81.
「広大な森か・・・1パーティだけじゃ確かに厳しいな・・・」
昨日、受付嬢が事前に依頼したパーティからダンジョンの概要だけを聞いて、休むように返したそのパーティのダンジョンでのことをまとめた紙を見ながら、まだしっかりと記憶が残っているうちに私自ら、その帰還したパーティと話しをしている。
「Gに木の魔物に・・・幻術を使う魔物か・・・厄介だな・・・」
「あ・・・はい・・・」
なぜかこちらから目を背けながら返答しているが、こちらに何かを積極的に説明する性格じゃないのか、それとも私が対面で話していて緊張しているのか・・ふふふ、なら
「木の魔物の特徴や、幻覚を使った魔物について各々心当たりはないかね?」
こちらから積極的に話しかけてみるか・・・
「たぶん・・・私らが最初にあったのは木の魔物とその魔物の近くにもう一つの魔石が落ちていたので、幻覚を受けていたんだと思います」
「・・・・まぁ、そうね」
「・・・・・・・・・・・・・・・そっすね」
「・・・俺達二人は木の魔物には会ってません。幻覚系は・・・かかってたらしいですけど、具体的なものを見てないので・・・おそらく小型のなのかと・・・」
「・・・自分も同じです」
見ていないか・・・いや、見ているがそれを魔物と認識していないとっも考えられるか・・・まぁ、幻覚で自分の姿を隠していればどうしようもないが・・・
「その幻覚を使ったと思う魔物の魔石はちゃんと回収しているのかね?」
「あ・・・あの、はい、こちらです」
ヌーに渡し忘れて、自分の袋に合った魔石を思い出して、セラはアニスを経由して、彼に渡す。
正面にいるんだ彼自身に直接渡せばいいのに・・・やはり緊張しているのか、ふふふ。
「大きさ的にDランク程度か・・・」
あとで図鑑で、小型でDランク、幻覚系をつかう魔物で調べるか・・・ふたつあったうちの木の魔物もDランク・・・木というだけである程度は絞れる・・・
「木の魔物についてなにかあったかね・・・倒し方でもいいが」
「燃やしました」
「・・・そうか」
森で火か・・・人選を考え直す必要があるかもしれないな・・・できれば、もっと穏便な方法で倒してくれていたほうが助かったのだが・・・このパーティを呼んだのにも金がかかっているしな・・・いや、それほどまでに手強い相手だったのかもしれない・・・魔石を見るにそうとは思えないが、森の中での戦闘だったらしいしな・・・うん。
そうだ、そうに違いない。
「それで彼は・・・何にやられたのかね・・・」
手や足は包帯など巻いていないのは見てわかるのだが、明らかに顔のほうが腫れている・・・Gに毒でもあったのか?それともまだ認知していないが別の魔物がいるのか・・・
「あ・・・ぁ・・・」
「どれかの魔物かね・・・」
言葉に詰まっているのか・・・仕方のないことだ。私の目の前で話すのだからな。緊張して言葉がうまく出ないなんてことも当たり前のことだ。
「お・・俺は・・・」
ドンッ
何か下でものでも落としたのだろうか・・・そんなことを思いながら彼の発言を聞いていた。
「・・・・・・・階層の階段で転びました」
「・・・あ、はは」
「・・・(にっこり)」
「・・・ふぁぁ(あくび)」
「・・・・・・」
ふむ、あわてんぼうなのだな。彼は。
「ふぅーまぁ、生きて帰ってきてくれたんだ。よかった、また階層調査隊を編成するだろう、その時はよろしく頼む」
「「「「「・・・はい」」」」」」
そうして5人の冒険者は扉から出ていった。
ミントさんのセンスに影響されたアドルフさん。
だが、ミントさんは前衛でギルドマスターへと上り詰めた乙女。
服装の趣味、戦闘方法などは同じだが、まだ・・・彼はかの道へと上り詰めていない。