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ガイアザウルス  作者: 旦時
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エピローグ

「はあ。」

 すべてが終わって三ヵ月が経った。

 本来ならば、野菜の種をまいて、一段落はついているであろうこの時期。

 耕助はため息を吐いた。

 三ヵ月前、美咲が呼び出した恐竜は、圧倒的な力でメガント、ギガント、そしてそれの女王アリに該当するクイントを倒した。

 そのアリ達をまとめてエイリアントと呼ぶ事が正式に決定したのは、宇宙蟻被害者緊急特別救済法案の可決よりも早かった。

 エイリアントの及ぼした被害は甚大。

 耕助の畑も、エイリアント、自衛隊の攻撃、そして恐竜によって被害を受け、保管庫も破壊された。

 種をまける状態に持っていくのに、時間がかかり、秋の種まきのタイミングを逃してしまった。

「どうするかなあ。」

 美咲は家に戻り、その後連絡も取っていない。

 依頼は完遂したし、その後の依頼料の受け取りも・・・・・・未成年者略取の罪が怖くて、行えていない。

 テレビは二ヶ月ほどは、エイリアントの話題で持ちきりだったが、今は真面目でスキャンダルを盛り上げている。

 日常、大きな被害の無かった場所は、すっかり日常を取り戻した。

 一時期、警察に調査名目で取り上げられていた事務所兼自宅兼車のランド号は帰ってきたが、帰らないものも少なくはない。

 被害者の会に参加していた人達の中には、耕助の父、大山弁護士と同じ時に、怪我や中に亡くなった人もいる。

 進藤刑事の親に挨拶に行こうとし、彼女に身寄りがない事を初めて知った。

 だから家出して、ホームレスになった耕助に親身に・・・・・・他の警察よりも親身になってくれたのだろうか?

 もっと話をし、もっと感謝をするべきだったと後悔した。

「冬、どうすっかな。」

 現金も少なく、それでいて畑もないので喰うのも怪しい。

「はあ。」

 テレビが日常を取り戻しても、近隣は日常にはほど遠い。

 探偵の出番は、ボランティアに駆り出されるぐらいだ。そこで出てくる炊き出しのありがたさは、ちょっとした後ろめたさとセットになっている。

「家に戻るかな。」

 ホームレスに戻るのも悪くないが、父親の様子も気になる。

 美咲が帰る前に、一度は父親を車に乗せて家の近くの病院には行ったのだが、母親と顔を合わせ辛く、逃げるように帰った。

「畑はどうするんですか?」

「それだな。」

 一応はこの時期に植えて、冬までに実る作物は植えてはあるのだ。

 その心配は確かにある。

「・・・・・・どうしてここにいる?」

 独り言に反応した人物の声を聞いて、思わず気が緩んだが、その人物はこの場にいるはずのない人物だった。

「だって、依頼料受け取りに来てくれなかったじゃないですか。」

 後ろを振り向くと、幼さが少し残る愛らしい顔立ちに、少し不機嫌そうな表情を浮かべた少女がいた。

「また家出か?美咲。」

「違いますよ。」

 苦笑しながら、ずいと前に出したのは、季節の果物だった。

「お土産です。」

「ご丁寧に。」

 野菜は作っているが、果物はスイカぐらいしか作った事がない。

「大変そうですね。」

「ああ、まあどうにかなるさ。」

 数日共にいて、三ヵ月近く会っていなかったのに、話せば不思議と違和感がない。

「あとこれ。」

 美咲が追加で渡してきたのは、分厚い封筒だった。

「まさか!」

 封筒を開けると、そこには大量の一万円札が入っている。

「八十万円あります。」

「元の金額より増えてる気がするな。」

「色々ありましたからね。」

 好意に甘える事にしよう。



◇◇◇



「これからどうするんですか?」

「うん?」

 果物を向いて、美咲と食べている時に、唐突な話が挟み込まれた。

「まだ探偵を続けるのかなって。」

「ああ。」

 実はその件については悩んでいる所だった。

 はっきり言って、元々仕事の多くない仕事だったし、この様子では下手をすれば数年は仕事にありつけそうもない。

 このまま仕事を畳んで、別の仕事を始めようかと考えていた。

「だったら、移動式の喫茶店なんてどうですか?」

「急にどうした。」

 唐突な話に耕助はついて行けずに苦笑した。

「畑で作った野菜でお料理作って、ランド号で売るんです。」

「悪くないな。」

 美咲の提案を聞いてみて、確かにそれも悪くない気がする。

 ランド号を改装する必要はあるし、調理師免許やらなんやらは必要だろうが、店を構えたりする事に比べれば、資金は少なく済むだろう。

 しばらくは工事の人も出入りするだろうし、そこで炊き出しではなく、移動式の店があれば、休憩にも使えるし、テーブルや椅子を置くだけでも、それなりの集客は見込めそうだ。

「そこに看板娘はいりませんか?」

 すっかりその気になった美咲の提案。それは魅力的を通り越して、耕助の頬が緩み、油断すれば涙腺すら緩みそうだった。

「じゃあ、看板娘さん、店の名前はどうしましょう?」

 耕助が笑い、美咲も笑い、その会話はいつまでも続いた。

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