75.
剣士視点。
アニスはラガックがなかなかこちらの有利になるような戦闘を仕掛けてこないことに対する恨み言と・・・援護の魔法がこちらにまだきていないことに少し焦りが沸いていた。
当たり前の話だが、斥候が剣士に真正面から正々堂々なんて戦い方をすれば、勝つのは当然剣士だ。
なかなかこない援護魔法に、もしかしたら・・・セラの顔面にGが当たって・・・そのまま何も言わずに気絶してしまったんじゃないかと・・・・確認したい・・・確認したいが・・・今ラガックから目を離してしまったら、暗闇の中に隠れられ、そこから矢の弾数が尽きるまでこちらを一方的に撃ち続けるであろうことは容易に想像ができた。少し離れているヌーのところに援護しに行っても今どうなってるかわからないセラが犠牲になることは想像に難くない。
「・・・」
彼女はセラがこんなことで気絶なんてしているわけない、きっと・・・きっと大丈夫と後ろを振り返らずに信じてラガックの相手をする。
「おらぁ!!」
勢いのある言葉とは対照的にラガックの攻撃は軽いものだった。
こちらが相手の短剣を捌きにいったところを・・・ラガックは素早く右手の短剣を離し、左手の短剣をアニスの顔面へとめがけて投擲をした。
アニスは咄嗟に後ろに飛んで避けるものの、次にラガックを見たときはこちらに矢をつがえて、矢を放つところだった。
勢いのあるその矢はアニスの顔や防具に守られている心臓ではなく、右足を狙いに放たれていた。
避けようとするものの、その矢はアニスの右足首を掠めた。
「うぅ」
その痛みでアニスは顔を歪める。
普通の矢が掠ったと考えてはいたいが・・・ラガックが自分たちを魔物として誤認して襲ってきているのだ・・・しかも、こちらが3人でラガックたちが2人、自分たちが不利だと自覚してだ。
右足に痺れがやってきた。
この症状から察するに麻痺弾だ。
ラガックがこちらを襲ってこないで少し焦るようなそぶりをしていた。その隙に持っている下級の魔法薬を服用はするが・・・瞬間的に足の痺れがなくなるわけもなく、体感的に遅くなっている右足を気にしながら、1人でラガックと戦うのも、ここから逃げに徹されでもしたら、今の私ではラガックに追いつくことなんて不可能だろう。
だが、ラガックはヌーを気にしているのか、ここから逃げる様子はない。2人で襲ってきたのを考えるに・・・逃げるということはここからヌーが倒されたり、自分がもうこの状況で逆転はできないという状態にならない限りあり得ないだろう。たぶん。
そして、ラガックの様子を気にしていたら、横から少し大きな火球がラガックめがけて私の横を勢いよく通り過ぎていった。
・・・あれ?束縛魔法は?
ブックマークが100超えた・・・何があるわけでもないけど
避ければ・・・怪我なんてしないのだよ、避けれれば