第19話 廃神さん...傍観する(2)
毎月...3日...13日...23日......更新予定ですが、アルグリア戦記が累計八万字達成するまで3日から毎日更新しています。集英社WEB小説大賞に本作を応募する為です。
作者には夢があります。“妄想ゲームの歴史を現実でゲーム化する”事です。コー○ー○○○ゲームスさんで、○○の野望のファンタジー版歴史シミュレーションゲームとしてゲーム化される中継点になる事を切に願って投稿します。いつから本作が仮想小説だと誤解していた? 本作は作者の妄想ゲームの設定集を備忘録化したものです。勘違いさせたのならお許し下さい。
●アルグリア大陸暦千五百三十八年二月二十六日
【バロック王国辺境~デンバエ鉱山付近】
体が動かない。
頭が、思考が惚ける。
ばあちゃんの姿が見える。
口の悪いばあちゃん、でもいつもおいらを大事に思ってくれてた。
おいら知ってるよ、おいらが無能だから、いつも皆に、ばあちゃんが虐められてた事。
ばあちゃん、肩身を狭くさせてごめんよ。
いつも強気で、おいらを馬鹿にする奴等を、逆に口の悪さでやっつけてくれた...優しいばあちゃん。
なのにおいら、酷い事を......。
ばあちゃん、憎まれ口叩いてごめんよ。
素直に成れなくて、嫌いだって言ってごめんよ。
大好きだよ、ばあちゃん。
ああ~ばあちゃん、寒い日には一緒に眠ったね。
温かかった、気持ち良いずっとこのままでいたい、そう思った。
ばあちゃん、一緒に食べた芋の田楽。
甘くて美味かったね。
また一緒に食べれたらいいね。
ごめんよ、おいら間に合いそうにないよ。
ばあちゃん、ごめんよ。
嫌だよ、ばあちゃん死なないでよ。
おいらばあちゃんが死ぬのやだよ。
一人にしないでよ、ばあちゃん。
ああ、あああ、岩狼だ。
う、動け、動くんだ。
岩狼の息遣いを感じる。
岩狼の食欲を肌で感じる。
喰われるのか? おいら、ここで死ぬ? おいら、まだ死ねない! おいら、里に行かないと。
ばあちゃんを助けるんだ! その時、あの声が頭に響いた。
そして、刻が止まった。
あの声は優しく諭し、そして静かに問い掛ける。
これから、フウマの里は皆殺しにされる。
幼子も分け隔てなく殺される。
戦える者は死ぬ覚悟で戦えない者を逃がす為、最期まで戦い続け死ぬだろうと。
誰も助からない、お前の祖母も助からないと。
誰も生き残れない、お前の祖母も生き残れないと。
でもお前は良くやったと。
頑張ったと。
もう休んでも誰も文句は言わないと。
苦しいだろう、楽になれ、もう眠れと。
お前は十分にやったと。
......でもお前は本当にそれで良いのか?
それで満足かと?
優しく静かにおいらに問い掛ける。
ぜ・っ・た・い・に・嫌・だ!
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
ばあちゃんは、おいらとこれからも一緒に生きて行くんだ。
一緒に寝るんだ。
一緒に食べるんだ。
一緒に笑うんだ。
おいらは問い掛ける。
あなた様は、本当に一体何者なんですかと、真っ裸の赤ちゃんを思い浮かべ問う。
あの声は答える。
“俺はお前で、お前の願いを叶える者だ”と。
だったら、お願いです。
ばあちゃんを、里を、皆を助けて下さい!
おいらの願いをどうか叶えて下さい!
その為なら、おいらの命も魂も、心も全てあなたに捧げます!
お願いです、神様助けて下さい!
