5.
「やぁ、初めまして二人とも、まぁ、操られてていても意識ははっきりしてるでしょ?喋ることだけ許可するよ」
「よくも部下を殺させてくれたね、ガキ」
手を伸ばせば届き、そして首を捩じ切れそうなほど、ひょろそうなガキだと、彼女は思っていたが、肝心の腕は自分の腕ではないかのようにまったくというほど動いてはくれない。
「僕はこのダンジョンの管理者、うん、この世界ではダンジョンマスターって言ったほどがわかるかな?」
彼女の射殺すような視線を浴びながらも彼は何事もないかのように話し始めた。
「へぇ、なんだい、あんたのようなひょろいガキがダンジョンマスターなんて信じられるわけないだろう!家に帰ってママのおっぱいでも吸ってろや、クソガキ」
彼女は激昂させて、その隙に逃げようと考えていた、寄生させていて、相手に全てのことを知られているとは露ほども思わずに・・・
「うんうん、清々しいほどのクソだよね、君、うん、最初に殺すのが君たちのような盗賊でよかったよ、僕だって人を殺すのにはためらいとか、いやだなーーとか思ってたけど君たちのような物を壊すのは、うん、立派な社会貢献だよね、僕っていい人だよね、うん」
そうニコニコと薄気味悪い笑みを浮かべながら、彼はそう一言つぶやいた。
「感情以外食い殺せ、あ、でも、ちゃんと痛覚とか残しておかないとダメだよ、記憶や自分のこと、家族、友人、恋人、うれしかったこと、楽しかったこと、やりがい、生きがい全て殺しちゃえ」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「うるさい、黙れ」
その一言で辺りは彼女がジタバタとする音以外、彼女の横に寝ている少年の・・・いや、今さっきの絶叫で起きてはいたが寝ている呼吸音以外何もしなかった。
彼女からは穴という穴から液体が出てきており、見た目から生きているとはいいがたい光景だ。
「肉操蟲、補え」
そう彼がつぶやくとそばで待っていた数十匹の蟲が彼女の中へと耳から口から、目から、肉を食い破り入り込んでいった。
そして少し経ったあと彼女は何事もなかったかのように立ち上がった。
「マスターご命令を」
そこにはさっきまでの彼女のようだ、だが、その瞳は黒く淀んでいた。
「うんうん、ちゃんとできてよかったよ」
そう嬉しそうにつぶやく彼の姿が、寝ているふりをしている彼には人間の皮をかぶった悪魔のように思えた。