第6話 新たに得た力
僕はその後、城主に礼がしたいからついてきてくれと言われた。
しかし僕は丁重に断った。報酬を貰ったとしても今の僕には使えないと考えたのだ。
僕は人の体を捨て霊魂族となっている。だからお金は使えないし武器も使えない。
更には空腹感などといった生理現象も起きない。お金を使う必要性すらないのだ。
城主は俺にお礼がしたくてしょうがなかったようだが、お城の修繕費に充てて下さいというと渋々ではあったが僕へ報酬を渡すことは諦めてくれた。
報酬に関することでレナードさんの体を借りようとも考えたがいろいろと不都合があった。
まず、レナードの体に回復魔法をかけてもらったのだが傷が治らなかったのだ。おそらく自己治癒力が無くなっているためと考えられる。回復魔法というのは自己治癒力を大幅に上げて体の傷を治すという魔法だ。だから自己治癒力が無くなってしまっているものに回復魔法は効かない。回復魔法は再生魔法ではないのだ。
しかも、心臓の鼓動や呼吸もないことから生命活動をしていないということは明白だった。
更には僕がレナードさんの遺体からエネルギーを得ているらしくレナードさんの体はどんどんやせ細っていったのだ。
そういうことで僕は城主にレナードさんをしっかり埋葬してあげて下さいと頼んだ。
その場に座り離脱をするとレナードの遺体はその場に力なく項垂れた。
離脱してすぐに僕は自分のステータスを確認した。
==========
種族:霊魂族(Lv5)
加護:精神生命神の加護
生命力:500/500(+200)
魔力:90(+40)SP:100
攻撃力:22(+12) 防御力:13(+8)
敏捷値:36(+16) 魔法力:78(+28)
==========
なんと、レベルが上がっていた!
敵を倒したりしていないのにレベルが上がってるっていうのは【代理執行者】の影響か?すこし調べることにした。
==========
〈特殊スキル〉
【代理執行者】位階:8
[強化][分析][最適化][能力取得][記憶同期]
〈スキル〉
【降霊】位階:5
[憑依][口寄せ][操敵]
【言語理解】位階:3
[音声認識][文字認識][意思伝達]
【水剣】位階:2
[流水][水刃][水刃乱舞]
【忠誠】位階:5
[閃光波][守護壁][自動回復]
==========
普通のスキルの比じゃないほどに多くの能力があった。〈特殊スキル〉という項目までついている。
それに【水剣】と【忠誠】の項目まであるとは…
==========
【代理執行者】
・強い意志を感知したときにミッションが発生する。
・ミッション達成によってレベル上昇及びスキル獲得ができる。
・SP消費量 0
[強化]
・ミッション遂行時、依り代のステータス及びスキルを上昇させる。
[分析]
・ミッション遂行時、依り代のスキル及び周辺状況について分析する。(自動発動)
[最適化]
・ミッション遂行時、達成するために最適なステータスになるよう[強化]値を変化させる。
※スキルの最適化は不可
・ミッション遂行時、[最適化]を行うことで最も難易度の低く且つ最速の手順を合理的に導き出し行動できるようになる。
[能力取得]
・ミッション遂行後、[分析]したスキルを使用可能となる。
※[位階]の高いスキルは取得が困難。
[記憶同期]
・ミッション遂行後、依り代となった者の記憶を取得する。
==========
直感的にこれはものすごいスキルだと感じた。
一番やばいのは[能力取得]だろう。ミッション遂行時の依り代のスキルが自分のものになるなんて強すぎる…
レナードが賊に〈スキルホルダー〉で驚いていたことからもスキルというのは割とレアなのではないかと感じていた。それがこのスキルおおかげでミッションが発生して達成するたびに新しいスキルが得られるというのだ。
スキル欄に現れていた【水剣】や【忠誠】もこれのおかげだろう。
次に[記憶同期]だ。これは単に情報を与えてくれるだけじゃないようだ。
今、自分は簡単に剣術ができるような気がしているのだ。これはおそらく[記憶同期]のおかげであると考えられる。レナードは曲がりなりにも騎士団副隊長だ。剣術なんかは基本中の基本で毎日訓練するだろう。その影響が僕にも表れていると考えていいと思う。
少し記憶を探るように考えると城の構造や城主が襲われそうになっている時のイメージも思い出せた。
どうやら強烈な記憶や情報的なことなどは記憶を得られるようだ。
他のスキルもミッション遂行時と限られているが【代理執行者】の名の通りミッションを達成するのに特化していてかなり強いと思われる。
僕はかなりこの能力に魅力を感じていた。
一応【水剣】と【忠誠】のスキルも確認しておこう。
==========
[流水]SP消費量 5p/回
・自己の敏捷値を瞬間的に200上げる。
[水刃]SP消費量 10p/回
・剣を振ることで水による刃を作り出し、目標へ飛ばす。(射程 30m)
[水刃乱舞]SP消費量 50p/回
・剣を振ることで無数の[水刃]を作り出し、目標へ飛ばす。(射程 30m)
==========
==========
[閃光波]SP消費量 10p/回
・光の粒子を飛ばす。(射程 100m)
[守護壁]SP消費量 10p/s
・防御力:500の障壁を前方30cmに展開する。
[自動回復]SP消費量 1p/s
・設定した対象の生命力を毎秒10回復する。(効果時間5秒)
==========
残念なことに[水刃]と[水刃乱舞]は剣がないと使えないようだった。
[閃光波]は手から発射したけれど、どこからでも飛ばせるのだろうか。
[守護壁]。なんだこれ強すぎる。500の防御力は相当なのではないか?実際にファイヤーボールを打ち消していたし…ファイヤーボールの余波はかなり温度だったし攻撃力も高かったのではないだろうか。
最後に[自動回復]!これは素晴らしい。
エーテル放出で生命力が減少してしまう自分にはめちゃくちゃ相性が良かったのだ。
定期的に[自動回復]を使えば生命力の心配はしなくていいことになる。
いや〜いいスキルゲットできて良かったなー。
これでスキルの確認は終わり。
一つ確認し忘れていたことがあったのを思い出し確認した。
==========
[加護]
・神に愛された者が獲得する。
・神の種類によって様々な効果が得られる。
==========
神様が力を分けてくれる現象が加護と表示されているらしい。
精神生命体を司っている神様はどんな力を与えてくれているのだろう。
確認してみる。
==========
[精神生命神]
神名:ムネモシュネー
加護の効果:[精神体への攻撃軽減][記憶保存][魔力・魔法力上昇]
==========
(え、精神体に攻撃されても軽減されるって、それはつまり物理も精神も攻撃を受けないってことに等しいのでは…)
この加護のおかげで賊の[邪纏]が利かなかったようだと分かった。
僕はかなり頑丈な存在となっていたらしい。
(+〇)はレベルによる上昇値です。
cf.[水龍波動]SP消費量:80p/回
・極大の水圧砲を目標へ一直線に飛ばす。(射程 50m)