第2話 僕は何者?
僕はどこかに飛ばされる感覚を感じていた。
たぶん神様の力によって精神体を異世界に飛ばしているのだろう。
不思議な浮遊感を感じているとスっと視界が一気に明るくなった。
(おぉー!)
僕は思わず感嘆の声を上げた。
視界に広がっていたのはまさに異世界のような景色だ。
眼下には大きな城と城下町が広がっている。結構な大都市のようだ。
周りは草原が広がっており、森の奥へと1本の道が続いている。
奥には険しい山脈が見える。更には山脈の頂上に浮遊してる龍までも見えた。
僕は異世界を一望したあと、早速憑依先の人間を探すことにした。
(うーん。憑依するって言ってもいろんな人間がいるだろうからな…どんな人にしよう。迷うなー…)
僕は町へと降下しながらそんなことを考えていた。
あんまり気が進まなかった異世界生活だが何だか心が踊るような気持ちだった。
(この世界で異物質を排除する働きは動いてなさそうなんだけどな…このままフラフラと浮遊してたら駄目なのかな?)
僕は神様が言っていたことを思い出し不安になりスキルについて調べて見ることにした。
神様曰く心で念じれば様々なことが出来るらしい。
例えば自分のステータスを確認したりスキルについて調べたりということができると言っていた。
試しにステータスを見ようと念じてみる。
(あ、なんかイメージが浮かんできた。)
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種族:霊魂族(Lv1)
加護:精神生命神の加護
生命力:285/300
魔力:50 SP:100
攻撃力:10 防御力:5
敏捷値:20 魔法力:50
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ほうほう、なるほどー
…
……
………
って、人間じゃなくなってるー!
ま、まぁ、いいか。大したことじゃないし
僕は開き直った。
そもそも別に人間が良かったわけじゃないし、変な種族になるのも一興かもしれないと考えた。
(あれ?スキルが表示されてないな。確か【降霊】っていうのを貰ったはずなんだけど…)
今度はスキルを見ようと念じてみる。
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スキル
【降霊】位階:5
[憑依][口寄せ][操敵]
【言語理解】位階:3
[音声認識][文字認識][意思伝達]
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思ってたより複数の能力があった。
(憑依の説明しかされなかったからなぁ…
【言語理解】は神様からのサービスかな?神様ありがとう。
あまり深く考えていなかったけど言葉が分からなかったら異世界人と交流も出来なそうだしなぁ…そもそもこの体でコミュニケーションが取れるのかも不安だけど…)
憑依は分かる。おそらく人に乗り移る力のことだと思う。神様も憑依と念じたらとりつけると言っていたし大体あってるんじゃないかな?
2つ目は口寄せか。死者の魂でも呼び寄せるのかな?なんか嫌だな…使う状況にならないことを祈ろう。
最後は操敵?なんだろう、これ。文字から判断すると敵を操るってことだろうけど…もっと詳しく知れたらいいんだけどなぁ。
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[操敵]SP消費量 5p/s
・生物を操る能力。(スキル効果範囲:半径10m)
・[口寄せ]で呼び寄せた魂を憑依させて自立させることができる。
※簡単な命令のみ実行可能。
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わ?!さらに詳しい説明まで教えてくれるのか。これは便利だなー
1つずつ見ていく事にした。
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[憑依]SP消費量 1p/s
・目的の相手にとりつく能力。(スキル効果範囲:10m)
・憑依した相手のステータスを知ることができる。
・憑依した相手を操ることが可能。
※ステータスは憑依先に依存。
※自身のスキルは使用可能。
[口寄せ]SP消費量 8p/s
・死者の魂を呼び寄せる能力。
・口寄せで呼び寄せた魂を生物に[憑依]させることが可能。
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いろんな力があった。
特に憑依なんかは相手に取り憑くだけだと思ったけど相手を操ったり情報を調べることが出来るようだ。
憑依した相手のステータス覗けるってなかなかすごい能力なのでは?
SPはスキルポイントかな?たぶんスキルを使用するために使うんだろうな
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[SP]
・スキル使用時に消費するポイント。
・使用後、時間経過で回復。
※種族によって回復速度は異なる。
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回復してくれるなら安心かな。
位階についても見ておこう。
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[位階]
・スキルの能力の高さを表した数値。(1〜10)
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あ、そう言えば神様、精神体は不安定とかいってたけどスキルだとあんまり分からなかったな。
次は種族について調べてみることにした。
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[霊魂族]
概要説明:人の魂が[精神生命体]として安定した状態。
種族特性:[物理攻撃無効][浮遊][物質透過][念話]
弱点:精神攻撃で大幅に生命力が減る。[エーテル]を定期的に摂取しないと存在出来ない。
特徴:[エーテル]を常に放出している。[存在値]が低い者は視認されない。
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なるほど、物理には強いけど精神に直接攻撃してくる系は弱いんだ。
エーテルってのはなんだろ?
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[エーテル]
・自然界に存在するエネルギー。
・[魔素]の源。
・エーテル保有量によって[存在値]を決定する。
・エーテル保有量は生命体を倒すことによって増加する。
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存在値ってそのまま存在出来るか出来ないかの値なのではないか?
とすると保有エーテルが無くなったら僕ってこの世界に存在維持出来ないの?!も、もしかして…
僕は慌ててステータスを確認する。
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種族:霊魂族(Lv1)
加護:精神生命神の加護
生命力:255/300
魔力:50 SP:100
攻撃力:10 防御力:5
敏捷値:20 魔法力:50
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案の定生命力が減少していた。
わわわっ!何とかエーテルを摂取しないと!
確か憑依したらいいって神様言ってたよね?
さ、早速見つけに行かないとー!
僕は早く宿主に憑依するためにスピードを上げて町へと向かった。
「思考」と「情報」がごっちゃになっています。すみません。
( )内を「思考」にしようと考えたのですがどこからどこまでを「思考」としていいのか分からず適当になってしまいました。
まぁ、雰囲気などで適当に判断してください。
今後もあります。