第5話 廃神さん...驚愕する(2)
毎月...3日...13日...23日......更新予定ですが、アルグリア戦記が累計八万字達成するまで本日から毎日更新します。集英社WEB小説大賞に本作を応募する為です。
作者には夢があります。“妄想ゲームの歴史を現実でゲーム化する”事です。コー○ー○○○ゲームスさんで、○○の野望のファンタジー版歴史シミュレーションゲームとしてゲーム化される中継点になる事を切に願って投稿します。
いつから本作が仮想小説だと誤解していた? 本作は作者の妄想ゲームの設定集を備忘録化したものです。勘違いさせたのならお許し下さい。
●アルグリア大陸暦千五百三十八年二月十三日
【ハルベルト山脈~渓谷の洞窟~花水晶の間】
真っ裸のカルマは驚愕の表情で、瞬時に【回収】されて消えていく、もう1人(?)の母親見つめながら、何故か遠い目をしていた。
【システムメッセージ】
『ぽ~ん♪ ......個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました! ......上がりました! ......上がりました! ......上がりました! ......上がりました! ~~~~~ ......上がりました! ......個体名【カルマ】は称号【氷狼の討伐者】・【精神破壊者】を獲得しました! ......個体名【カルマ】は災厄武器【氷狼の長剣と丸盾】を獲得しました!』
FHSLG【アルグリア戦記】に於いて、ゲームクリアとはアルグリア大陸制覇であるが、そのゲームクリアの仕方によって、クリア結果が別れていた。
所属する勢力の【覇者】としてクリアする【通常制覇】と、ある条件を満たして所属する勢力の覇者としてクリアする【完全制覇】があり、所属する勢力の【一員】としてクリアする【所属制覇】と、ある条件を満たして所属する勢力の【一員】としてクリアする【完全所属制覇】があった。
また、【単独】で自分以外の勢力を殲滅してクリアする【殲滅制覇】と、ある条件を満たして【単独】で自分以外の勢力を殲滅してクリアする【完全殲滅制覇】がある。
これらの制覇の中のある条件を満たしての条件とは、【十の災厄の全討伐】である。
災厄には弱点が存在するが、その弱点が判明しても討伐不可能なのが災厄であった。
災厄の縄張りを犯しただけで【敵認定】され、最低でも所属勢力が滅ぶ危険度が限りなく高いのは、【不可避の神罰】と呼ばれる所以である。
そんな鬼畜仕様の存在である【十の災厄】を全討伐して、鬼畜仕様の難易度の【創造神の試練】を完全制覇したカルマを以てしても、もう一人の母親が亡くなった理由が、自分の何気ない一言であった事実を受け入れる事は難しかった。
従来の【創造神の試練】では、十の災厄の一角、【不死鳥】との戦いで、もう一人の母親が、【不死鳥】の動きを封じカルマは泣く泣く母親諸共【不死鳥】を討伐したのだった。
まさか自分の一言が原因で、......呆気なく亡くなるとは。
【カルマ】
(嘘だと言ってくれよ! 母さん!)
称号【氷狼の討伐者】は、他のプレイアバターを含めて、討伐経験があるので称号効果は知っている。
純粋に強くなる称号で、効果は現在の【身体能力値×10倍】と、【獲得経験値×10倍】であった。
そして、【氷狼】エンプレスを言葉(精神攻撃)だけで討伐したからか、称号【精神破壊者】を獲得したのだった。
称号【精神破壊者】の効果は、任意に【精神破壊効果】を攻撃に付与すると言う【超不正行為】なものだった。
攻撃する度に精神をゴリゴリ削っていき、精神力値が【0】ポイントになったキャラアバターが、気絶状態になるだけでも凄い効果なのに、部隊編成した者にも精神破壊効果を付与するものだったからだ。
【カルマ】
(精神破壊者か、【師匠】が好きそうな効果だなぁ~)
カルマは前世では、仮想現実ゲームを色々遊んでいたが、FHSLG『アルグリア戦記』は一人用やり込み型戦争ゲームなので、【師匠】と絡む機会は少なかった。
その為、【ボイスチャット】でゲームプレイ中に情報交換をしていた。
しかし、師匠と呼ぶ理由や所以は決して、仮想現実の世界では口にしなかった。
内密な話は情報が漏れない【アナログな方法】で、現実世界でのみ情報交換をしていた。
