228.
「よし、次の街へ旅に出よう」
「え!?・・・」
そんなことをぼそりと呟くとマスターは着替え用の服を持って、お風呂に入って行った。
毎回思いついたからと言って突然そんなことをいきなり言わないでほしい。
ちょっと机の上のカップを落としそうになるじゃないですか・・・。
そんな近くじゃないところのデータなんて細かく設定しているわけないじゃないですか・・・どうしましょう?
いえ・・・べつにホムンクルスからの一人称視点でやっているのですから・・・自動的に情報は収集してますね。
そうですね、自動で自律行動ができなくなるだけで、別にいいですよね・・・それにマスターなら新しい街へ行ったのなら食べ歩きとか、そういうのをしますから、よほどのことがない限りマスターの意思がホムンクルスに伝わってなくても問題ないですね。
あー街道を歩く時の盗賊の襲撃や、突然の魔物の襲来が出てきたらどうしましょう・・・自動反撃で、いえ、自律行動で護衛団のリーダーの指示に従うこともあるでしょうし・・・街道の移動くらいの護衛の冒険者のリーダーならマスターよりは弱いですよね・・・んー臨機応変にしておきましょう!それが一番いいですよね。
悪い指示で死んでもらっても困りますし、これでゲームをやってないうちに殺されて終わられるのも仕方ないですし
~翌日~
「マスターはいつ馬車の護衛に着くんですかー?それによって、いつ忙しいのかなんてのも分かりますし」
最低限マスターの認可が必要なことをメモにまとめてから、そのことについて尋ねる。
「ん?護衛?なんのこと?」
そう呆けた顔をしながら、彼は聞き返す。
「え?ほら、昨日次の街へ行こう?なんてこと言ってましたよね?」
そう聞くと彼は納得したように数度うなずく。
「あーはいはい、それね、俺はー次の街へ行く馬車に料金払って、行くのだよ!
護衛とかずっとゲームプレイしなきゃいけないやろ?」
そう胸を張りながら、答えてきた。
「ずっと護衛はないとおもいますけど・・・マスターは一応実力はそこそこついていますし」
・・・幾度も襲われる道がある土地なんて絶対にそういう人を運ぶ人たちは通りませんよ。
それにそんなに危険な土地なら絶対に栄えませんし、廃れます。
誰が危険な場所まで好き好んで行くのでしょうか?誰も行きません。
だから、護衛は抑止力であって、自分は強いぞ危険だ!攻撃してくるな気なら、痛い目を見るぞという警告なのです。
・・・まぁ、だから、『突然』『驚き』
突発的な奇襲によってその抑止力を無力化するんですけどね。
ホムンクルスがそれに対応するだけの経験があれば、護衛でも・・・いえ、マスターは護衛は全くないですから、そんな経験ありませんよね。
「なんか護衛依頼を受けてるのにてきとーに済ませたくはないやん!気持ち的なもので・・・お金を受け取って、商品や命を守ってくれ~っていうのをもらってるのに、てきとーは嫌やん?
でもさ、護衛しかできないゲームなんて、嫌だよ、つまらないもの!
そして長時間歩きっぱなしか、座りっぱなしの時に憑依するのも嫌だから、乗ってるときにはーちょこちょこ画面から様子を見るだけよー。
運ばれる時の憑依も・・・あの時だってガタッどゴッと揺れてる馬車で尻が痛かったのに、それであっちに行くの嫌だし」
「へ、へぇ・・・」
なら・・・このまとめているメモは捨ててもいいですね・・・あ、いえ、用意したんですから、やってもらいましょうか。
「それにゲームでやってもずーっと乗ってるだけよ?暇でしょ?なんでそんな暇なことをやってなきゃいけないのだ!そんなことなら俺はスライムたちと戯れるのだよ!」
そう言うとスライムが待ち構えていたかのようにマスターの腕の中に納まる。
「・・・そ、そうですか、そういえば次の街ってどの街へ行くのです?」
それによっては危険な教会や、事前に危なさそうなことについて知れれば、さりげなく注意することができる。
「やっぱり王都やろ!定番でしょ!定番定番、なんか最近王都への道が領軍?だっけ?冒険者だっけ?それによって賊とか一掃されて、今が稼ぎどきだーって、商人たちが動いてるから、それに便乗して俺が乗る予定の馬車も行くから、料金払って乗せてもらうのだよ~」
「へ、へぇ・・・乗合馬車(荷物)ですか・・・」
そんなのあの街からありましたっけ?
次の街?・・・街?て、定番ですか??いえ、これは考えても仕方ないことですね。
そう楽しそうに今後の予定を話をするマスター。
楽しそうにおみやげはなにがいいかな~イオルにどんなにあげよう・・・龍やスライムには・・・
うん、楽しそうに言ってはいるが、それがちょ~っと長く、ずっとマスターの手伝いをしていたマリウスは嬉しい反面にイラッとして稽古をいつもより厳しくしたのは仕方のないことだ。
昨日の投稿?普通に忘れた。
今日の投稿?普通に遅れた。