65.
「ラガック、戻ってきたか、アニスたちは戻ってきていたか・・・ん?なんだその枝は?」
それはそうだ。ヌーはポーターの荷物背負って戦っていたのだ。当然この階層に来た時に荷物に仕舞っていたカンテラが辺りを照らしていても普通のことだ。
それにラガックがテントに行った時はまだ見える程度の夕焼け色だった。ヌーはラガックがテントに行っているときに暗くなったと感じてカンテラを取り出し、明かりをつけた。
ラガックの『テント見に行ってくる』という言葉をヌーが仲間がテントに戻ってきているか確認してくる。いたなら、自分たちの無事を知らせるために行ったと、そう思ったりしても仕方ない。
「あぁ、アニスたちは戻ってきていなかった。それにテントのほうも無事だった。これはカンテラの燃料も勿体ないだろう」
・・・これがラガック導き出した、この場を切り抜けるための正解の回答だ!!
「最近魔石用のカンテラに買い替えたばかりじゃないか?油を持っていくにしてももしなくなった時に困るのではなく、ダンジョンでも現地調達ができる魔石用のほうがいいんじゃないかとお前の発案だぞ?」
・・・そういえば、そんなこともあったな、忘れてた。他に他に・・・
「いや、あの、な、そのな・・・あぁ、そうだ!!テントあたりは酷い匂いがしてな・・・」
「俺達はこの階層の前に匂い消しを服用して、明日以降じゃなければまともな嗅覚ではないと思うが・・・」
・・・・・・
「・・・すまない、周りを明るくしようと思って持ってきたが、そういえばカンテラはポーターであるお前が持っていたな」
「そうか・・・そうだろうとは思っていた」
そうヌーはラガックの顔を見ながら、ふっと笑った。
笑われたことに気づいているラガックではあるが、少し立ち止まった後。深呼吸をしてから魔石を回収する作業を開始した。
「アニスたちはどうしたんだろうな」
回収の手を緩めずに、ヌーは後ろのほうで回収をしてにいるラガックに向けて、問いかけた。
「あぁ・・・戦闘中にテントの方角のほうで戦闘音みたいのが聞こえた気がしたんだが・・・」
そういうとヌーは回収の手を止め、その方角へと走り出しそうになったが・・・
「待て待て、テントの焚き木のほうでGが5匹ほど破裂して死骸があったからその爆発音を俺が勘違いしていただけだと思う。それにアニスたちは右のほうに行ったのに正面の方向から戦闘音がするはずないだろう。今回はきちんと方位磁石を渡して方角を迷うなんてことはないだろうしな」
「そう・・・だな」
そういうとヌーは走り出すのはやめたが、その場で立ってその方角を見ている。
「それに今から俺達が探しに行ったとしても、この暗い中じゃ確実に俺達が迷う。それにこの状況で周りを囲まれたら、純粋な前衛の戦闘職なしの2人じゃ無駄死にするだけだ。テントの位置をもとの場所が見える程度に階段よりにして、元のテントの方向に改めて焚き火をして、もし元のテントのほうに行っても俺達の位置が焚き火の火の明かりで分かるようにしよう」
「わかった、だが、この暗さじゃテントを移すのは危ないだろう」
そういえば、ヌーは大人しく従ってくれた。ヌーの意見もあって、テントはそのままにして、2人で寝ずの番をすることになった。
ホラー書こう!書こうと思っていても、面白い小説が俺の前に立ちはだかる。
読み専作者だもの・・・仕方ない。