第6話 廃神さん...驚愕する(3)
毎月...3日...13日...23日......更新予定ですが、アルグリア戦記が累計八万字達成するまで3日から毎日更新しています。集英社WEB小説大賞に本作を応募する為です。
作者には夢があります。“妄想ゲームの歴史を現実でゲーム化する”事です。コー○ー○○○ゲームスさんで、○○の野望のファンタジー版歴史シミュレーションゲームとしてゲーム化される中継点になる事を切に願って投稿します。いつから本作が仮想小説だと誤解していた? 本作は作者の妄想ゲームの設定集を備忘録化したものです。勘違いさせたのならお許し下さい。
●アルグリア大陸暦千五百三十八年二月十四日
【氷柩の王国~旧アクリス王国の王都ロックス】
【カルマ】
(やっと着いた!)
旧アクリス王国の王都ロックスまでにある、全ての村・町・市街を脳内に浮かぶ地図で、漏れが無い様に確認しながら訪れ、建物以外全てのものを回収しながら来たカルマだった。
【カルマ】
(結構手間取ったな、では! 根刮ぎ、いただきます!)
見渡す限りの雪原の中で、一ヶ所だけ氷が三角帽子の様に出っ張っている所が、王都ロックスにある石塔を頂点とするロックス城だっだ。
そして、カルマは休む間も無く空中を短距離転移をしながら、その氷の山を通り抜けて中に入っていった。
【カルマ】
(寒冷操作、ヤバい効果だ)
称号《氷狼の愛息》の効果である、寒冷無効と寒冷操作の併用効果で、雪嵐の中だろうが、氷の中だろうが、関係なく息も出来て、何もない空気中の様に進んで行けるのだった。
そして、任意で自由に寒冷を操作して、称号効果で自身のMP(魔力)を一切使わずに、周囲の魔素を取り込んで雪嵐を起こし、任意の範囲を凍り漬け(氷柩の王国と同じ効果)に出来る、超不正行為を超える埒外不正行為な効果だった。
氷中世界のロックス城は、王族を始め王城で働く全ての人々の時間が止まって固まっており、それはまるで、生きているかの様だった。
FHSLG【アルグリア戦記】は、一人用やり込み型ファンタジー歴史シミュレーションゲームで熱狂的な愛好者を獲得していた。
お気に入りのキャラクターで、戦争関係無くアルグリア大陸の生活を楽しむ人が居れば、同じ所属勢力内キャラクターで立場を代えて楽しむ人もいる。
現実世界の色々の立場の人が、ゲーム世界で色々の立場の人として、現実を束の間忘れさせてくれる究極の娯楽世界であった。
制作運営会社曰く、『アルグリア戦記』が一人用であるのは、同じ時間軸で色々なキャラクターで遊ぶ事で、歴史のもしもを体験して貰いたかったからだった。
弱小勢力でもアルグリア大陸の歴史を知っていれば(知識チート)、この時代に存在しない政策(内政チート)、存在しない武器(生産チート)を駆使して歴史を誰もが創意工夫で変える事が出来る、可能性を秘めた世界がFHSLG『アルグリア戦記』だった。
【カルマ】
(やっと終わった......)
王都ロックスを含め、氷柩の王国に囚われた旧アクリス王国の全ての村・町・市街を訪れ、建物以外の全てのものを回収し、寒冷操作で氷柩の王国と同様に再度凍り漬けにして、氷狼が討伐された証拠を封印したのだった。
【カルマ】
(災厄の縄張りは、迷宮だから洞窟まで一回で転移出来ないのが手間だなぁ~)
そう思いながら、カルマは氷柩の王国から、長距離転移を使用して一瞬で姿を消した。
●アルグリア大陸暦千五百三十八年二月十四日
【ハルベルト山脈~渓谷の洞窟~花水晶の間】
【カルマ】
(やっと帰ってきた......)
カルマは洞窟を進み、青光りのする花水晶の間に短距離転移で入って行った......。
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【エンプレス】
『お、......お、......お帰り......』
【カルマ】
『た、た、......ただいま! 母さん! ......』
極寒の花水晶の間で、空中に浮かぶカルマが真っ裸で挨拶する!
