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アルグリア戦記 ~1/31,104,000秒の世界~  作者: 虎口兼近
第4章 詐欺師飛翔編
28/40

第27話 廃神さん...傍観する(10)

毎月...3日...13日...23日......更新予定です。

●アルグリア大陸暦千五百三十八年三月十六日 

【アルバビロニア大帝国~帝城プロロス】






【アレキサンドロス・アルバビロニア】

「ジズードよ! その沈黙が己の答えと受け取っても良いのか?」




【ジズード・マラッセ】

「......」






 大帝に詰問されたジズードは、答えに窮する。




 肯定も否定も、身の破滅であるからだ。




 脂汗を流しながらもジズードは、己の身を守るべく沈黙せざるおえなかった。




 そんなジズードを眺めていた大帝が、今度はノクレに問い掛ける。






【アレキサンドロス・アルバビロニア】

「ノクレよ、どうやら答えが出たようだな。此処に秩序と法を司る天空神ライブラ様の裁きが下された。ジズード・マラッセ商会長は、己の沈黙を持って己の不実を証明した。しかし...だ。不実なる者は果たしてこの者だけであろうか? のう、ミクナーク殿?」






 そう大帝から問い掛けられた詐欺師は、徐に拝礼しこう答えた。






【ナークス・アエニブス】

「全て、大帝陛下の御心のままに......」






 FHSLG【アルグリア戦記】に於いて、身分(エスタード)とは絶対的な格差である。




 アルグリア大陸では、第一位階として戦う身分である騎士・貴族と、第二位階として祈る身分である聖職者と、第三位階として働く身分である商人・職人・農民と、第四位階として隷う身分である奴隷と、第五位階として見えざる身分である自由民の、五つに分別される。




 そして、その五つの身分の中でも、序列が存在する。




 第一位階として戦う身分である騎士・貴族は、君主(王族)を筆頭に領主(貴族)・騎士と序列がある。




 第二位階として祈る身分である聖職者は、教皇を筆頭に総司教・大司教・司教・司祭と序列がある。




 第三位階として働く身分である商人・職人・農民は、三職平等であるが商人・職人には徒弟制度(見習いから始まる制度)があり、財を多く持つ者が力を持っている。




 第四位階として隷う身分である奴隷は、隷属する主人の財産でありそれ以上でもそれ以下でもない。




 第五位階として見えざる身分である自由民は、一言で言うと税金を払わない流民である。




 帝都プロローズにも存在する、貧民街(スラム)の住民がそれに当たる。




 税を払わない者は民ではないと言う事から、見えざる者として扱われている。




 その絶対的格差である身分制度が常識である、アルグリア大陸に於いて、ジズードの行為は許されざるものであった。




 第三位階の商人であるジズードが、第一位階の最上位に位置するミクナーク・ベニアス王兄殿下に対して、不敬を行う事は不敬罪に当たり、当然罰せられなければならない。




 そして、それは死罪以外には、あり得なかった。






【アレクサンドロス・アルバビロニア】

「そうか、ではミクナーク殿。其方に会わせたい者が丁度、帝城に来て居る。久方ぶりの再会の場を我が用意しよう!」






 その言葉が発せられると同時に大広間の扉が開き、二人の高貴な身分であろう地精霊人(ノーム)普精霊人(ヒューマン)が入場して来た。




 入場する二人を知る者達は、この大商談会に参加して、最大の成果を得れたと感じていた。




 その二人とはベニアス王国の国王ローグレス・ベニアス陛下と、王妃マルガレーテ・ベニアス妃殿下であり、百数十年ぶりの兄弟の邂逅だった。




 その場に立ち会えた喜びに、商人達は驚嘆の声を揚げた。






【ローグレス・ベニアス】

「兄上! お久しぶりで御座います。お元気そうでなによりで御座います!」




【ナークス・アエニブス】

「ああ、其方も息災で何よりだ......」






 詐欺師は己の魔法が、破られた事を悟った。




 しかし、己の保身よりも、大事なものを、詐欺師は背負っていた。




 何故か理由は、解らない。




 帝都プロロースの裏社会の帝王である、キルギルス・ノールの一人娘が、不治の病で余命幾ばくも無い状況だと知った。




 その時に、言いようのない想いが、詐欺師の心を覆った。




 それ故、詐欺師は態と、キルギルス・ノールに己の正体を見せ、不治の病の少女を助けようとした。




 此処でばれる訳にはいかない。




 ノクレ・オーディスとの、約束は為った。




 後は帝城から無事に退場するのみだった。




 しかし、運命の悪戯か、運命と宿命を司る才能神ジェミニの思し召しなのか、己の身はどうなっても良いが、ノクレ・オーディスだけは無事に返さないと全てが無駄に終わる。




 只、この状況では己一人が全ての罪を背負っても、ノクレ・オーディスにも類が及ぶ事は間違いない。




 少女には時間が無かった。




 何時亡くなってもおかしくない状況であると、キルギルス・ノールの繋ぎ役の者の表情が、物語っていた。




 時間が無い。




 少女を救う。




 此処で、暴露れる訳にはいかない。




 しかし、詐欺師の魔法とは、嘘がばれなければ超一流の詐欺師だが、暴露されれば三流以下に成り下がる、一種冗談のような魔法だった。




 詐欺師は、全身から噴き出す汗を感じた。




 詐欺師の意志では抑えきれない、何かによって、全てが崩れ落ちようとしていた。




 詐欺師は何故、見も知らない少女の為に、命を賭けるのか?




