66.
ダンジョンが雲一つのない空に月のようなものが浮かび、周囲を照らしている頃。
ラガックとヌーは2人で寝ずの番をしていた。
帰ってくるはずだと信じている仲間たちは月がちょうど自分たちの頭上あたりになっても姿は現さなかった。
森の中からは時折ガサッという何かが動く音。ヒューと何かが投げられる音。ドンッと何かが地面に突き落とされる音。
何が行われているか分からない暗い森の中。魔物の空間のダンジョン内ということで、2人は落ち着いてはいたが、それから感じられる不気味さを全身で感じて、次の何かしらは自分たちに向けて起こるのではないかと握っている武器に入れる力が無意識のうちに強くなってしまう。
ラガックは目を凝らし、その音がしたであろう森のほうへと目を向けても、木々が生い茂り、月の明かりが木々で遮られ、真っ暗な森の中は彼であっても、テントからでは森の入り口の数メートルぐらいしか窺い知ることができない。
到底不気味な音の原因など知ることもできないのだ。
こんな中で、あの時見送ってしまった仲間は、今も生きているのだろうか・・・と不安な思いが胸の中でいっぱいとなる。
もし彼らがこんな月明りも届かない森の暗闇の中で、あのGのような集団が四方八方から襲われたら、それが無事に撃退できたとして、まだ2人が把握していない魔物が彼らに奇襲を仕掛けてきたら・・・11階層と低い階層で慢心によって彼らは死ぬかもしれないと。
そう思わずにはいられなかった。
ガサッガサッ、こちらに向かって、草の根を掻き分けるように進んでくるような音がラガックの耳に入る。
こんな不気味な音以外は静かなここでは、いつもはこんな小さな音は聞き逃していたヌーもそれを敏感に感じ取ったのか、ラガックのほうへと視線を向けて、2人は戦闘態勢へと入る。
焚き火の明かりも消そうとは考えたが、もしその音が仲間だったら・・・と脳裏をよぎり、2人は消すのを躊躇った。
そんな迷ってる間にもガサッガサッという音がだんだんこちらへと近づいてくる。
ヌーは荷物をテントのほうへと移し、ラガックは矢を射る体勢へとなった。
ガサッガサッという音が、普段のヌーでも気づくほど大きな音になってくると、それが木の陰から姿を現した。
元読み専へとタグ編集してきた。
怖い系TRPGを見てたからそこに引っ張られる作者がいたらしい。