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鬼が出るか蛇が出るか仏が出るか

「ふーん、そうなんだ」

 ミズキはサッカーゲームをやっている。スポーツなんかに興味があるんだと感心してしまった。

 僕は、今日黒崎先輩と話したことをだいたいそっくりそのままミズキに話した。ミズキはあまり外に出ないから外の情報を欲しているかもしれないと思ったから、僕の身近で起きた話をなるべくしている。彼女は、それを面白おかしく聞いてくれる時がある。

「で、演劇部の稽古に行くの?」

「うん、まぁー。来週の火曜日」

「へー」

「興味ある?」

「なんで?」

「なんかそんな感じがしたの。話をしている時に落ち着かなさそうだったし」

「そうかな」

「今のもゲームがイマイチ集中できてないみたいだし」

「バッカじゃないの? あんたなんかと喋ってて心乱されるわけないでしょ?」

「ごめん」

「謝らないでよ、つまらないじゃない」

 ミズキはゲームを一時停止して僕の方を見て言った。

「でもね、面白そうと思った」

「なんで?」

「プロの作家が脚本書くって、面白そうじゃない。んでね、プロの女優が演出つけたらなおさら面白いとね」

「まさかここででしゃばるの?」

「大学生なんだから、大学生として行動してなにが悪いの?」

「いや、君は一応休んでいる身分なんだから……」

「だから、一大学生として行動しちゃなにが悪いの?」

「いや、だから、その、あの」

 結構詰め寄られている。彼女の言っていることは正論ではある。でも、どこかで論理がねじ曲がっているようにも思える。あと、ミズキの熱気に負けている。これが一番の原因だ。

「わかったよ。とりあえず、見学をしてからすべては決めるということでいいかな」

「いいわよ」

 一時停止していたゲームを再開した。

 この件に関しては少しプラスに考えようと思った。夏の事件以来あんまり人と交流を持たなかったミズキが積極的に持とうしていることは、評価するべきことなのではないだろうかと。妹の話によると一日中部屋にいるらしい。必要なものがあったら通販で買っている。最後に外に出たのは、髪を染めたときだったと思う。そのときは僕がなぜかついていった。退屈だった。

 とりあえず、黒崎先輩に連絡をしておく。

 って、黒崎先輩とミズキって初めて会うよな。面識ないよな。大丈夫かな。いきなり喧嘩しないよな。

 二人とも頭いいからそんなことはしないから大丈夫か。

 でも、演劇部にミズキを連れて行くことでなにかしらの影響が出るのは間違いないよな。

 鬼が出るか蛇が出るかよくわからないけど、このまま突っ走ってみようと思う。これくらいならミズキと二人と協力することでなんとかなりそうだと思うから。

 僕の気持ちを知らないミズキは相変わらずゲームに熱中していた。平和っていいよね。


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