12月24日(朝)
12月24日(朝)
クリスマスイブ。
目が覚めた時に、すごい冷や汗をかいていた。熱があるのかと思ったが、ぼーっとしながら考えていると覚えていないが嫌な夢を見ていた気がした。
「ん~。なんかすごく怖かったような気がしたけど・・・。夢なんてこんなもんかな?」
私は、夢で見た事を全く覚えていなかった。そして、最後の時にそれを思い出して後悔することになるがまだ先の話。
汗で気持ち悪かったのでシャワーを浴びてから、夜勤まで時間があるので買い物にでも出かけようと思い風呂場へ向かった。
リサの実家は田舎ではあるが、スイカ長者と言われる農業成金であり、リサのマンションは、一人暮らしではあるが4.5畳と6畳の二間で風呂トイレ別、カウンターキッチンと子供のいる家族でも十分なマンションに住んでいた。
シャワーを浴びるために、パジャマを脱いでいると、ふっと鏡に何かが映り込んだ感じがありビクッとなる。リサは、怖いものはしっかり怖がる。下着のまま、一度部屋に戻り、誰かいないか鍵が開いていないか何もない事を確認してから下着を脱いで浴室に入っていった。
リサがシャワーを浴びている間に、すぅ~っと、部屋の中を黒いものが浮遊している。その黒いものは、丸く時折大きな目をぱちくりさせながら浮遊していた。どうも鏡に映ったのは、この不思議な物体であったようである。
「はぁぁ~~。すっきぃぃりぃぃ!!」
シャワーを浴びて、髪の毛をタオルでわしゃわしゃさせながらリサは部屋に戻ってくる。しかし、すでに先ほど浮遊していた物体は消えていた。リサの風呂上がりの裸が見れるチャンスなのに・・・消えていた。
リサは、鏡に映ったもののことは、すでに忘れていた。基本シャワーを浴びると嫌なことは忘れるようにしていた。だから、昨日先輩に言われた嫌味なんてもう覚えていなかった。・・・多分・・・。
リサは、白いTシャツとジーパンに、短いジージャンを着て出かける準備をしていた。白いTシャツには、幾何学模様が描いてある。個性的なTシャツが好きであった。
「さてっと、今日は、郵便局行ってお金おろして【いちまるきゅ~!】にでも行こうかなぁ~。」
普段仕事の時以外はメイクはせず、すっぴんで出歩く。高校のころ、ケバめのメイクが流行っていたが、
「まだ若いから、メイクはしなくてよか」と、田舎のばあちゃんに言われてからメイクはしなくなった。
なぜなら、リサは超ばあちゃんっこであったからである。今のマンションも、ばあちゃんがお金を出してくれ、毎月のお小遣いを通帳に入れてくれているのもばあちゃんである。
「ばあちゃん!いつもありがとぉ~!!」
通帳からお金をおろすときには必ず、ばあちゃんに電話をしてから降ろすのも儀式のようになっていた。ばあちゃんはいつも、リサのことを心配していた。