12月23日
ヒタッ・・・
ヒタッ・・・
私は、この東京丸亀病院に彷徨う幽霊のリサ。
私が幽霊になってしまったのは、18歳で看護師の免許を取って、この病院に勤めて2年目の12月24日の出来事がきっかけ。少しだけでもいいので私の話を聞いてください・・・。
12月23日
クリスマスイブイブ。
二十歳になって初めてのクリスマスを前に、彼氏もなく、イブは夜勤であることを悲観しながらも、患者さんたちの笑顔に癒される日々を送っていた。
「リサさぁ~。今年も彼氏のいないクリスマスでしょ~?夜勤でよかったじゃん~!」
同僚の一つ上の先輩で、彼氏持ちの『瞳』が無意識嫌味を言い放つ。いつも、無意識に人の心臓をえぐるのが得意である。心臓外科医にでもなればいいのにと心に思いながら、愛想笑いの返事を返す。
「わたしは~。彼氏とほら、でぇとだから~。リサが代わってくれてよかったわ~。」
・・・ん?代わった覚えはないけどと、喉まで出かかったが、また勝手にシフト変更を師長さんに出したんだと思い文句を言うのをあきらめた。
『瞳』は、今の彼氏と付き合いだしてからまだ2か月である。病院に入ってからこの2年間で5人くらいの男性と付き合っては分かれての話を、リサは別れたり付き合ったりするたびに聞かされていた。
東京の女性はこんなもんなのかと初めは思っていたが、実際は『瞳』が特別お尻が軽いことに1年ぐらいしてようやく気付いた。
話し方が、ほんわかしているのと見た目は可愛いから、男性はすぐ騙されるようであった。『瞳』は、好き嫌いが激しく、熱しやすく冷めやすい良く言えば情熱的、悪く言えば浮気性である。
今付き合っている男性は同じ年だというが、以前は
「同級生は、お金も持ってないし、テクニックもないし、何も楽しませてくれないし、お金ないしね~。」と、言っていたはずだが・・・まあ、ほっとこう。と思いながらいつも話を聞いていた。