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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
93/255

87.



 片方は山で薪拾いを・・・片方は川で洗濯を・・・


 山じゃなくて、森で・・・川なんて設置してないよ・・・底なし沼なら歩き回ればいつか見つかるだろうけどね。


 3人組の1人である騎士は、森で探索するときのようにきっちりと解体用のナイフで来た道にある木などを軽く傷つけていたり、来た道の草を強めに踏んで簡単には戻らないようにしている工夫が見て取れたんだが・・・


「くくく・・・ダンジョンの森を甘く見てもらっては困るな・・・」


「・・・まぁ、そうですね」


 冷めたような目で一瞬『え?突然こいつ何言ってんだ?』という視線がこちらのほうに来たような気がする・・・いや、実際に来たんだろうが、そんなことにはめげない・・負けない、立ち止まらない・・・


 だが、ショックは受けたので、無言でお菓子をバリボリと強めの音をわざと出しながら、食べる。


「・・・」


「・・・・なんか、ごめんなさい」


 俺の不機嫌さを感じたのか、いや、感じさせるようにわざと俺がしたんだが・・・『面倒だな、この人、いつものゲームしながらじゃないから、まだましかな・・・』とマリウスがたぶんそう思いながら、渋々といった感じで謝罪してきた。


 そうしている間にも草は地面から栄養を吸い上げて、立派に茂っている。数分前の踏み固められていたのが嘘のように・・・それを見るはずもない3人はこのことなんてまだ気づいているはずもなく・・・ただ前を向いて歩いている。


「木のほうは・・・」


 数分で傷は治るのかな?あれ・・・ん?古傷になって残るとかかな?などと、俺が理解してない様子であるのをマリウスは見かねてか、こちらにこう告げた。


「木のほうはきちんと先頭の人がつけていれば、もっと慎重になるはずなんですけどね・・・木に傷をつけている方と方位磁石らしきものをもって道を進んでいる人は別ですし、騎士の人はその人を先頭として、ついてくる感じで歩いていますからね。傷のほうはあんまり意味のないように感じますね。それに、この森の中である程度の間隔でつけた傷なんて・・・スパイダーが木に登るときにできた傷とかもありますし、そこかしこに色んな木があって、少しの木の知識を持っている程度の人もいますけど、普通専門じゃないのでこの量の木の違いなんて、分かりませんよ、普通」


 そうこちらに教えるような感じで言ってきた。


「へぇ・・・」


 いや、うん、食べる手などを止め、素直に感心しておく。


「まぁ、斥候の人が先頭になって、いろいろしていれば迷わない可能性が高いですけど、これじゃ・・・迷うんじゃないですか?」


「なんで分けたんだろうね」


 そう素直な疑問を口に出すと、マリウスは顎に手をあて、少し考えた後にこう答えた


「まずは11階層で迷っても生き残れるであろうという慢心ですかね、それにあの3人組も冒険者ですからね、方位磁石も渡してあったのでまず危険なことなどはせずに、安全にきっちりと帰ってくるであろうという信頼が仲間にあると思いますし、本当にある程度ギリギリ声の届く範囲でテント設置したあたりを周回して魔物の影を見つけようとしていると思ったんじゃないですかね?どんどん進んじゃってますけど・・・まぁ、僕は当人じゃないので、勝手な第三者から見た推測ですけどね」


「へぇ・・・」


「まぁ・・・まだ迷うかどうか決まったわけじゃないですからね、野生の勘で戻るかもしれませんし、大人しく見ましょう」


「ふぁーい」


 ちょっと長い話を聞いていて、あくびがでた。そんな小さなことをマリウスが咎めるようなことはせずに、一応俺のほうがマスターで立場上・・・上?なんだけどね。そして、普通に観戦に戻った。

 台風がやってきた~。


 被害がすごいところはヤバいね、うん。


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