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とある男の記録 記録1

作者: 紅夢

現在投稿用に書いている短編の下敷きにある世界設定を広げていくための短編です。

 ここに私の記録を示そうと思う。


 これを読む誰かが、この歴史を語り継ぎ残してくれることを祈って。


 私が体験した――――いや、私が見た世界の終わりについて語ろうと思う。






 その予兆があったのはいつからだっただろうか。正直なところ、正確な日付は思い出せない。


 というのも、当時のNASAだったか何だったかが世界にそれを発表した時には、既に人類にとって相当に手遅れな状況だった気がするのだ。


 ただ、予兆という点に絞って話をするならば、もっと早い段階で気づける要素は沢山あったように思える。


 増え続ける異常気象、特定の地域で多数発生し続ける地震。噴火件数の上昇。


 ともかく、人類にはどうしようもない災害が増えていたように思える。


 そういう所にいた人たちは、もっと早くに異常に気づけていただろう。


 気づいたところで、どうすることもできないことには変わりはなかったのだろうが。


 幸いというか、不幸というか、ともかく私はそう言ったこととはわずかながら離れたところにいた。


 だからだろうか、誤差程度の、ほんの僅かな“気づき”の差が私の延命に協力してくれたのだろうか。


 最初に流れてきた情報は、SNSの他愛もないリークだったと思う。


 近々大型ロケットの打ち上げ計画があるらしいが、その目的は不明だとか。


 別に興味もなかったし、それに付きまとうゴシップにも目は引かれなかった気がする。


 ただ何故こんな話を思い出せたかといえば、思えばこれが人類に与えられた最初のヒントのように思えたからだ。


 ほぼ同時期に、いろんなニュースが流れだした。


 あの国の緊張が高まっているだとか、その国の経済状況がどうだとか。歴史の教科書に載っているような、人類が試される状況が刻一刻と、足音を立てて近づいてきているような気分だった。


 何度も言うが、状況は我々の想定を大きく超えていたのだが。


 そんな予兆を知っていようが、変わらないものもあった。


 それは私たちの生活だ。


 起きる時間も、仕事の内容も、隣人関係も毎朝口にする牛乳の味も変わらない。


 我々は日常を送っていた。


 ガソリンの値段が上がっても、ジョエルが「まただ」と髪の薄い頭を困ったように撫でるだけだったし、トイレットペーパーの値段が上がってもミセス・バートレットがいつも通りの愚痴を言うだけだった。


 今にして思えば、それでも世界が混乱に陥っていなかったのは、良くも悪くも世界中の優秀な誰か達がうまく隠していたからだろう。


 あの嘘のつきづらい情報社会の中でよくやり通したものだと感心する。


 だからだろうか、我々が気づき始める頃にはもう既に、どうしようもないところまで、なおかつ身勝手に話が進んでいたのだろう。


 何から話し始めようか。


 やはり“検査キット”の話からだろうか。

読了ありがとうございます。

気づく方は気づくかもしれませんが、この短編はとあるscpのtaleを大いに参考にしています。

ですが、根本的なところでは大きく違うのでパクリじゃねーか!とはならない筈です。多分。

気になった方はtaleの方も読んでみてください。

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