222.
ぶら下がってからの頭に足の筋肉を総動員し、しがみついて体を固定し、そして、全身の筋肉で自分を持ち上げ、ついに、ついに!自力でドラゴンの頭に乗った。
今まさに俺はドラゴンライダーだ~~
・・・普通頭に乗るんじゃなくて、翼が生えているところらへんの身体に鞍とかつけるんだろうけど・・・草原しか周りには見えないけど、高い所から見るただの草原は格別だ・・・ん?。
え・・・・・・?あれ??マリウス~、どこへ行ったの??ん??へーーーー帰った?え?
どこを見てもマリウスの姿なんて見えなかった。
それと・・・無言で先に帰られたことに地味にショックを受ける俺。
色々とこの子のことを相談しよー!とここに連れてきたのに・・・それと驚かせようとしたのに、むむむーーでも、相談しなきゃいけないし、呼び出さねば!
ドラゴンにちょっと待っててということを言葉と身ぶり手ぶりで伝えて、階段を上がる、今回は持ってきた懐中電灯が活躍したが、上まで上がって、俺を出迎えたのは真っ暗闇、閉じた扉だ。
そこについていた取手を回し、上に押し上げようとするが持ち上がらない。
「・・・ん?」
ガチャガチャ、ドンッドンッドンッ、バンッバンッバンッ
あれれーー??開かないわ。
いやいやいや・・・よく思い出せ、初めに開いた時は横にスライドしていた!つまりこれは上に押し上げるんじゃなくて、横に引くんだ!!ほんっと紛らわしい取手だ~な。
ガッガッガッ!!!
あれ・・・・開かないわ。この扉壊れたんじゃない??
そういえば・・・隠し階段ってロマンだなーとしか表のギミックしか考えてなかったわ、うん、言葉にするならば、あっ、やべっ・・・こっちから開けるための鍵とかそういうのつけてないやん・・・
あああ慌てるな、まままだ慌てるようなことじゃない、そうだよ、うん、ダンジョンコアから出ての農場の倉庫の隠し扉なんて・・・マリウスにしか見せてないけど、そう!救いの神マリウス様が助けに来てくれるはずだ!!
それまではドラゴンと遊んでおこうっと。
こういう時は横の壁とかに窪みがあって、そこを押すとドドドッ?ゴゴゴッ?という感じで開くそんな感じのギミックなんて用意なんてしてないから・・・帰ったら、そういうギミックをつけよう、うん。
うん、夜ご飯になったらマリウスが助けに来てくれるはずだし、、、ドラゴンと戯れながら、焚き火でもするか。
こんな草だらけで放火・・・死ぬな、草刈り鎌と、・・・炭と燃え広がらないように石とか、あ、こういうときは焼き芋とかいいな~~サツマイモとアルミホイルと、あとは長いトング!
ほっかほかでほのかな甘みが口に広がる~~~ん~~たまらないね!!
「出でよ!!!出張ダンジョンショップ」
食欲という無限の欲望を胸に持ちながら、その名を口にする。
『圏外』
ん?・・・ちゃんと呼ばなきゃいけないんだな、うん。
「出でよ、出張ダンジョン商会!!」
『通信圏外です』
んな、バカな・・・ここってダンジョンコアから徒歩3分もたってないよ?ダンジョンで俺を助けてくれた時はあんなにも頼もしかったじゃないか、相棒よ・・・。
万策は尽きた!間食くらい抜いてもへーきへーき、マリウスがすぐに迎えに来てくれるはずだからね!
夕陽も沈みかけ、月が空の真ん中を陣取るくらいに時間は経った、いつまでも立っても来ない迎え。
・・・・・・・・・
隣に寝ているドラゴンの翼の間に包まれる。
スベスベなのに仄かな温もりを感じる・・・ような気がする。
鱗は冷たいし、ゴツゴツしてるし、首のあたりはするっとしてるのに・・・飛ぶからか?
なぜに・・・未だに迎えはこないのかをドラゴンに包まれながら考える。
1.寝ている
2.見捨てられた
3.実家に帰省
4.自分の研究に集中。
1はないよな・・・うん、マリウスだし・・・
2は・・・ドラゴン買うのにちょっと使いこみすぎたし・・・いや、それならもう何も言わずに知った時点でどっかに消えてるよ、な?うん。
3は・・・マリウスの実家とかしらんけど、ありえるのか?
4は・・・ありえるか・・・あの人形とか自作とか言ってたし・・・。
あぁ、そうだ・・・・・そういえば、表の隠し扉も・・・暗号入力的なパスワードを設定してあったわ。
あれ?俺自分の部屋にパスワード貼ったメモとか、ちゃんとあったっけ?いや、パソコンにあるメモ帳に残してあるっけ???
いや、そもそもパソコンのパスワードをマリウス知ってたっけ・・・いや、俺が自分のパソコンのパスワードを他の人に教えるなんてありないわ・・・気づかれてたら、出た後でパスワード変えよう。
どれもこれもなくて、パソコンのパスワードも知らなかったら・・・あれ?自分の家で俺生き埋め?餓死???・・・え???