第4話の2
さて…リリアンとマリーの旅だが、思いのほか平和な旅であった。
外は健やかに晴れて適度にそよ風が吹き、雲もゆっくりと頭上を通過。じつに牧歌的光景だ。
「これじゃレベルが上がらないわねぇ…」
「れべる?」
「ほら、魔法免許証の名前の横に数字が書いてない?…って一般人のマリーが免許証持ってる訳無いか。」
そう言ってリリアンは仮免許をマリーに見せたら…
「あらあら、私魔法免許持ってますわよ。」
そう言ってマリーは懐からカードを取り出した…
しかも仮免ではなく正式な免許証だ。
「ウソん!マリーいつの間に!しかもその白い表紙は白魔法系!さすがマリー!イメージ通りね。」
「リリアンが居ない半年の間に取りました。」
マリーの免許証は職業魔法免許だ。
資格の欄に薬剤師と書かれている。
「さすが薬屋の娘…やるわね。で?で?どんな魔法を使えるの?教えて?」
「あらあら…魔法そのものは教わりませんでしたわよ。白魔法は寺院か修道院にお勤めしないと授からないので。」
なるほど…とリリアンは思った。
過保護なマリーの父親は娘を修道院に魔法修行に出すとは思えない。
魔法習得とは別に薬局を営業する場合は白魔法系職業魔法免許証があると便利なのは確かだ。
「それはそうとリリアン。そろそろ日が暮れますけど宿には向かわれ無いのです?」
駅から道沿いに街道を歩いていたのだが、町を離れる様に向かって歩いているので当然ながら宿など存在しない。
「ん~?野宿に決まってるし。」
「あらあら…女の子二人で野宿って少々危ないかと思うのですが…」
「そうだねぇ、寝込み襲われたら大変だわ。」
ミーシャが猫から人間に変化。
「見張りくらい私がやるわよ?」
「ふっふっふ。実は実家から失敬したアイテムにこんな便利な物があったりするのだ~!
テテテテッテテ~!どこでもロッジ~!」
変な効果音を口ずさみながらリリアンが風呂敷から出したのはミニチュアの丸太小屋だった。
人形遊びするには丁度良さそうだ。