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アルグリア戦記 ~1/31,104,000秒の世界~  作者: 虎口兼近
第1章 プロローグ
2/40

第1話 廃神さん...転生する

 毎月...3日...13日...23日......更新予定です。

●アルグリア大陸暦千五百三十八年二月十三日

【マルカ王国辺境~ラック村】






【???】

「おぎゃああああああああああ~!」




 一人の男子が、産声をあげた。




【カルス】

「マルナよくやった! 元気な男の子だ! ......よし! 【カルマ】と名付けよう!」




【マルナ】

「カルマうっ、うう......生まれてき、てくれて......あり、がとう~」




【カルマ】

(......特別仕様のシナリオは、詳細不明だから、ドキドキするな~)






 彼【カルマ】は、仮想現実の世界では、人生全てをゲームに捧げる、廃人(ゲーマー)の中の廃人(ゲーマー)、【廃神(オーバーアウト)】と呼ばれていた。




 そんな彼が今最高にハマっている、FHSLG(ファンタジー歴史シミュレーションゲーム)【アルグリア戦記】で、鬼畜無理ゲーの難易度の【創造神の試練】をクリアした。




 そして、その特典の一つ特別難易度のシナリオ【()()()()()()()()】で、ゲームスタートしてこの物語が始まった。




 当初、彼は【ゲーム世界に転生】の難易度名は、制作運営会社が悪のりをして、名付けたと思っていた。




 転生って(笑)中二病かよ~凄いセンス(笑)......他の難易度のシナリオ名も(笑)......しかし、笑っていられたのも最初のうちだけだった。




 何故なら、()()()()()()()()したら、いつものゲーム世界特有のエフェクトではなく、現実(リアル)に傷から血が噴き出していたからだった。




 驚き焦った【カルマ】は現実世界に戻ろうとしたが、いつもの箇所にログアウト表示も運営への連絡手段のコール表示もなかった。




 そして、色々普段との違いを探していると、ステータス表示の説明書きに、【異世界転生者】の文字を発見したのだった。




 そこで初めてゲーム世界に転生したと気付き、唖然(あぜん)とした。






【カルマ】

(マジか......どうりで、母乳が美味すぎると思った......)






 FHSLG【アルグリア戦記】とは、アルグリア大陸の数千万のキャラクターの中から一キャラアバターを選び、大陸制覇を目指す一人用やり込み型戦争ゲーム(アルグリア戦記の世界時間は三千百十万四千分の一秒で、現実世界の一秒が仮想現実世界の三百六十日に相当する)である。




 特徴としてはゲーム結果から獲得できる【英雄ポイント】を利用して、プレイアバターを増やしたり、ステータスを上げたり、才能(スキル)を付与したりして、自分好みに【カスタマイズ】するシステムが挙げられる。


 そのカスタマイズも育成過程の楽しみを重視しているので、ゲーム開始からの【俺Tueee】は出来ないように、キャラアバターの初期能力値と初期才能(スキル)レベルは【カスタマイズ不可】だった。




 カスタマイズは、キャラアバター毎に設定されている、成長限界身体能力値・成長限界才能(スキル)レベルを、自分好みに【限界値の設定】を英雄ポイントが続く限り上昇させ、英雄ポイントで獲得できる限りの才能(スキル)を十枠(最大で十枠)だけ【付与・限界値の設定】が出来るシステムである。(付与した才能(スキル)は、初期レベル(ワン)からの育成になり、成長限界才能(スキル)を上げてカスタマイズする)


 志し半ばで倒れたとしても、自分の子供がいれば才能(スキル)を一つだけ、現在のレベルで継承させて【引き継ぎプレイ】も出来る。




 大陸制覇しなければ、又は大陸制覇されなければ、理論上永遠に時を刻み遊ぶことが出来る、やり込みの高さで、人気を博しているゲームだった。




 シナリオ難易度も七段階から選択して、キャラアバター毎に、またそのシナリオ難易度毎に、クリア時には特典が用意されている。




 そんな【アルグリア戦記】の、七段階中最高難易度の【創造神の試練】とは、選択キャラアバターが一人限定で、アバター名【カルマ】のみでプレイ。能力値(筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力)が【1】ポイントで固定され、個体レベルを上げても【一切能力値は成長しない】、尚且つ、才能(スキル)枠を【0】ポイントで固定なので、【一切才能(スキル)を修得出来ない】状態で、装備品・アイテムの持ち込み(最大十個)も一切出来ず、子供への継承プレイも一切出来ない状態で、【アルグリア大陸を制覇する】と言う【縛り要素満載の鬼畜仕様のシナリオ】だった。




 前人未到の鬼畜仕様の【()()制覇(クリア)特典】は、英雄ポイント【一千億】獲得券が一枚と、成長身体能力値の【限界値を解除する】突破券が一枚、才能(スキル)枠(最大十枠)の【限界枠を解除する】撤廃券が一枚、新固有才能(ユニークスキル)(ゲームシステムで了承されたスキル)の創造券が一枚、シナリオ難易度【ゲーム世界に転生】の選択券が一枚だった。




 やり込んでキャラクターと一心同体となった、彼【カルマ】の心残りは、ゲーム世界の両親が共に早世だった事と、ゲーム世界での仲間が、無念の想いを抱いていた事だった。




 ゲーム世界の両親と仲間の運命を変える為に、()()()()()()()()()()()()()を使用して、ゲームを開始した......が。






【カルマ】

(聞いてないよ~! もし俺がお亡くなりになったら、どうなるんだろうか?)




