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アルグリア戦記 ~1/31,104,000秒の世界~  作者: 虎口兼近
第1章 プロローグ
5/40

第4話 廃神さん...驚愕する(1)

 毎月...3日...13日...23日......更新予定です。

●アルグリア大陸暦千五百三十八年二月十三日 

【ハルベルト山脈~渓谷(けいこく)の洞窟~花水晶の間】






【カルマ】

(ふむふむ......マジか......まっ、いっか♪)






 従来の【創造神の試練】では、此の段階で【カルマ】が獲得出来た称号は【氷狼(ヒョウロウ)加護(カゴ)】のみで、十八才で成人を迎えた時に称号【氷狼(ヒョウロウ)寵愛(チョウアイ)】を獲得出来るのだったが。

 





【カルマ】

(【氷狼(ヒョウロウ)寵愛(チョウアイ)】を越える上位称号があったとは!)






 称号【氷狼(ヒョウロウ)加護(カゴ)】の効果は、寒冷耐性と()()()()への威圧と魅了(みりょう)だった。




 その称号効果を活かして【カルマ】は、スノーウルフを仲間にし、鬼畜仕様の縛りで能力情報の身体能力値(筋力・知力等)は、【1】ポイントより()()()()()()()()()()()が、個体レベル上げを十八才の成人になるまで続けた。




 そして、【氷狼(ヒョウロウ)寵愛(チョウアイ)】の称号を獲得してから、その効果の寒冷無効と()()()()への統制と魅惑(みわく)を使って、スノーウルフの群れを統率して大陸制覇の足掛かりにするのだった。




 それが今や、それを越える称号効果を獲得した。




 その称号【氷狼(ヒョウロウ)愛息(アイソク)】の効果は、寒冷無効・()()()()()()()()への支配と傾国(けいこく)だった。






 FHSLG【アルグリア戦記】のステータス表示には、【情報表示】・【状態表示】・【能力表示】・【部隊編成表示】があった。




 【情報表示】には、氏名・個体レベル・備考(年齢・種族・身分・職業・称号・才能・説明)が、【状態表示】には生命力(HP)魔力(MP)精神力(MSP)持久力(EP)満腹度(FP)が、【能力表示】には、筋力(STR)耐久力(VIT)知力(INT)敏捷(AGI)器用(DEX)魅力(CHA)が、【部隊編成表示】には、統率力(LEA)攻撃力(OFF)防御力(DEF)機動力(MOB)持久力(END)戦法力(TAC)士気力(MOR)・詳細が表示されているのである。




 鬼畜仕様の縛りである成長限界身体能力値を、全て【1】ポイント固定で適用される能力値は、筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力で、どれだけ個体レベルを上げても【1】ポイントのままであった。




 そんな状態で鬼畜仕様の最高難易度シナリオである【創造神の試練】をクリアするには称号効果と、もう一つの()()()()()()()である【隠された(マスク)データ】への()()が必要である。




 称号【氷狼(ヒョウロウ)加護(カゴ)】、【氷狼(ヒョウロウ)寵愛(チョウアイ)】で言えば、魅了(みりょう)は現在の魅力値×【10】倍の効果があり、魅惑(みわく)は×【100】倍だ。




 つまり、能力表示上の魅力能力値が【1】ポイントでも、称号効果で【10】、【100】と()()()()限定で、【隠された(マスク)データ】として()()される。




 威圧と統制(とうせい)は称号効果であり、才能(スキル)ではないので、鬼畜仕様の縛りである才能(スキル)枠の【0】で固定による、才能(スキル)を修得出来ない効果は元から適用外であった。




 【カルマ】は、威圧と魅了(みりょう)併用(コンボ)効果でスノーウルフを仲間にして、統制と魅惑(みわく)併用(コンボ)効果でスノーウルフの群れ(パック)を統率したのだった。






【カルマ】

(《氷狼(ヒョウロウ)愛息(アイソク)》、ヤバい......)






