226.
そう・・・これはただ普通の稽古をして、普通に食事をして、普通に寝る。
ただ何事もなく、平和に、退屈に、いつもどおりに日常が過ぎていく。
そんな日常に突如として、爆弾が投げ込まれた。
「あ!そうだそうだーあの龍を定期的に11階層に回して、見てもらうのを計画してるんだけど、出すやつの転移の仕掛けは分かるんだけど、そこから入ってまた出るためにどうすればいいのかなって?」
一瞬・・・脳が考えることを停止した。
日常の一部だ・・・ここは戦争の中でも、戦いの中でもない。
ただのありふれた日常の一部だったはずだ。
いつもと変わりなく軽いような感じで、世間話をするような質問。
だが、内容が自分の考え付く許容量を超えていた。
「え・・・?ごめんなさい、最近気疲れから、耳の調子が悪くなってきたかもしれないので、もう一度言ってくれませんか?」
それを自分の幻聴だと信じたくて、そうもう一度聞くことにした。
さっきよりも自分の脳を動かしながら、何を言われても聞き逃さないように。
「え!?・・・なんかこっちこそごめん、ゲームやってる時間をちょっと削ってなにかしら手伝った方がいい・・・?」
自分の嘘にそう心配を返してくれるマスター、、、だが、気疲れの原因はあなたが買ったあの方です。
「いえ、マスターが最低限やっていてくれるのでいいです・・・(下手に惨状を生み出してほしくないですし)、、、それよりも今さっきなんて言ったのか教えてもらってもいいですか?」
そう手伝ってもらうことを遠慮しながら、さっきのことについて聞き返す。
「そ、そう?それならいいんだけど、さっきっていうと・・・龍を定期的に11階層から15階層を巡回してもらうってこと?」
「・・・」
幻聴でも、聞き間違いでもなかった。
「ほら!鳥のように隠蔽しているところから出て行っても正直龍が出入りするって異常事態っていうことは分かるんだよ、うん。
だから、龍そのものを見えなくして巡回してもらうか、それとも・・・幻みたく見えるように龍の身体を媒体として、空中に魔法陣を設置して、ばささっ!ってみたく幻覚みたいに消えるように巡回させようかなーって」
すぐ消えたとしても、あの威圧感が出せる幻覚って幻覚だなんてそもそも思われませんよ・・・
見えなくても存在がそこにあるんですから、鈍い人以外なら気付きそうですし・・・
もしかしなくても、巡回に出る龍ってそれ、ここのダンジョンにいる巡回できそうな龍はあれ1ぴ、、この数え方は不敬でしょうから、、一柱?ですよね。
「・・・」
ダンジョンマスターからは考え事を張り巡らせているような感じを見せながら、内心ではどうしようどうしよう!!と考え事をしていた。
いいえ、違いますよね、あの龍に巡回?まず身体が、いえ、あれでもか、、いえ、なにあの方をこき使うみたいな発想できるんですか!!
威圧感が分からないマスターでも、危険性がはっきりと分かるマスターのいるときに限ってあの滅龍果実は芽吹かないですし・・・鑑定のスクロールを渡して、実力差を・・・そんな神位をはかれるのなんて持ってるわけないですよね。
下手に鑑定で実力を教えても、マスターはないと思いますけど、国くらいなら破壊できるって教えると、いえ、マスターならしませんね、驚いたりはすると思いますけど、悪巧みするよりゲームの方が似合ってますし、それにもし間違いそうになっても、僕がいますし・・・んーーーそれにしても神災レベルの方ををただの巡回させるって、逆に僕の仕事増えません?
・・・いえ、国破壊なんて大それたことはしないと思いますけど、マスターなら新しいホムンクルス作って、『俺が伝説のドラゴンライダーだ!』と欲望の為に、どこかに見せびらかせにいったり・・・しない可能性を否定できませんね。
もしですよ。もし龍の巡回をやるとすれば
11階層からの空の拡張と、あーーーやっぱり無理ですね、魔物暴走余裕で起きますよね・・・いえ、現れた瞬間低位の魔物全員狂って死にますかね?
巡回で問題なんて発生しようものなら、、あの龍が戦闘する時点でこのダンジョン自体がヤバいんですけどね、、破壊不能の効果もありますけど、、、耐えれますかね?
そのまま龍の巡回の危険性を改めて、考えたマリウスはどうやってマスターを止めれるのかを考えることにした。
「ちょっと時間をください」
『龍は巡回というより、最後の門番が似合うと思いますよ!』と、最近では量産が進んで、文字が読める人にとっては誰にでも読みやすくなっているこっちの英雄譚を渡してみた。
それを渡した後ラスボスが突然遭遇するのってよくない?と言われた。
あなた昨日は巡回させるって言ってましたよね?それも透明にするとか、幻覚のように見せるって言いましたよね・・・?
改めてこっちの有名な英雄譚を見ても、どれもこれも英雄になった偉業としての活躍の最後として、ドラゴンは倒されている・・・突然龍が来る物語なんてありはしないということを教えた。
ならば!と逆に絶対に倒されないようにドラゴンに徹底的に有利になる階層を作ろうとしていた。
マスターの最初にあった巡回というよりも、今は新しい階層になっているから・・・まだいいのか???いえ、それもそれで・・・全力戦闘が起こる事態なんて想像したくないです。
そんな不公平な戦いなんて、ドラゴンの魅力も激減ですよ!と阻止しながら、修行でボコボコにして、そんな危ない案を頭から消し去るのを実行した。
それでも・・・忘れてはくれなかった。
・・・ついにストレートに『龍が巡回したり、戦闘したりすると僕の仕事増えるからやめて下さい』とお願い?すれば、マスターはこれ以上その話題を出すことをやめてくれた。