その視線の先には、自分が討伐してしまった白い巨狼、......もう一人(?)の母親が微笑んでいた。
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アルグリア大陸の北東中央寄りに位置するバロック王国は、山精霊人種が統治する工業国家である。
種族の特性として、鍛冶と工芸に秀でた才能を持ち、生産物の輸出で国も経済的に潤っていた。
また、勇猛果敢な特性も持ち合わせており、強力な重装騎士団が組織され、内外的にも盤石な国家体制を敷いていたが、近年隣国エルブリタニア帝国との間に、種族間の確執を土台とした交易問題が生じていた。
エルブリタニア帝国は、領土拡大の意志を隠さずにバロック王国が生産する良質な武具を大量注文していたが、エルブリタニア帝国へのその商品の輸送中に、盗賊団の襲撃を受け輸送隊が全滅する事件が発生した。
問題は、襲撃を受けたのがエルブリタニア帝国領内であった事だった。
バロック王国としては、エルブリタニア帝国領内で当該の地域付近では、盗賊団による事件が近年起こっていない事と、厳重な護衛団が輸送隊諸共に全滅した事もあり、帝国が某かの意図をもって仕組んだのではないかと、訝しみ疑う声もあったが、確たる証拠もなく国としては強く抗議するだけに止まった。
エルブリタニア帝国は自国領内で起こった大事件でもあり、襲撃地域を統治しているハネス・べグリッド子爵に、事件を至急究明するように厳命した。
だが、盗賊団は煙の如く掻き消え行方は依然として判明しなかった。
その為に時間だけが過ぎていったが、帝国は侵攻計画の兼ね合いもあり、事件が解決しないままに再度武具をバロック王国に発注して早急な納入を迫った。
バロック王国としては、帝国領内で起こった治安維持の過失に依る帝国側の不始末でもあり、事件も未だに解決されていない現状に強い不満があった。
確かに輸送中の護衛義務はバロック王国側に有った。
しかし、帝国領内で治安の良い輸送ルートで、何度も安全に商品を納入しており、いつも以上に厳重に護衛団を組織していた。
それなのに、その護衛団毎輸送隊が全滅する事はあり得ない事、否、想定外以上の出来事であった。
つまり、厳重な護衛団を壊滅させるだけの戦力が、未だに何処から現れたのか不明だと言う事、またそんな戦力を見過ごした治安維持の不備が、帝国への多大な不信となっていた。
それもあり、少しの配慮もない状態で再度納品を催促してくる帝国に憤慨し、先に事件が解決されないうちは、次の武具を帝国に送る事は出来ないとバロック側は通知した。
エルブリタニア帝国側も配慮に欠けた対応ではあったが、事件が解決すれば武具を早急に納品すると言うバロック王国側の対応に、解決する糸口が全く見つかっていないエルブリタニア側は忸怩たる思いであった。
元々山精霊人と森精霊人は、お互い相性的に反りが合わない所があり種族間の確執があった。
その為に、この件は拗れに拗れ、自作自演であるかの様な話しも飛び出した。
バロック王国側に対して、帝国側は襲撃事件を犯した集団を鋭意調査中であり必ず捕らえると、誇り高い森精霊人が自国領内で盗賊団を装って襲撃する訳もないと言い返し、では早く事件を解決してみろと、バロック王国側が言い返すと言う、混沌とした八方塞がりの状態であった。
この両国家間の交易問題は事件の解決の見込みが全く見えないままで、暗礁に乗り上げていたが、唐突に事件が解決する事になった切っ掛けは些細な事から発覚した。
事の顛末は、ハネス・べグリッド子爵と隣領ナロン・ファンド男爵との不仲が原因で、子爵家取り潰しを狙った男爵が、盗賊団を装った男爵領軍を使っての仕業だった。
男爵の側室が御用商人の妹であり、内密に件の武具を義理の兄である商人に売却し、ほとぼりが冷めてから他国で武具を擬装して転売する計画であった。
しかし、奉公人が倉庫に有った武具を、数点誤って持ち出した為にその計画は破綻した。
何故なら、他国への行商の行程で盗賊に襲われた際、偶然通りすがった冒険者に助けられたが、道に散らばった武具に助けた冒険者の兄が所属している騎士団の紋章が刻印されていたことから発覚したのだった。
エルブリタニア帝国としては青天の霹靂とはこの事で、今更拗れに拗れた原因が自国の貴族のお粗末な策謀だったとは、バロック王国側に口が裂けても言えなかった。
しかし、件の武具を発見し事件を解決したのが、武具の発注元の北部帝国騎士団副団長の異母弟、閃光の異名を持つ冒険者で皇家六男カリトリアス・エルブリタニアだった為に、バロック王国に揉み消す事なく事件の顛末を伝える事となった。
エルブリタニア帝国としては恥辱ではあるが、事件の全貌を包み隠さずに伝え、バロック王国に謝罪、賠償した姿勢は潔く、反って帝国民に称賛された。
それには、皇族の冒険者の人気も一役買っていた事は言うまでもない。
この事件で依り、一層民衆からの人気が上がった皇家六男が次期皇帝候補の一人に選出されるのは、その冒険者が身重の女と共に姿を消した後だった......。
To be continued! ......
ご都合主義にガッカリした方も、後もう少しお付き合い下さい! 第12話までお読み頂き、合わないと感じたら、それはもうって感じです!
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最後に、読者の皆様に感謝を、お読み頂き、ありがとうです!
【2020/07/12 改訂しました】