 称号効果が凄いのは勿論(もちろん)だが、【氷狼(ヒョウロウ)】が赤ちゃんを尻尾で抱え込んで離さないのが一番ヤバかった。






【エンプレス】

(か...か...可愛い♥)






 称号【氷狼(ヒョウロウ)愛息(アイソク)】の効果である【傾国(けいこく)】は、()()()()限定で現在の魅力値×【1000】倍だった。




 特別難易度のシナリオ【ゲーム世界に転生】をスタートするに当たり、両親と仲間の運命(シナリオ)を変える為に、一切の妥協と自重をカルマはしなかった。




 特典の成長身体能力限界突破券を使用して、普精霊人(ヒューマン)森精霊人(エルフ)混血(クォーター)の成長限界身体能力値(筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力の成長限界値)の壁を突破し、英雄ポイントで限界まで成長限界身体能力値を上げたのだった。




 その結果、成長限界身体能力値の()()()が【(無限大)】表示になっている。




 つまり、上限なしで育成出来ると言う事であった。




 そんな状態で育成出来ないのは俗に言う蛇の生殺しであり、廃人(ゲーマー)の中の廃人(ゲーマー)、【廃神(オーバーアウト)】と畏怖(いふ)を込めて呼ばれていたカルマには我慢が出来ない事だった。






【カルマ】

「あぅあぅあぅあぁぁ~! (育成出来ないじゃないかぁ~!)」






 カルマにとって育成とは寸暇を惜しんでするもので、御褒美、(いや)至上の喜び以外の何物でもなかった。




 しかし、こう言う事態にも対処する為に、準備万端で生物との意志疎通を図る才能スキル念話(ねんわ)Ⅰ】を、カスタマイズ時にキャラアバター【カルマ】に付与していた。






【カルマ】

『母さん、少し離して欲しいんだけど......』




【エンプレス】

『えっ! ......』






 【氷狼(ヒョウロウ)】は、赤ちゃんから()()()念話で話し掛けられた衝撃よりも、()()()拒絶された事に衝撃を受けているようだった。






【システムメッセージ】

『が~ん♪ ......特異(エクストラ)個体名【エンプレス】が個体名【カルマ】から精神攻撃を受け状態異常【精神崩壊(せいしんほうかい)】になりました!』




【カルマ】

(......えっ!?)






 『氷狼(ヒョウロウ)』は赤ちゃんに拒絶されたと思い込み、初めての【()()()】の衝撃で(たましい)に大打撃を受けたのだった。






【エンプレス】

(か、か......悲しい......)




【システムメッセージ】

『が~ん♪ ......特異(エクストラ)個体名【エンプレス】が個体名【カルマ】から......精神攻撃を受けました! ......受けました! ......受けました! ......受けました! ......受けました! ......受けました! ......受けました! ......受けました! ......受けました! ......受けました! ......受けました! ......特異(エクストラ)個体名【エンプレス】は個体名【カルマ】に討伐されました!』




【カルマ】

「あぅあぅあぅあぁぁ~! (えええぇぇ~マジか~!)」






 極寒の洞窟の中、驚愕の表情でカルマが真っ裸で叫ぶ! 




 その視線の先には、白い巨狼の()()()()の母親が、瞬時に【()()()()()消えていく、空虚(くうきょ)な空間だけが映っていた。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






 【エルブリタニア帝国】は森妖精人(エルフ)種が統治する軍事国家で、強固な機関(システム)である【元老院】が皇帝を支え、帝国を磐石(ばんじゃく)なものにしている。




 二百年程前までは、森妖精人(エルフ)種純血至上主義を掲げて、他種族を侵略し迫害(はくがい)していたが、近年は支配領域の拡大と統治に伴い、他種族を積極的に国民として受け入れている。




 帝国貴族の中にはまだまだ森精霊人(エルフ)種純血至上主義思想の者が多く、露骨(ろこつ)迫害(はくがい)は鳴りを潜めたが、陰湿な迫害(はくがい)が横行していたのは議論の余地もない。




 帝国としては【他種民族国家】を掲げ、アルグリア大陸統一を目指し精力的に領土拡大を行っていたが、他種族間の認識の齟齬(そご)もあり、統治に苦慮(くりょ)していた。




 そこで、皇帝【ビクトリアス・エルブリタニア】が自ら他種族の血を皇室に入れて、民衆の統治に対する不満緩和(かんわ)を即した事は大きな効果を上げた。




 しかし、森精霊人(エルフ)種純血至上主義が色よく残る帝国貴族社会に於いては、建前上は英断と称賛されたが、内心としては忸怩(じくじ)たる思いが有ったのは確かであり、一部の帝国貴族達との間に内面上の亀裂(きれつ)が入ったのは、帝国の未来に暗雲をもたらしたかも知れなかった。