【カルマ】
『その願い聞き届けた......』
そして、刻が動き出す。
少年は小刀を杖に藻掻く様に立ち上がろうとする。
包囲を狭めていた狼達が、その包囲を少し広げる。
少年は揺付きながらも立ち上がり、眼光と殺気で狼達の動きを縫い止める。
【ゲンタ・カトウ】
「生け...贄、はおい...らの命! だ、代償は...おいらの魂! ついでに...心も持って行け!」
少年が何か呟くと彼の周りに魔素が集まり、その頭上に機械仕掛けの絡繰り時計が出現した。
何か続けて少年が呟くと時計は、“四八:○○:○○”の緑色の数字を浮かび上がらせ“四七:五九:五九”と数字が動き出し、その機械仕掛けの絡繰り時計が眩しく光ながら収縮して小さい玉になり、少年の左目に吸い込まれた。
FHSLG【アルグリア戦記】に於いて、ステータス能力表示の身体能力情報である筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力のキャラクターの個体レベル上昇時に於ける各数値の上昇値は、個体のレベル・年齢・人種種族・身分・職業・称号・才能・状態値【HP(生命力)・MP(魔力)・MSP(精神力)・EP(持久力)・FP(満腹度)】・能力値(筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力)・編成能力値(統率力・攻撃力・防御力・機動力・持久力・戦法力・士気力)と、“隠されたデータ”の年齢特典・人種種族特典・身分階位・職業階位・称号階位・才能階位・賢さ・運の各要素を数値化し、“自然乱数”により決定される。
人種種族により設定されている個体レベル上昇時の“自然乱数”に依る上昇能力数値と成長限界身体能力値。これに依り個体差が生まれ、個体の行動によりそれは加速する。
FHSLG【アルグリア戦記】にはあらゆる現象・数値に干渉する“隠されたデータ”とは別に、“自然乱数”にも干渉するもう一つの数字“秘数”が存在する。
その数字は個体の“想い・願いの概念”を数値化し、倍加半減・加速減速・増進減退するもう一つの“個体”の可能性の数値である。
その“秘数”が個体の行動に対して才能と職業・称号等を付与する。
アルグリア大陸の認識に於いては、職業・才能は神々の恩寵とされている。
鬼畜仕様の七段階目の創造神の試練を完全制覇したカルマが重要視した、“何か”が“秘数”とは未だにカルマは知らない。
知らないながらも“何か”を活用するのが廃人の中の廃人、【廃神】と呼ばれる変態の真骨頂だった。
ゲンタ・カトウは、若い年齢層のプレイヤー達に人気のキャラクターだった。
過酷な運命と抗う物語と、その類い希な才能の数々が若い年齢層に大いに受けた。
誰もがゲンタでプレイし、帝国の悪逆非道な行いを正そうと躍起になった。
斯く言うカルマもゲンタで完全制覇している。
そして、ゲンタの持つ固有才能《生贄と代償》とは、某かの生贄を神々に捧げ、某かの代償を神々に払い、時間制限内で自分の願う権能を神々から授かる特殊な才能で活用の仕方で、埒外不正行為にもなるが、地雷にもなる扱いづらい才能だった。
ゲンタは一途に速さを願った。
里に文を届ける為だけに、己の命を神々に生贄として捧げ、己の魂を神々に代償として払い、二日間限定の速さとそれに耐える体を得た。
アルグリア大陸の住人であるゲンタに、プレイヤーと同じ事(詳細選択設定)は出来ない。
プレイヤーなら才能《生贄と代償》の詳細選択設定をして、才能を発動させる。
ゲンタが願う内容ならば、四十八時間限定でのHP(生命力)とMSP(精神力)を同時消費し、才能発動中は常時激痛(中)状態で、己の敏捷値×千倍の効果(待機時間四十八時間)を設定して始めて可能になる。
そして、ゲンタが無意識に詳細設定した内容は、四十八時間後に死亡確定を神々に捧げ、継続プレイ不可(プレイキャラクターの子供での継続プレイ禁止)を神々に払い、己の敏捷値×千倍の効果を四十八時間限定で状況値【HP(生命力)・MP(魔力)・MSP(精神力)・EP(持久力)・FP(満腹度)】消費不可状態(一切消費しない)での発動だった。
