやってくる。
「ようこそおいでくださいました」
『お祈りをしたいのですがいいですか?』
「どうぞこちらへ」
祭壇の前に立つとステラの両親の無事を祈ると隣でステラも同じ様に祈っている。
『あの、これはお布施です』
お祈りが終わり金貨の入った袋をシスターに渡すと驚いた声を上げた。
「こんなに! ありがとうございます……孤児の子が多く運営も苦しくて……助かります」
「外で遊んでいるのは孤児院の子ですか?』
「はい、皆親を魔物によって失った子達です」
エレナは孤児達を見て何かしたいという思いが芽生えるとシスターに質問した。
『孤児達は育った後どうするんですか?』
「17になるとそれぞれ冒険者ギルドや街の店へ働きに出ます……でも教育が充分でないのであまりいい扱いはされません」
(格差か、どの世界でもあるなこういう話は……俺に何かできる事はないかな少し考えてみよう)




