61.
あの3人がいったあとに軽く辺りを見ながら
「軽く野営の準備でもしておくか」
ここはダンジョン内で出てくる魔物の種類なんてのも分かってはいないが、そんなことをずっと心配していても今この状況がダンジョンの中であり、いつ魔物に襲われていてもおかしくないということだ。
「ヌー軽くあそこの木の枝でも切ってもってきてくれ」
「わかった」
そう燃えやすい木があった場所に指をさしながら言ったら、何の魔物がいるかわからない現状を警戒してか、ヌーは自分の荷物を持ったまま、枝を切りにいった。この階層は出来て間もない場所のはずだ。燃えやすい枯れ枝を探すよりは燃えにくくても近くにある枝を拾うほうがいいだろう。拾ってきてから燃えやすいように少しは加工するがな。
少し考えながら辺りを警戒しながらもテントを張る準備をしていたら、ヌーが片手に枝の束を持って戻ってきていた。
「持ってきたが、軽く探してみたが大きい石はなかったぞ」
「石か・・・・木なら周りにいっぱいあるんだがな・・・」
かまどを作るためにもある程度の大きさの石を確保しときたいところなんだが・・・
「はぁ・・・セラに頼むか」
俺もヌーもある程度の生活魔法なら使えるが・・・使っても疲れるだけだし、それで十分な魔法の効果を得られるかと言えば・・・得られない。かまどに十分な大きさや形、個数なんてのを魔法で出そうと思えば・・・倒れる、倒れてまでやることでもないし、ここはダンジョン内なのだから気絶なんてしてられない。まぁ、なくても問題はないが・・・あったほうが料理など、火の維持をやるほうとしたら、楽だ。
そう言っているうちにヌーが集めてきた枝になけなしの魔力で生活魔法の乾燥魔法を発動させて、最初に火を燃えやすくするために燃えやすい枝の表皮をナイフで削る。
「さて、まぁ、燃やすか」
乾燥魔法をかけた木とかけていなかった木を半々に組んで、生活魔法の火で着火するのは表皮。そうすると火がつく、燃え広がらないように地面には草など火花などで燃え移りやすいものがないような土の上で組んだ。
「テントも張って、火もつけたんだが・・・料理でも作ってもらいたいんだが」
最初の頃に聞こえていた鳥の鳴き声などが聞こえなくなっていたことに気づいていた俺はヌーと軽く目を合わせながら、2人で戦闘準備をしていた。
「ダンジョンにいる鳥が魔物以外なわけがないし、それが俺達の聞こえた位置にいて、その影は今は見えない。ある程度見通しのいい場所にいる俺達を見つけたなら襲ってくるだろうしな・・・何かしら別の何かが襲ったとみるべきだろう、他の冒険者なんかがいたならその可能性も考慮するんだが、今このダンジョンの調査来ているのは俺達のパーティだけであの3人がわざわざ鳥の魔物を倒すとも思えないし、見通しの悪い森の中を進んでいたあいつらを鳥が襲う可能性も低い。はぁ・・・2人で襲うか襲わないか選べる魔物を相手にするのはきついよな・・・」
と愚痴を漏らしながらも、俺は弓を、ヌーは槍を構えた。
ラガックさんは見つけたと思って行動しているけど、見つけてないよ、てへ、俺の勘違いでしたなんてのもあってもいいかもと思ってしまった。