鏡
鏡
「間に合ったぁ~!!」
バタバタと病院の更衣室に滑り込み、タイムカードを押すと15時59分でギリギリ間に合った。さらに1分遅れて『瞳』先輩が滑り込んできてタイムカードを押し、肩を落としていた。
「あれっ!?瞳先輩。今日はでぇとだったんじゃ?」
『瞳』先輩は、私の言葉でいることに気付き「ちっ!」と舌打ちをして無視して着替えだした。手には、16時01分と押されたタイムカードを持っている。どうやら、でぇとは無くなり仕事をすることにしたらしい。
病院は、深夜に入ると忙しさも落ち着き病室や廊下も非常灯のみで薄暗く、ナースステーションだけが明るく光っている。
ナースコールが鳴った時と、30分おきの巡視以外は暇な時間が続く。
「今日は、忙しかったわねぇ。私は寝るから、あとはよろしく。」
『瞳』先輩は、私にそう言い残すと休憩室へ携帯と雑誌をもって向かっていった。休憩に入るまでも、ほとんど雑誌と携帯を交互に読んで巡視にもいっていなかったのだが・・・。
私は、コップに注いだコーヒーを飲みながら記録を記載していた。
〝ビー・・・ビー・・・″
『んっ??』
リサは一瞬、いつものナースコールと違うような音の鳴り方が気になったがランプが点滅しているところのボタンを押し
「すぐに、伺いますねっ!」
と、相手に伝えランプのついていた319号に台車を押し向かう。台車には、緊急時のレスキューセットと血圧計や体温計などのバイタルセットが常備されている。そのため、ナースコールが鳴るとすぐにこれを押して向かうのである。
カラカラと、リサは台車を押しながら走らない程度の速度で病室へ向かう。病室までは、薄暗い廊下であるためいつもの感覚で病室番号をちらちら確認しながら、向かっていた。
頭の中で、315号、316号・・・と・・・
「あれ・・・?ちょっとまって・・・」
リサは、自分に言い聞かせるようにつぶやき一旦318号室前で止まる。
ペンライトを318号のプレートに当て確認し、次の部屋を確認すると320号である。頭の中で、
『そうだよね、9は苦しむだからないよね。うん、知ってた。でも、光ってた。・・・こわっ!』
リサは、怖くなり頭の中で乗り突っ込みをしていた。
すると、320号までしかない廊下の先でナースコールが押された時だけ光る赤いランプが、ボゥっと着く。
「えっ・・・あ・・・あそこは・・・」
コールランプがついているその部屋は、いつもは倉庫であるが入院患者さんが急に亡くなり一時的に霊感室代わりにも使用する部屋であた。