「おぎゃああああああああああ~! (ゲームに転生って、なんじゃ! そりゃあああああ~!)」




【マルナ】

「よ~し、よしよし~お腹空いたの~? 泣かないで~」




【カルマ】

(ウグウグっ! ......母ちゃん、...母乳が美味すぎる......、ゲポっ!)






 従来のシナリオ通りであれば、【カルマ】が生まれて半年ほど後に、()()()()()()()()に村が襲撃され、【カルス】は殺され、【マルナ】は逃げる途中で、崖から落ちて亡くなり、【カルマ】は天涯孤独になる。






【カルマ】

「あぅあぅあぅあぁぁ~! (そうはさせるか~!)」






 極寒の雪化粧の中、空中に浮かぶ()()()()()()()()】が()()()で叫ぶ! 




 その視線の先には、真っ赤な血の飛沫が華のように咲いていた。






 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






 アルグリア大陸の北北東に位置する【マルカ王国】は、年中雪が降り積もる極寒の小国で、【ラック村】は王国の最北端にあり、峻険(しゅんけん)な山々に囲まれた、村民三十人にも満たない寒村の限界集落だった。




 冬期には陸の孤島と化す豪雪地域の為、商人が訪れるのは夏期の年一回程で、一番近くの【ラスヌーク町】までは、夏期でも約一週間程掛かる険しさだった。



  五年程前までは、村近辺に自生する上級回復薬の素材の1つである、【雪幻花草】を求め、商人が隊商(キャラバン)を組んで、冬期以外は頻繁に訪れていた。




 その為、険しい山村への交通の要衝として、ラック村とラスヌーク町との間に、【ヤスム村】があったのだが、この【ライバール地方】を治める、代官の暴虐によりヤスム村は廃村になった。




 当時の代官【ロズル・ベルムスカ】は、マルカ王国宰相【ログル・ベルムスカ】侯爵の三男で、能力は高いが、思考が稚拙で自尊心が人一倍強く、辺境の代官として赴任したことに、大きな不満を抱えていた。




 その不満の捌け口として、巧妙に私腹を肥やしていたが、ヤスム村の【マッサ】村長から内々に、その行為を諌められ、激昂した代官は村長を無礼打ちで処断した。




 代官の理不尽な行いに対し、村長の息子【マッシ】が村民を扇動して、抗議の為に村を封鎖した。




 それによって、物流が滞った商人からの苦情が上がったのを、機会として、不正に村を封鎖し治安を乱したとして、代官は自ら即座にヤスム村討伐の軍を発した。




 しかし、本当の目的は、不正の証拠隠滅と、溜まった鬱憤(うっぷん)発露(はつろ)だった。




 数日後、ヤスム村は問答無用で灰塵(かいじん)と帰し、ヤスム村からラック村へ逃げ延びた村人は、十人にも満たなかったが、ロズル代官はラック村に対しヤスム村住民の引き渡しを求めた。




 ラック村村長【カラック】は、ヤスム村が抗議の封鎖をする前にマッシから詳細を聞いて、マッシを止めようとしたが説得は出来なかった。




 そこで王宮に仕える自分の息子宛に、現状を伝え助けを求める為、【()()()()()()】に書状を託し送り出していた。




 その冒険者は、通常三十日掛かる日程を約半分で踏破し、村長の息子でマルカ王国騎士団副団長【クラック】に書状を届けた。




 直ぐに事態を把握したクラックは、上司の騎士団長を通じて宰相に陳情してもらった。




 話を聞いて驚いた宰相だったが、詳細の詮議の為に、直ぐに監察官を送り出した。




 しかし、一行がラスヌーク町に着いた時には、ヤスム村とラック村は地図から姿を消していたのだった。

 



 後日、ロズルは厳しく取り調べられ、不正の証拠はなかったものの、ヤスム村、ラック村合わせて住民約五百名の虐殺は、王国史上最大の不祥事とされ、国外追放処分となった。




 その処分に納得がいかなかった、ヤスム、ラック両村に血縁者が居た者達は、ロズルの断罪を求めたが、その願いは叶わず、少なくない人が王国を去り、クラック副団長は職を辞し、村人達の霊を慰める為、ラック村に移住した。  






 ......その後、国外追放されたロズルが()()()()()に討たれたのだが、詳細は定かではない。






 ......数年後、老人ばかりのラック村に、【()()()()の男】と【身重の女】が訪れた。




 何か訳ありの二人を、住人達は何故か(こころよ)く迎えたのだった......








 To be(続きは) continued(また次回で)! ......

ご都合主義の展開は、ちょっとと言う人も、出来れば第12話までお付き合い頂ければ、むっちゃ嬉しいです!


真っ裸で叫ぶ、赤ちゃんが可愛いと思った人は、★評価・ブックマーク登録・感想よろしくお願いします!


最後に、読者の皆様に感謝を、お読み頂き、ありがとうです!


【2020/07/11 改訂しました】

【2020/07/21 改訂しました】

【2020/07/28 改訂しました】

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― 新着の感想 ―
[良い点] 世界観が非常に練られていて読み応えがありました。 キャラクターもイキイキとしているので、読んでて楽しかったです!
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