12月24日(昼)
12月24日(昼)
「リサや。あんたは、可愛いからすぐに悪い男が寄ってくるから気を付けないかんよぉ。」
「リサや。お金はあるかい?お金がないと心が貧しくなるからちゃんと財布に入れとかないかんよぉ。」
「リサや。黒いものには気を付けないかんよぉ。」
「リサや。お守りは常にもっとかないかんよぉ。」
「リサや。。。。」
リサが、お金を下ろすときにばあちゃんに電話をすると必ずこれくらいの小言は言われる。しかし、リサは小さいころから聞きなれていたのであまり気にしていなかった。『黒いもの』も、小さいころから言われていたため何か言い伝えのように聞いていた。
・・・もっと大事な言葉と捉えていればあんなことにはならなかったのかもしれない・・・
ウィンドーショッピングを済まして、町中がクリスマス一色になっていることに嫌気がさしてきたころ
「そろそろご飯にしようかな~。」
ちょうど12時になり、いつもの喫茶店が目に入った。
【喫茶一茶】
とても和風な名前であるが、実はいろんなメニューが揃っており和、洋、中、宇宙食、怪奇食など壁にかかっている札は様々だった。
さすがに冗談にしか思えないメニューを頼んだ事は無いが、和、洋、中はどれを食べても絶品であった。しかもランチは1000円で、平均800円ぐらいの食事を2品選べるお得さがあった。
「今日はデザートを和にして、メインをようにするかな」
リサは、店員さんを呼び食べたいものを伝える。店員さんも変わっており、全員可愛い着物に狐のお面をつけている。口元がとってもかわいいのでお面の下のお顔もきっとかわいいと想像していた。
「メインは、ステーキの抹茶ソース和えでデザートは和栗のアイス~初夏を添えて~でお願いします。」
リサが可愛い狐の店員さんに注文をすると、ぺこりと頭を下げ厨房に消えていく。とにかくしゃべらない。しかし、こういう不思議な空間もリサが好んで通う一つの要因であった。
しばらくすると厚切りステーキと抹茶ソースの入った白いカップ、ご飯とスープが出てくる。抹茶ソースは、塩コショウのきいたステーキをつけて食べるとほっぺたが落ちそうになるくらい口の中でとろけて交じり合う。
「やっばっ!!うまぁぁ!!」