 詐欺師は何故、己の命よりも、少女の命を優先するのか?




 それは詐欺師の過去に、答えはあった。




 遠い日の記憶、......詐欺師は母を亡くしていた。




 少女と同じ、不治の病だった。




 遠い記憶の為か忘れたい記憶の為だろうか、詳細は朧気で思い出せない。




 しかし、詐欺師は自分の助けられなかった母と少女を重ね合わしていた。




 助けられなかった母、......後悔と自責の想い。




 詐欺師は己の全てを賭けて、今回の大一番に臨んでいた。






【マルガレーテ・ベニアス】

「......」






 その様子を見ていたマルガレーテは、違和感を覚えていた。




 マルガレーテの知るミクナークとは、明らかに違った対応(言葉使い)だった。




 百数十年の歳月がミクナークを変えたのか?




 そして、何よりミクナークにとって、弟はミクナークの全てだと知っているマルガレーテは、ある質問をするのだった。






【マルガレーテ・ベニアス】

「大帝陛下の御前で口を開く失礼をお許し下さい。ミクナーク様、貴方は何故ベニアス王国から去ったのですか? ご兄弟の再会の場で失礼ですが、お答え頂けないでしょうか?」




【ナークス・アエニブス】

「お久しぶりです、マルガレーテ妃殿下。私が何故ベニアスを去ったかですか、それは全てを弟に託したからですよ!」






 その返答を聞いたマルガレーテは、このミクナークは偽物だと確信した。




 何故ならミクナークとマルガレーテは遠い昔、恋人であり、許嫁同士だった。




 そんな二人が何故別れて、マルガレーテがローグレスと結婚したのか、その答えを知るマルガレーテにとって、偽ミクナークの言葉は、己が偽物であると宣言したも同然であった。






【マルガレーテ・ベニアス】

「貴方は何者ですか? 貴方はミクナーク様ではありません! 何故ならミクナーク様がベニアスを去る理由を私が知っているからです! そう、ミクナーク様自身からお聞きしたのです! その事実を知らない貴方は、一体何者なのですか?」






 マルガレーテ妃殿下の断罪が、詐欺師の意志を砕いた。




 詐欺師は狼狽を隠せずに、崩れ去る世界で、ひたすら不治の病の少女を救う術を模索していた。




 詐欺師は諦めない。




 否、諦める訳にはいかなかった。




 あの寝台で苦しむ少女の姿が、己の母と重なる。




 曾て救えなかった母、あの時己が全てを懸けても救えなかった母。




 しかし、少女は生きている。




 今も病に苦しみ、己の心配よりも、己の父親を案じる少女の姿に、詐欺師は己の母の姿を見たのだった。




 詐欺師は諦めない。

 



 何としても、この危機を脱しなければならない。




 そう決意した、諦めない詐欺師の頭に、()()響いた。






●アルグリア大陸暦千五百三十八年三月十六日 

【帝都プロロース~ロシナンテ商会百貨店付近】






【キルギルス・ノール】

「野郎共、い......」






 今まさに号令を掛けようとした大男の頭に、()()響いた。






【カルマ】

『待て! ......』






●アルグリア大陸暦千五百三十八年三月十六日 

【帝都プロロース~ノール邸】






【ベスティア・ノール】

「パ、パパ......」






 (うな)される少女の寝台の真上で、姿と気配を消して空中に浮かぶカルマが懊悩煩悶(おうのうはんもん)する!




 その視線の先には、命の灯火が、小さく小さくなって、今まさに消えようとする、少女の姿が映っていた。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






 アルグリア大陸には、賢者と呼ばれる知恵者が存在する。




 その知恵者は、ある者は未来を見通し、ある者は天変地異を起こし、ある者は奇跡の御業で人々を助けたと、古文書にはある。






 アルグリアの九賢者と総称される九人の賢者は、アルグリア大陸の何処かに隠棲しており、今もその知識と技術を伝承していた。








 To be(続きは) continued(また次回で)! ......

ご都合主義満載! 【詐欺師飛翔編】の締めの第33話までお付き合い頂ければ、幸いです!


真実が襲うナークスに抗えと思った人は、★評価・ブックマーク登録・感想よろしくお願いします!


最後に、読者の皆様に感謝を、お読み頂き、ありがとうです!


【2020/07/21 改訂しました】

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