その部屋開けるべからず
その部屋開けるべからず
『あの部屋って、コールランプついてたかなぁ・・・』
リサは、怖いものは嫌いであった。「世にも奇病なタモリさん」や「心霊警察24時」など父親や、弟が好きでよくTV をつけていたがリサは嫌で、すぐに部屋に帰るぐらい怖がりであった。
なので、なぜリサがそういう行動をとったのか、自分でも謎であった。
『中をちょっとだけ覗いてみよう。』
リサは、赤いコールランプがついている、誰もいないはずの部屋のノブに手をかける。
・・・その瞬間!!
“ヒュッ!”
足元を黒い何かが走り抜けていった。
リサは、そちらに一瞬目が行き次の瞬間!!
ガッチャッ・・・ギィ~~
リサがノブを回す前に、勝手にドアノブが動きドアが開いた。
リサは、ドアが開いたことにびっくりしてノブから手を放そうとするが、まるで、強力な磁石でくっついてしまったように離れなかった。
『なにっ!!なんなのっ!!』
リサは、恐怖で顔は引きつり、涙を流していた。
少しだけ、開いた扉の中を見たくないのだが、リサは、見てしまった。
無数の光る赤い目を持った、黒く丸い物体が所狭しと部屋に詰まっている・・・。
『やっばぃ!!!!せんぱいっ!!!』
リサは、大声で『瞳』先輩を呼ぶ。
・・・呼んだつもりだったが、まったく声が出なかった。
・・・というか、
・・・リサの首は、
・・・黒い何かに、いつの間にか足から食われ、あっという間に首だけになっていた・・・。
・・・そして、リサは意識がある状態で
・・・頭も食われてしまった・・・。
「黒いものには気をつけないかんよぉ~」
リサは、ばあちゃんの言葉を思い浮かべながら意識がなくなっていった。
朝のまぶしい光が部屋に差し込んでいた。
『瞳』は、すがすがしい目ざめで目が覚めた。目が覚めて、目覚まし時計を見て、さらに自分の部屋でないことに気づき、
「ちょっとっ!!夜勤中じゃん!!7時って!もう、ご飯の準備しないといけないしっ!リサ、なんで起こしに来なかったのよ!!」
『瞳』は、起こしてくれなかったリサに立腹しながら、バタバタとナースステーションに行くがリサの姿が見えない。
すると、318号室の「恵子ばあちゃん」80歳、肝がん末期の患者さんがナースステーションまで車いすで出てくる。
「看護婦さんや。昨夜は、誰も見回りに来んかったなぁ。わし、ちびってしもうたわ。」
恵子おばあちゃんは、リサが見回りをしていなかったと言ってきた。もちろん『瞳』も巡視していないが、リサのことはあまり好きではなかったが、仕事を放り出してどこかに行くような人間でないことは知っていた。だから、任せて寝れたのである。