52.
そうしてマリウスの話が終わり、俺はただ茫然と図鑑を眺めていた。
正面にいるマリウスからは俺では逃げることはできない。だから、俺は安易に睡眠という居眠りというこの場面ではもっともしてはいけない選択をなぜしてしまったんだろうか・・・
俺が少し意識を夢の国へと旅立っていると、正面で対面して説明をしていたはずのマリウスがいつの間にか俺の背後に移動して、小さな手で俺の肩を壊さないほどの力で握りしめてこう耳元で囁くんだ・・・『起きろ』、そうただ一言なのにその言葉に俺は飛び起きようとしたんだが、肩にマリウスの手が置かれていて飛び起きることもできずに、恐る恐るゆっくりとその手がある方向に向くと・・・にっこりとほほ笑んでいるマリウスさんがいたんだ。また最初から魔物の説明をし始めたさ・・・
起きたばっかりでこの拷問のような長く退屈な話・・・ダンジョンマスターなのだから、自分のダンジョンに呼ぶかもしれない召喚するかもしれない進化するかもしれない魔物を退屈と呼ぶのもいけないような気がしないような気がするが、そんなことよりも眠かったんだ。仕方ない、起きたばっかりだったもの。
うん、一度寝よう、寝て起きてまた考えればいいさ・・・
「起きたばっかりなのになんで寝室に行こうとしてるんですか、マスター」
「あれ・・・部屋に戻ったんじゃ?」
そうだよね、説明し終わった後にため息をしながら自分の部屋のドアを開けて、その中に消えていったはずですよね?
「そんな僕がマスターみたいにこんな早くに寝るわけないじゃないですか、マスターの日常生活と僕の日常生活を同じように見ないでください」
「・・・なぜ俺が寝ると」
「・・・マスターが自分の部屋に戻るときなんて寝るとき以外ない癖して、なぜ自分がそのドアの取っ手を握っているのに僕が寝るという発想でないと思ってるんですか?」
呆れたな声と瞳で俺のほうを見ている。
「おやすみ」
「寝させるわけないですよね」
ドアの取っ手をまわし、自分の寝室に逃げ込もうとするが、マリウスからは逃げられない・・・いつの間にか背後に立っていたマリウスは俺の首根っこを摑まえ、ダンジョンコアの前まで連れていかれた。
「・・・・」
無言で抗議の視線を送ってみる。
「はいはい、早く新しい階層に召喚する魔物を決めてくださいね」
寝られないと悟り、図鑑を見直して、森の階層に召喚する。いや、ダンジョン商会で買う候補の魔物の値段を見ながら、悩み始めた。
マリウスは後ろで監視している。
1000文字だからね、進まないのは仕方ないね。うん。
ダークしてる短編小説で探して、俺はダークな小説を書くんだ(((戯言