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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
90/255

84.


 あああああああああああああああああああああああ・・・・人が来ない。


 前にもこんな感じに叫んでいたことがあったような気がするが・・・・まぁ、うん。今はそんなことはどうでもいい、重要なことではないんだ!(キリッ


「まったくうるさいですよ・・・・マスター・・・今深夜ですし、そんな夜にダンジョン入るバカはいませんよ・・・いたとしても、管理的に面倒ですからだいたい見張りの衛兵に止められます。それが普通の場合もですし、今は迷宮震が起きた後ですし、なおさらのこと衛兵の目を盗んでくる人なんてのもいませんよ・・・ふぁ・・眠いです・・・」


 そんなあくびをしながらも、マリウスがこちらのほうに来た。


「うるさいなら、部屋防音にしたらいいやん・・・」


 そんな返事をすれば、こちらをジト目で見つめるマリウスがいる。


「はぁ・・・・そんな部屋自体が私持ちなんですから、勿体ないことしたくないですし、第一ここで戦闘が起きた場合にいち早く私が逃げるためにも防音なんてしませんよ。それに、マスターはマスターでコアを破壊されたら今の生活は崩れ去ってしまうので、防音の部屋で寝ませんよ・・・普通・・・マスター以外」


「いや・・・だって・・・俺がここにいてもさ、もしここに敵が乗り込んできたら、正直なところ無意味じゃない?戦闘力的な意味で・・・」


「はぁ・・・・・否定はしません。ていうか、できませんね。マスターの好きにしたらいいですよ。はい」


 ため息をつきながら、自分が何を言っても意味ないのかと思い出したのか、それ以上を何かを言うのが疲れたのかどうかは分からないが、マリウスは何かを言うのをやめ、佐原の横で今ダンジョンコアで何をしているのかを確認していた。


「珍しくダンジョンコアで侵入者警戒ですか・・・しかも、ながら作業じゃないですね。何かしらのゲームの画面が開かれていないのが、本当に珍しいですね」


「・・・・」


 珍しい珍しいと連呼しているマリウスの顔を横目で見てみると本当に驚いたように拍手までしている。


『げ・せ・ぬ』


 俺だってやるときはやるんだよ!!!と叫びたいが『本当にやるときしかやらないですよね』とか、いつもの行動を知っているマリウスに返されそうで言わない。


「新しい階層できても、人こないよね・・・」


 この状況を変えたくて・・・そう最初のほうに思っていたことを口に出して問いかけてみる。


「それは・・・準備とかいろいろありますし、あなたのやっているゲームみたいに敵と戦う時には武具や防具を修理したり、道具をそろえて、メンバーとかを宿で休養させて、冒険に行くでしょ?まして、これは現実ですからね。気長に待つのが普通ですよ?また入り始めれば、前のようになりますよ」


「いや・・・だからってさ・・・」


 誰も来ないのはな・・・うん。


「まずマスターのところから出る魔鉄なんてのもまだ鍛冶場がちゃんと稼働してないですから、そんな急いで魔鉄なんて確保するものでもないですしね・・・冒険者だって無理にダンジョンに入らなくても、ギルドからちゃんと依頼がでて周辺の魔物とかを受けさせますからね・・・迷宮震後ですし、普段よりも報酬は高めに設定されるでしょうし、今の危険かわからないダンジョンに一番乗りはしたくないでしょうしね」


「薄情?ていうか、冒険心がない!そんなの冒険者じゃない!」


 そういうロマンあふれる人が!!見ている側としては欲しい!!!


「いや・・・命あっての物種ですよね?普通にそんなことしませんよ・・・命の危険がないならいってもいいかもしれませんけどね・・・誰だって死ぬかもしれないと言われたら及び腰になるのは仕方ないですよ。その情報の報酬は良くても自分の命と等価といわれるとね~ちゃんと情報を持って帰れる人しかギルドは入れたくないでしょうし、無駄にダンジョンに入れて殺したくないでしょうしね。死んだらこのダンジョンのポイントになって、成長を促すだけですしね」


「・・・」


「それに迷宮震によって、新しくダンジョンに階層ができているかもしれない。道が変わっているかもしれない。魔物の特性、魔物そのものの種類が今までとは違うかもしれない。それによって持っていく食料、水、そのほかのテントなどの道具などの数や規模なども変わりますからね」


「かもしれないっていう可能性一つあれば、弱い人間が、冒険者がそれを克服するのは最初の当て馬が必要なんですよ~っと」


 そういって、マリウスはこちらから離れ、自分の部屋へと戻ろうとする。


「もしですけど、新しく階層できたかもしれない。よし、いこう!なんて言える人はよっぽどの自信家か、稀代の馬鹿ですよ、ふふふ~」


 最後に振り向くと・・・そう言葉を残して、消えていった。


「・・・気長に待つか」


 俺もダンジョンコアから離れ、自分の部屋にノートパソコンをもって消えるのであった。

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