第16話 廃神さん...再会する(8)
毎月...3日...13日...23日......更新予定ですが、アルグリア戦記が累計八万字達成するまで3日から毎日更新しています。集英社WEB小説大賞に本作を応募する為です。
作者には夢があります。“妄想ゲームの歴史を現実でゲーム化する”事です。コー○ー○○○ゲームスさんで、○○の野望のファンタジー版歴史シミュレーションゲームとしてゲーム化される中継点になる事を切に願って投稿します。いつから本作が仮想小説だと誤解していた? 本作は作者の妄想ゲームの設定集を備忘録化したものです。勘違いさせたのならお許し下さい。
●アルグリア大陸暦千五百三十八年二月二十六日
【マルカ王国辺境のラスヌーク町付近】
【コジロウ・フウマ】
「おい! 急ぐぞ!(く、姿も見えぬか!)」
【ライゾウ・キリガクレ】【ランマル・キサラギ】
【アカネ・アカツキ】【コガネ・アカツキ】
「「「「はっ!」」」」
積雪の平原を異常な速さで進む、傭兵忍者集団『フウマ』の探索六人一組の五人が、仲間の一人を追い掛ける。
彼らの故郷である忍の里“ウイド”を目指して突き進む、圧倒的な焦燥感と無力感に苛まれながらも、決して諦めないと震えながら言い切った仲間の少年を追走する。
●ブルーアース世界暦一年一月十二日(アルグリア大陸暦千五百三十八年二月二十五日)
【アルカディア大陸~世界樹の森】
【ランマル・キサラギ】
「おい! ゲンタ、いい加減にしろ。お前は俺の組の一員なんだぞ」
【アカネ・アカツキ】
「本当、マジムカつくわ。あんたがいるせいで私達の組が、どれだけ恥ずかしい思いを! 組の面汚し!」
【コガネ・アカツキ】
「なあ? 何故お前が下忍になれたんだ。おかしいだろ!」
震える体を抱き締めながら少年は、仲間から叱り付けられる。
涙を流しながら、その言葉が少年を無能、無能と苛んでいく。
【ライゾウ・キリガクレ】
「お前達、いい加減にしろ。黙って状況把握をしろ!」
中年の男に諭され、不承不承ながらも周りの状況把握に努める三人組。
そんな六人一組を見詰め、物思いに耽る組頭の男。
男は思う、無能な少年に超忍が手も足も出ないなど有り得ないと。
そんな呑気な集団に向けて、赤ちゃんが問う。
【カルマ】
『ねえ? そんな事してていいの?』
カルマはコジロウ達に問う。
フウマの里《ウイド》に向かって、エルブリタニア帝国の軍勢五千が進軍中である事。
忍の里は現在、帝国の諜謀機関《隠者の手》千名により完全に封鎖されている事。
そして、その事実をフウマの里では一切感知していない事を挙げ、あなた達って呆れるくらい呑気だねって問い掛けた。
「嘘だ、そんな訳あるか」と逆上するランマルに、カルマは現実を突きつけた。
彼らの目の前に、今現在の様子を映し出したのだった。
帝国騎士団が、進軍する様子に「嘘、あれは帝国遊撃騎士団の紋章」とアカネが声を上げる。
旗めく軍旗には、確りと赤地に黒い二頭一体の龍が剣を挟んで対峙しているのだった。
茫然とする彼等に、追い討ちを掛ける様に場面が切り替わる。
忍の里《ウイド》を包囲する、赤茶けた迷彩仕様の衣を纏った集団が映る。
そして、里の結界を守る顔見知りの忍者達が、ある者は切り伏せられ、ある者は鉄杭で木に縫い付けられるも何故か生かされていた。
「結界が破られれば、すぐ解る筈だ!」
コガネが叫ぶ。
場面が反転して、フウマの里の一画が映し出される。
「お、親父!」
コジロウが呟く。
フウマ頭領と周辺の報告をする忍者の言葉に、皆愕然とする。
「コタロウ様、万事異常ありません!」
頭領は寡黙に頷き、部屋を出た忍者が呟く。
「ふっ、フウマもたわいも無い」
酷く醜い笑い顔を残して、その忍者は去って行く。
彼等は、この目の前の出来事が幻術ではなく事実だと本能が理解していた。
マルカ王国から忍の里まで、寝る間を惜しんでも十六日程は確実に掛かる。
軍勢は、里まで五日の所まで達している。
忍者の冷静な思考が里の悲劇を肯定する。
コガネが土下座をして、泣き叫びカルマに頼む。
「お願いします。里を助けて下さい!」
その言葉にゲンタ以外の皆が、一斉に土下座をして、カルマに懇願する。
しかし、ゲンタだけは、茫然と立ち尽くしていた。
カルマは思う。
最初からフウマを助ける事は決めていた。
何故なら鬼畜仕様の『創造神の試練時』に、仲間になったライゾウが淋しそうにいつも懺悔の言葉を呟いていたからだ。
カルマは、この世界の心残りの一つとして、ライゾウの無念を全て救うと決めていた。
だが、震える体で覚束無い足取りで、カルマに近付いて来るゲンタが震える声で願う。
【ゲンタ・カトウ】
「神様、どうかお願いです! おいらを元の場所へ戻して下さい、お願いします!」
FHSLG(ファンタジー歴史シミュレーションゲーム)【アルグリア戦記】の制作運営会社“インダストリア”は、MMOWG(多人数参加型戦争ゲーム)【矛盾】を含む各種ゲームを手掛ける老舗のゲームメーカーでもある。
元々の母体は、仮想現実世界に於ける医療技術の向上研究を主としている会社だった。
人類がアンチエイジングでの“生身の人間”の不老不死化研究を現実世界で断念し、仮想現実世界でその研究を推し進める為に生まれた副産物と言えるのが、仮想現実世界の“時間の延長”だった。