 また、同じ祖先を起源(きげん)として分かれたからだろうか、森妖精人(エルフ)闇森妖精人(ダークエルフ)はお互いの種族で強く意識し合っていた。




 大陸暦千三百七十一年八月、両種族の亀裂(きれつ)の要因である母なる大樹【世界樹(ユグドラシル)】の領有を巡って、森妖精人(エルフ)種国家である【アルバビロニア大帝国】、【エルブリタニア帝国】連合国軍と、闇森妖精人(ダークエルフ)種国家である【ギエロア大王国】軍の間で【世界樹(ユグドラシル)大戦(ウォー)】が勃発した。




 当初から圧倒的物量で連合国軍が終始ギエロア大王国軍を押していたが、母なる大樹の領有を理不尽に森妖精人(エルフ)に奪われるのを、黙って見過ごせなかった大王ベルガ・ギエロアは乾坤一擲(けんこんいってき)で、連合国軍の本陣へ奇襲をかける獅子奮迅(ししふんじん)の大攻勢を行った。




 しかし、物量の差は如何ともし難く、闇森妖精人(ダークエルフ)種であるギエロア大王国側の敗戦で世界樹(ユグドラシル)大戦は幕を閉じた。




 連合国軍本陣の奇襲時に捕縛された半死半生の大王ベルガ・ギエロアは、後日アルバビロニア大帝国の【帝都プロローズ】の処刑場で、同胞である闇森妖精人(ダークエルフ)に向けて、『雌伏して時が至るのを待て!』と激言(げきげん)を発し断頭台の露と消えたのだった。




 併合され支配される事を強く拒絶(きょぜつ)した多くの闇森妖精人(ダークエルフ)達が、アルグリア大陸全土へと散って行った。

 



 そんな状況の中、アルバビロニア大帝国とエルブリタニア帝国に分配併合された旧ギエロア大王国領には、生き残る為に否応なく森妖精人(エルフ)(ひざ)を屈した【闇森妖精人(ダークエルフ)】達もいた。




 エルブリタニア帝国に併合された旧ギエロア大王国領に住む闇森妖精人(ダークエルフ)の中には、忍者(ニンジャ)と呼ばれる暗部(アサシン)間者(スパイ)を得意とする【傭兵集団】の姿もあった。




 彼らは自ら進んで帝国の【走狗】になる事で、生き残る力のない老人と幼子を()(うち)(かか)え、生き(なが)らえていたのだった。




 そして、心無い同胞と森妖精人(エルフ)から侮蔑(ぶべつ)されながらも、帝国の奴隷の如く酷使されていた。

 





 忍者(ニンジャ)とは(ヤイバ)の下に心置(こころお)くが(ごと)く、忍耐強く目的を達する者である。

 





 時は戦乱の気運が高まる【戦国時代】、アルグリア大陸は激動の【血の時代】を迎えていた。




 弱肉強食の闘争本能剥き出しの獣達が、生存本能を駆使してお互いを喰らい尽くそうと、虎視眈々(こしたんたん)とその時を待っていた。




 戦雲漂うアルグリア大陸には、旧アクリス王国跡の永久に解けないと言われる【氷柩の王国(コキュートス)】が氷解し始めた事を知る者は、まだ誰も居ない。




 【十の災厄(アンタッチャブル)】の一角(いっかく)、【氷狼(ヒョウロウ)】が生まれたての混血(クォーター)の【赤ん坊】に討伐された事実を、人類が知るにはもう少し時間(とき)が掛かるだろう。






 運命(シナリオ)の歯車がカタコトカタコト廻り出す、奏でる音色は人々の哀哭(あいこく)の叫び声か、......はたまた欣悦(きんえつ)の歓声か、......紡いだ希望の(思い)で救世の羽衣(願い)を織り出し、それを(まと)白無垢(しろむく)(たましい)を何色に染めるのだろうか......








 To be(続きは) continued(また次回で)! ......

ご都合主義の展開には、ガッカリされた人も、おられるでしょう?


ちょっと待って読者さま! 焦ってはいけません! 第12話までお付き合い頂ければ、後悔はさせません! よろしくお願いします! 


何か違う? と思った人は、★評価・ブックマーク登録・感想よろしくお願いします!


最後に、読者の皆様に感謝を、お読み頂き、ありがとうです!


【2020/07/12 改訂しました】

【2020/07/30 改訂しました】

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