ゲーム世界に現実に転生して、唯一現実世界の心残りは【師匠】の事だけだった。
ゲームを一緒に遊んだ仲間は沢山いるが、一緒に遊んでいて心から楽しいと思ったのは師匠だけだった。
PSは超下手くそな癖に、DOQで最精鋭廃人の知り合いが結構いる変わった人だった。
初めて師匠と出会ったゲームは、MMOWG【矛盾】で、多人数参加型戦争ゲーム(矛盾の世界時間は二十四分の一秒で、現実世界の一時間が仮想現実世界の二十四時間に相当する)だった。
戦争の度に独特な文言の歌を唄いながら、敵を容赦なく襲う人だった。
そんな師匠の口癖が、『俺達は戦争ゲームをしているんじゃない! 心理ゲームをしているんだ!』、『心を攻めろ! 精神を削るんだ! ゴリゴリ削れ!』、『どんな最精鋭も心が折れたら、只の木偶の坊だ! 心を削れ!』だった。
【矛盾】では師匠は忌み嫌われていたが、決して自分からは戦争を仕掛けなかったし、全て報復戦争で、一旦戦争が始まると敵が数倍の圧倒的勢力でも、確実に勝てないと判断できる相手でも、畏れなかったし、諦めなかったし、止まらなかった。
現実世界での夜討ち朝駆けの時刻でする、仮想現実世界の夜討ち朝駆けは当たり前で、人が嫌がる攻撃を余りににする行為と、攻撃されなければ決して攻撃しない師匠の【独特な掟】から付いた渾名が【凶神】だった。
【カルマ】
(そうだ! 俺は師匠の強烈な意志に惹き付けられたんだった!)
茫然自失から解けたカルマは積極的に動き出した。
『氷狼』エンプレスが討伐されたと言う事は、氷柩の王国が氷解し始めて、春期になったら旧アクリス王国跡が姿を現す。つまり、大事になると言う事だ。
【カルマ】
(呆けてる時間はないぞ! ......父ちゃんと母ちゃんの運命を変えるんだ!)
洞窟を飛び出したカルマは旧アクリス王国跡を目指し、脳内に浮かぶ地図を参考にして、【長距離転移】したのだった。
【カルマ】
「あぅあぅあぅあぁぁ~! (根刮ぎ、いただきます~!)」
極寒の雪化粧の中、空中に突然出現したカルマが真っ裸で叫ぶ!
その視線の先には、【氷柩の王国】と呼ばれる、雪が降り積った旧アクリス王国跡が沈黙を守っていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アルグリア大陸の北北東に位置する【ザッドロ王国】は経済活動が活発で、特色としては奴隷売買を国営で行っている、普精霊人が統治する商業国家である。
他国からは国が率先して奴隷売買を扱う事に忌避感が強かったが、国を治める国王【ヘルメーロ・ザッドロ】の辞書には『金』しかないと言われる程、『金』に対しての欲望を隠さない反面、虚栄心に乏しい人物だった為に、その思いはお互い交わる事はなかった。
冷徹と冷酷の鉄仮面を身に付け、部下にもそれを求めた為、王城は常に静謐で、王に仕える全ての者が能面を被っているかの様だった。
無駄と無能を嫌い、能率と効率を愛した統治体制から、【人形遣い】と民衆からは畏怖をもって呼ばれていた。
ザッドロ王国の【王都セルバア】には、国営の【奴隷市場】と奴隷を闘わせる【闘技場】がある。
ザッドロ王国の奴隷市場に行けば、手に入らない奴隷は居ないと言われる程、扱っている奴隷の人種も数も多かった。
但し、多くの他国の奴隷商人達とは奴隷の扱いは大きく違い、身嗜み、健康、教育等の待遇は隔絶していた。
そして、闘技場では奴隷の実力を目で確かめる為と、賭博興行の為に、休みなく奴隷達は闘い続けていた。
ただ奴隷達を使い捨てにするのではなく、奴隷達自らが己の価値を日々上げているのが、ザッドロの【闘技場】の特色だった。
闘技場の奴隷達は夢を見る。己の命を担保に己自身に全てを賭けて、いつか自分自身を己で買い戻す事を。
近年、隣国【アクリス王国】の悲劇に際し、国王ヘルメーロ・ザッドロは驚きもせずに『勿体無い』と、一言呟いただけだったと言う。
To be continued! ......
ご都合主義にガッカリした方も、後もう少しお付き合い下さい! 第12話までお読み頂き、合わないと感じたら、それはもうって感じです!
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最後に、読者の皆様に感謝を、お読み頂き、ありがとうです!
【2020/07/12 改訂しました】