30.
5階層に運んでから、15分もすれば3人とも目覚めた。
「・・・・凄く何か嫌なものを嗅いだような気がします」
「・・・俺は何かすごく臭いものを嗅いで衝撃で気絶した気がする」
「・・・・・・・・・・・・・(勢いよく鞄に顔を突っ込んで息を吸っている)」
3人それぞれ起きたが、衝撃からかそれともあの耐えられなかった匂いのせいか起きてからの数分は放心状態で、今さっきようやく喋り始めた。
「あーなんだ・・・1~5階層までの探索結果だけでもいいか・・・・いや、やっぱり聞いておこう、あの匂いにお前ら耐えれるか?」
獣人の二人は勢いよく首を横に振り、そしてルオスはその匂いを思い出したのか、顔を青くして今にも思い出し嘔吐をしそうになっていた。
「あーまぁ、そうだよな、できれば俺も行きたくない、俺とナタリー以外全滅だったからな、進めないことはないが俺達は情報を持ち帰ることが第一だ、という建前で俺達は帰還する」
幸いにして、あの泥がついたのは捨ててもいい衣服の裾などに跳ねてついたのでそれを切り捨てることにして帰還を優先した。
♦帰還の道中
さすがに書いていた中途半端な地図なだけにまだ食料や水にも余裕があるし、地図を埋めることにしながら帰還していた道中。
「そういえば、あの泥の罠、ガネルお前は気づいていたか?」
「全然全くこれっぽちも気づきませんでした」
あの匂いのことを思い出したのか少し青い顔でガネルが答えた。
「匂いも一切気づかなかったのか?」
「・・・・ん?そういえば、あの匂いいきなり来ましたね」
その言葉で俺はあれが自然なものではないということが分かった。
「そりゃ、あんな匂いするのが進む道にあったら、僕ら獣人族は絶対嫌な顔して違う道進もうって言いますよ、強行してたら気分次第でついていたなら逃げますし、依頼だとしても断るか、凄く嫌そうな顔をしながら鼻を覆う何かをつけながら行きますよ」
「まぁ・・・そうだよな」
その答えに俺は納得しながら、周囲を警戒しながら歩く。
「・・・悪質だな」
「・・・悪質ですね」
罠感知にも反応しない、獣人の鼻も直前まで効かない・・・・この罠をどう発見するかなんて・・・一度かかってなきゃ分からないだろうよ・・・ダンジョン内で初見であの罠を・・・・あれ一つとは限らない・・・・
こうして俺らは6日でダンジョンを出て、ホームであるグローリーまで帰還した。
命を粗末にしてはならない!そう俺達は思った・・・
これは決して逃げたのではない!戦略的撤退なのだ!!!!
訳 臭い、きつい、無理、嗅覚的な意味で死ぬ