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アルグリア戦記 ~1/31,104,000秒の世界~  作者: 虎口兼近
第2章 銀狼復活編
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第11話 廃神さん...再会する(4)

 毎月...3日...13日...23日......更新予定ですが、アルグリア戦記が累計八万字達成するまで3日から毎日更新しています。集英社WEB小説大賞に本作を応募する為です。

 作者には夢があります。“妄想ゲームの歴史を現実でゲーム化する”事です。コー○ー○○○ゲームスさんで、○○の野望のファンタジー版歴史シミュレーションゲームとしてゲーム化される中継点になる事を切に願って投稿します。いつから本作が仮想小説だと誤解していた? 本作は作者の妄想ゲームの設定集を備忘録化したものです。勘違いさせたのならお許し下さい。

●アルグリア大陸暦千五百三十八年二月二十五日 

【ザッドロ王国の王都セルバア~闘技場(コロッセオ)






【バルベルデ・ウォルフ】

「ぐっおおおおおぉぉぉぉぉ~!」






 闘技場(コロッセオ)木霊(こだま)する(オールド)獣精霊人(ビーストマン)の苦痛の叫びが、無情にも魔獣(マジックビースト)愉悦(ゆえつ)を刺激する。




 魔獣の食欲は限界を超えていたが、それをより一層上げてくれる嗜虐(しぎゃく)性が魔獣を支配する。




 魔獣の左前脚の攻撃は、明らかに獲物を甚振(いたぶ)る意思に包まれていた。




 老剣闘士は右の死角からの攻撃を避け様とするが、体が自分の意志に従わない状態だった。




 蛇毒による激痛と発熱と(しび)れにより、老剣闘士にはもう闘う力は残されていない様に闘技場(コロッセオ)の観客達には映っていた。




 観客が老剣闘士への期待が裏切られた事への反動なのか、心無い言葉を(つむ)ぐ。




 観客の多くは闘技場(コロッセオ)の英雄の呆気(あっけ)無い最後を想い、落胆の色は隠せなかった。




 それでも、老剣闘士を信じる者達もいた。




 襤褸(ぼろ)(まと)った不具の獣精霊人(ビーストマン)集団二百名程が、一時でも老剣闘士を疑った己を恥て、老剣闘士が死ねば己も死ぬ覚悟で闘いを見守っていた。




 老剣闘士を助けに行きたい、しかし獣精霊人(ビーストマン)は特に力に魅入られている種族程、闘いを汚す事に忌避(きひ)感を覚えるのだった。




 ()してや彼らは、元団長の想いを(けが)す訳にはいかなかった。






 バルベルデは蛇毒で朦朧(もうろう)とする意識の中、闘技場に入場した時に見た(かつ)ての仲間達の姿を思い出していた。




 バルベルデが仲間を奴隷開放しても、不具になった身では闘いの術しか知らない彼らに、闘い以外で生き残るのは容易くは無かった。




 誇りでは、腹は膨れない。




 しかし約七十年間、バルベルデは仲間を買い戻しながらも、彼らに(まと)まった金を渡そうとしたが、誰一人として鉄貨一枚受け取らなかった。






 馬鹿野郎共、......あんなに()()けやがって。






 襤褸(ぼろ)(まと)い年老いた不具の獣精霊人(ビーストマン)集団......だが、バルベルデにとって掛け替えのない誇り高き傭兵集団『銀狼』の仲間達。




 待っていろ野郎共、このクソ魔獣をぶち殺して腹一杯、飯食わしてやるからな......。






【キマイラ】

「「グッガァァァァ~! ガッオォォォォ~!」」






 嗜虐(しぎゃく)性を隠しもせずに老剣闘士を甚振(いたぶ)り続ける魔獣も、己の食欲の限界をこれ以上我慢する気は無くなったのか、前右脚で老剣闘士の首を刈りに行った。




 老剣闘士は朦朧(もうろう)とする意識の中、無意識に左手の盾を(かざ)し致命傷を避けたが、従来の盾(さば)きも見る影もなく、体ごと吹き飛ばされた。




 闘技場(コロッセオ)を漂う悲壮感がより濃さを増して行く。




 そして、従来の老剣闘士の運命(シナリオ)は、この後老剣闘士が刺し違える覚悟の攻撃で魔獣を倒すが、結果は勝者無しの引き分けで闘いが終了し、老剣闘士は一命を取り止めるも瀕死(ひんし)状態のまま不具の奴隷として生涯を終えるのだった。






 FHSLG【アルグリア戦記】のゲームスタートは、全キャラクター一律(いちりつ)のアルグリア大陸暦千五百三十八年一月一日午前○時からである。




 又、その日以降に生誕するキャラクターはそのキャラクターの生誕日からの生活開始(ゲームスタート)となる。




 勿論、若年齢キャラクターの方がプレイヤーの自由度が大きいので、老年齢キャラクターよりも好まれるのは必然だった。




 しかし、仮想現実世界の特に対戦格闘型ゲームの中毒者(ヘビーユーザー)の多くに人気なのが、三段階目の難易度の『闘神の夢』で選択可能になる、(ウルフ)獣精霊人(ビーストマン)《バルベルデ・ウォルフ》だった。




 理由は、バルベルデの運命(シナリオ)の圧倒的()()感の物語(ストーリー)が挙げられる。




 それと対人戦、対獣戦()格闘型ゲームの中毒者(ヘビーユーザー)の多くが、己のPS(プレイヤースキル)でバルベルデの運命(シナリオ)を変える事に熱中したからだ。




 バルベルデの所属するザッドロ王国国営闘技場(コロッセオ)、『価値の証明(プルーフオブバリュー)』は、他の国の闘技場と比べて1日の闘技場(コロッセオ)での戦闘が最大3回行える。