現実世界の一秒が、仮想現実世界の三百六十日に相当する“最大延長”時間として三千百十万四千分の一秒の世界を仮想現実世界に構築したのが、“インダストリア社”であった。
そして、世界の人口の全ての人が、インダストリア社のこの技術の恩恵を某かで受けている。
【アルグリア戦記】のゲーム紹介で、インダストリア社の代表者はこう謳っている。
『プレイヤーである君達に問う。異世界に転生したくないか? 人生をやり直したくないか? 君達の行動次第で“アルグリア大陸”の歴史を己色に塗り直せ! 人生がやり直せないって誰が決めた? 俺が許そう、自由に生きろ! 君達が何色に染まろうと自由だ! ......だが、このゲーム世界がもしかしたら現実世界ではと疑いを君達が持った時、ゲーム世界は現実世界に変わる。そして君達は気付くだろう“アルグリア大陸”が君達のもう一つの現実世界だと! 君達自身でゲーム世界“アルグリア大陸”が現実世界だと確かめろ! プレイヤー達よ、己の全てをアルグリアの歴史に刻め!』
そして、ゲーム開始の導入部分で流れる文言、『運命の歯車がカタコトカタコト廻り出す、奏でる音色は人々の哀哭の叫び声か、はたまた欣悦の歓声か、紡いだ希望の糸で救世の羽衣を織り出し、それを纏う白無垢の魂を何色に染めるのだろうか......』がプレイヤーの行動次第で、己の魂を染め上げろと語っていた。
FHSLG【アルグリア戦記】の最高難易度七段階目の創造神の試練を攻略するには、あらゆる全てのものを活用しないと難しい。
一つは称号、二つ目は隠されたデータへの理解、三つ目が才能の可能性“覚醒”である。
通常の能力表示(筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力)は、常時才能と任意才能発動時の効果によって増加する数値分を、加算計算で総合表示している。
プレイヤーが“覚醒”状態になると能力表示の総合数値は、加算計算から乗算計算に移行する。
この事実を認識しているプレイヤーは数人であり、最精鋭と呼ばれるプレイヤーはその事実を秘匿している。
何故秘匿するかと言うと、理論的な説明が不可能だからだ。
プレイヤー各個人によって、“覚醒”の発動条件の相違により、不確かな情報は反って、【アルグリア戦記】の世界を混乱させると“覚醒”者は感じとっていた。
【アルグリア戦記】が、一人用戦争ゲームでありながら、最精鋭が存在する理由は、制作運営会社の“インダストリア社”の公式ホームページに【アルグリア戦記】の攻略度に応じたポイント制でプレイヤーが順位表示されているからだ。
そして、その順位に応じた特典が、毎月末のポイント計算時に、“インダストリア社”からプレイヤーに授与される。
順位一位~八位までは、九位以降を二倍得点差以上で、一位~四位は、五位以降を十倍得点差以上で引き離していた。
順位表には、プレイヤー名は四位【RX-7】...三位【エンゼルフレンチ】...二位【クマメタル】...一位【カルマ】と記載されていた。
【ゲンタ・カトウ】
「おいらを元の場所へ戻して下さい! おいらが里へ状況を知らせに行く!」
そう震える声で、震える体で、だが少年の目だけは、覚悟を決めた輝きを放っていた。
●ブルーアース世界暦一年一月十三日(アルグリア大陸暦千五百三十八年二月二十六日)
【アルグリース大陸~迷宮都市バベル】
【バルベルデ・ウォルフ】
「野郎共! 掛かって来い!」
迷宮の塔“バベル”の十階の軍事教習施設で、獣精霊人二百名程が黒い甲冑を身に付け元気一杯で軍事訓練をしていた。
【カルマ】
(お前ら、脳筋過ぎるだろ......)
軍事教習施設の上空で、空中に浮かぶカルマが真っ裸で呆れる!
その視線の先には、軍事訓練場で五体満足で真剣に戦う熱い漢達の姿が映っていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アルグリア大陸には、人類と魔物と神々が存在すると人類の伝承にはある。
人類はアルグリア大陸の覇権を握る為、魔物は本能の赴くままに、神々はそんなアルグリア大陸を自身の恩恵を付与して人類を見守っていると。
しかし、実際は全く違う。
人類と魔物の相違は、神々にはない。
相違しているのは、アルグリア大陸語を話す人類が、自分達と意思疏通出来ないそれ以外のものと区分けしているだけである。
魔物と人類に呼ばれる人類以外に区分されているもの達にも、魔物毎に支配体制が存在する。
粘精霊人・緑鬼精霊人・小犬精霊人・豚精霊人・大鬼精霊人・巨鬼精霊人・鳥精霊人等々の種族が多く存在する。
神々は生物を区別しない、区別しているのは人類である。
その人類の傲慢な行いに対して、時折神々が天罰を下す現象を【魔物暴走】と言う。
To be continued! ......
ご都合主義満載! 新章の締めは、第20話です!
ゲンタ、頑張れ! と思った人は、★評価・ブックマーク登録・感想よろしくお願いします!
最後に、読者の皆様に感謝を、お読み頂き、ありがとうです!
【2020/07/16 改訂しました】