プレイヤーなら、詳細設定不可能な内容だった。
アルグリア大陸の住民のみが設定出来る内容なのか、それとも“秘数”が起こした、只の奇跡なのか詳細は解らない。
闇夜に綺羅めく雷が鳴り響き、空からは雹が降る。
少年は静かに雷と化し、狼達を瞬時に屠る。
少年は疾走する、そして雷と成り光と為った。
●アルグリア大陸暦千五百三十八年二月二十八日
【帝国アダーク領~ダポナ街道】
【ラクトリウス・エルブリタニア】
「ふははははは。少年よ、否、ゲンタ! 獲れるものなら獲ってみよ!」
容姿端麗な青年から、圧倒的な覇気が迸る。
それと同時に、天幕の異常を察した、夜間警護の騎士達が駆け付ける。
「おのれ、曲者! 曲者だ!」
と叫び少年に切り掛かる騎士達が一瞬で崩れ落ちる。
「ば、化け物!」
怖じけずく騎士達を、覇気を纏った青年は、その目で騎士達の動きを制し、ニヤリと笑った。
ゴトリっと、音がした。
血が吹き出す少年の左肘から先が、切れ落ちた音だった。
しかし、少年は何事も無かった様に、己の左手を切り落とした青年を見つめていた。
その時だった、少年を紅蓮の炎が包み込む。
少年はそれでも何事も無かった様に、青年を見詰めていた。
ジリジリと肉を焦がす臭いが立ち込める。
【オフェリス・ベクシス】
「殿下、お退き下さい。ここは私が! 坊や、借りは返すよ!」
道化の仮面を被った赤髪の女が乱入する。
殿下の前に壁となり、合図と共に天幕に閃光が満ちる。
【ラクトリウス・エルブリタニア】
「ゲンタ、残念だが時間切れだ。去らばだ!」
そう言い放った青年は天幕を後にし、全軍に号令を掛ける。
「我らの動きはフウマの知る処となった。全軍全速で目標を殲滅せよ!」
エルブリタニア帝国遊撃騎士団《双頭の竜》が動き出そうとしたその時、天幕が爆音と共に弾け飛んだ。
その爆炎の中から少年らしき影が浮かび上がり、天幕を囲む騎士達に戦慄が走る。
「化け物め! ここで仕留めるよ!」
道化の仮面の女は、一斉に配下に号令を掛ける。
【ゲンタ・カトウ】
「その仮面、......見覚えがある! お前か? 十年前、里を襲い。おいらの母ちゃんを、笑いながら嬲り殺した、道化の仮面の女は?」
少年は十年前の記憶を呼び覚まし、道化の仮面を被った赤髪の女を問い詰める。
そして、その女は仮面を付けたまま醜悪な笑いを浮かべたのだった。
【カルマ】
(ゲンタ、......時間が無いぞ!)
爆炎立ち昇る闇夜の中、空中に浮かぶカルマが真っ裸で思う!
その視線の先には、多数の帝国勢に囲まれ、焼き焦げた体で一人佇む片腕の少年の姿が映っていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アルグリア大陸の北東の中央よりに位置するエルブリタニア帝国は、皇帝を頂点に元老院・帝国護剣がそれを支え、それを帝国貴族・帝国騎士団と民間官僚が支える統治構造が、帝国千年の治世を盤石なものとしていた。
また、それを影で支えるのが諜謀機関“隠者の手”であり、光として支えるのが『帝国護剣』と言われる独立機関であった。
そして、その盤石な統治構造上、時の皇帝個人に剣と忠誠を捧げ、帝国を護る七つの剣を人々は『帝国護剣』と呼んだ。
帝国護剣は、その時代毎に異なる剣が帝国を守護している。
但し、その七つの剣に時の皇帝より下寵される七つの称号に変わりはなく、それを知るものは少ない。
To be continued! ......
ご都合主義満載! 新章の締めは、第20話です!
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最後に、読者の皆様に感謝を、お読み頂き、ありがとうです!
【2020/07/19 改訂しました】




