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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
249/255

237.


 王城・・・そう呼ばれる場所の門の前にあれはいた。


 辺り一面に真っ赤に染まった地面の中心にSAMURAI・・・いや、うん、甲冑姿?の人が・・・いや、あれは人なのだろうか?


 全身的には人っぽいな~と思うけど、顔の部分が真っ黒に塗りつぶされている。


 ・・・怨霊?う~ん、サムライっぽい人の英雄譚なんてマリウスから借りている中ではなかったような気がするんだけどな~~う~む?


 そんなことを1人で頭の中で考えていた時に・・・周りに死体がないという不自然さ、こちらへ来るなという警告のように一直線にこちらとあちらを分ける赤の境界線になっていること、そして、あの顔真っ黒さんの先に見える階段。

 ・・・やだー先へ進むしかないじゃないですか。

 いや、まて、ここは城門・・・縄があれば、サムライのいないところから呼び上って回り道すれば安全に次の階層に行けるんじゃないだろうか・・・。

 『別の道から階段へ行けるところを探してみないか?』と控え気味に提案すると・・・受け入れられた。


 ・・・左へ行っても、右へ行っても、縄を取りに後ろの道へ行く班に分かれても・・・数分後に交わったのはこの場所。

 ・・・道具を少しの間借りに戻れないし、ここを進むしかないという理不尽。




 行くしかないのならと・・・先陣を行ってくれる騎士、いや、兄貴!!


 覚悟を決めて、踏み出す一歩。


 あちら側へ足を踏み入れた瞬間にあれはもうすぐ目の前にいた。


 黒い顔からは何も窺えない・・・ただその身に明確な殺意を宿し、刀を振るった。


 突然のことで動揺したとしても、咄嗟のことでも身体は動き、盾はその身を守ろうと防ごうとその凶刃の前に立ちはだかった。


 ただ運が悪かったのは・・・その侍は強かった。


 鉄と鉄が打ちあった音などはしなかった。


 盾に刃がするりと入って、盾もろとも騎士を斬り裂こうと首へと迫った。


 盾が破られたことに驚き、凶刃が自分の首へと迫りくる・・・ここから騎士にはそれを防ぐ術など持ち合わせてはいなかった。

 ただここで己は死ぬのだと・・・悟り、生を諦め、死を受け入れようとした。

 ・・・だが、いくら時間が立っても、その刃は自分の首へと迫ることなどはなかった。


 フードの人が騎士と侍の間に割り込み、その刃を上へと逸らしたのだ。


 冒険者2人と俺の3人がかりで騎士さんを後ろへと引っ張り・・・あの危険な戦場から遠ざけた。


 フードと侍は・・・互いに打ち合い、逸らし、避け・・・殺し合っていた。


「・・・今のうちに先へ進むわよ」


 援護なんてすれば邪魔になると、他の奴らもあそこに割り込むなんて無理・・・今の自分たちなんかではあの領域はただの殺されるだけの人間にすぎないのだと、魔術師は分かっていた。

 その有無を言わせぬ迫力に・・・4人はそれに従うことにした。

 ただ残りたい見守りたいという気持ちがあったとしても、自分がここにいても、役に立たないと自分自身がよくわかっているからだ。




 2人が殺し合っている最中・・・横を急いで通り抜けようとした瞬間に・・・それは聞こえた。


 濁った声だった、必死そうな声だった、助けを求める声だった、悲しい声だった。


 人それぞれに声による印象は異なった・・・だが、届いた言葉皆同じだった。


『守りたかった、護れなかった、ダカラ、守り護れ護れ護れマモマモマモマモREEEEEEEEEE!!!!!!!』


 6人の声のどれとも違う・・・つまりあれからの声だ・・・黒い顔のどこにそんな口があるんだよ!!!と俺が心の中で突っ込んだ。


 だが、冒険者とフードの3人はそれに頭を押さえ、魔術師と俺は何もなく・・・ただ騎士だけは2人の戦いに突っ込んでいった。・・・何事!?


 フードの人が一瞬動けなかったこの隙に・・・騎士の人を殺そうと刃を振るった・・・だが、それに割り込む人物がいた。


 割り込んだのは魔術師だ。

 騎士を魔法で階段の方へと弾き飛ばした。


 だが、防御の魔方陣ごと胴体から真っ二つに魔術師さんが斬られた。


 その光景を理解するのに・・・数秒かかった・・・だが、戦闘中にそんな致命的な動揺を相手が待っているなんて優しいことはなかった。


 次は一番近くにいたフードよりも殺しやすいだろう俺に標的が向いた。


「走れ!!彼女の犠牲を無駄にする気か!!!」


 割り込んできたフードの人にそれは防がれ、その声で他の冒険者2人も正気に戻って3人は階段の方へと走っていったのであった。






 侍・・・この人もこの人で生きていた過去があったわけで、悲劇を・・・いつか覚えていたら、別ので書きたいな・・・このダンジョンマスター全然関わっていない過去のことだし・・・

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