 ゲームスタートから運命(シナリオ)闘技場(コロッセオ)の帝王最後の闘いまで五十四日あり、プレイヤーが各々の想いを胸に己独自の物語(ストーリー)を書き(つづ)る。




 ()く言うカルマもバルベルデでプレイして、完全制覇(クリア)を為し遂げている。




 バルベルデはかなり強いキャラクターで、弱点(ネック)は年齢による老化だが、その弱点(ネック)を補って余りあるのが、闘技場(コロッセオ)で五千戦無敗で獲得出来る称号《闘技場(コロッセオ)の帝王》を既に持っている事。




 称号効果は戦場(バトルフィールド)闘技場(コロッセオ)限定で、身体能力値×五十倍の不正行為(チート)級の身体能力(ステータス)値底上げだった。




 そして、闘技場(コロッセオ)で一万五千戦無敗で獲得出来る称号《無敗の帝王》も所持していて、危機的状況【HP(生命力)が全生命力値三十パーセントを切る状況】下で任意で一分間()能力値×百倍、瀕死(ひんし)状況【HP(生命力)が全生命力値十パーセントを切る状況】下で、任意で一分間()能力値×二百倍の称号効果を得る。




 しかも戦場(バトルフィールド)関係無く使用可能で、プレイヤー次第では超不正行為(スーパーチート)になる称号だった。




 今まさに老剣闘士が、不屈の闘志で称号《無敗の帝王》の効果を無意識に発動しようとしたその時に、彼の頭に直接声が響く。




 朦朧(もうろう)とした意識の中で、幻聴(げんちょう)かも何かも判断出来ない老剣闘士が一時、刻が止まった様な感覚に(おちい)った。






【カルマ】

『バル! いや、狼よ! .........』






 その声は、真摯(しんし)に老剣闘士に問うていた。




 今からお前は最後の()を使い魔獣を倒すが、勝負は引き分けとなり、お前は瀕死(ひんし)状態で、不具のまま奴隷として生涯を終えるだろう。




 お前はそれでも満足だろうが、お前の仲間の殆どがお前が死亡したと思い自決する。




 自決しなかった者も死を怖れてではなく、お前を想いお前の霊を(とむら)う為だけに、生き残ろうとする者達だ。




 そして、お前を想い、自決した仲間を想いながら、一人また一人と()()け、衰えて死んでいくだろう。




 それでもお前は、本当に満足なのか? 




 本望なのかと?




 老剣闘士は、朦朧(もうろう)とした意識の中で、はっきり拒絶(きょぜつ)慟哭(どうこく)する。




 (いな)(いな)(いな)と。




 そして、お前は一体誰だと老剣闘士が問うと、その声はこう答えた。




『俺はお前であり、お前の願いを叶える者だ』と。






 そして、刻が動き出す。






【カルマ】

「あぅあぅあぅあぁぁ~!! (立て! バル~!)」






 魔獣の遠吠えが木霊(こだま)する中、黒の子守布に包まれたカルマが黒い産着を着て叫ぶ! 




 その視線の先には、傷付いた両腕を力無く垂らしたまま必死に立ち上がろうとする、闘いを諦めない(おとこ)の姿が映っていた。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






 アルグリア大陸の西の端に位置するデソロモア王国は、魔妖精霊人(デーモン)種が統治する軍事経済強国である

 



 広大な草原と実り豊かな森林を領し、他民族との融合に成功した稀有な国だった。




 商業、生産業共に活発に国が資金を投入して、経済でもアルグリア大陸屈指の国でもある。




 軍事面は、独自の階級制で統括していた。




 下級兵から三等兵・二等兵・一等兵・軍曹・曹長・準尉・少尉・中尉・大尉・準佐・小佐・中佐・大佐・准将・少将・中将・大将・元帥の基本十八階級に状況次第で、上級・特務を階級に冠する。




 デソロモア王国の国王は代々【魔王】と呼ばれ、軍階級では『大元帥』であるが、その選出制度が異質だった。




 古代の時代から自然の摂理は、強き者が弱き者を喰らい生き残る自然淘汰(とうた)が原則であったが、近年は強き者が弱き者を守ると言う意識改革が為されて来た。




 しかし、強者の種族の魂が、強き者を求めた。




 その名残が弱肉強食の言葉通り、デソロモア王国では強者が厚く遇される『魔王』選出制度、【魔武乱闘(バトルロワイアル)】である。




 魔王選出時期は、魔王が任期百年を終えるか、任期中に亡くなった場合の二つのみである。




 但し、弑逆(しいぎゃく)禁忌(きんき)とされるが、()()()()の正統性がある弑逆(しいぎゃく)は認められる。




 ()に恐ろしきは人の心(なり)




 民衆が納得出来れば魔王とて淘汰(とうた)される絶対的制度(システム)により、デソロモア王国は古代より沈まぬ太陽と呼ばれている。

 





 戦雲漂うアルグリア大陸に於いて、近々デソロモア王国の魔王の任期が終わり、【魔武乱闘(バトルロワイアル)】が開催される。





 この魔王選出制度(システム)には()()・人種種族・老若男女の貴賤(きせん)は無く、純粋に強き者が生き残る自然摂理の具現化した姿が、その制度(システム)にはあった。








 To be(続きは) continued(また次回で)! ...... 

ご都合主義満載! 第12話までお付き合い頂ければ、幸いです!


バル負けるな! 立ち上がれ! と思った人は、★評価・ブックマーク登録・感想よろしくお願いします!


最後に、読者の皆様に感謝を、お読み頂き、ありがとうです!


【2020/07/14 改訂しました】

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